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既存のC++ネイティブプロジェクトでC#マネージドコードを使う(C++/C#)

はじめに


こんにちは。Daddy's Officeの市川です。

私が10年以上開発を続けているWindowsPCを監視カメラシステムにする「LiveCapture3」。
先日、今後の拡張性や生産性を考慮して、内部処理を見直しました。

基本的には、C++で構築していた各機能を、C#で置き換える、という作業です。

個人的には今でもC++は好きな言語なのですが、Windowsアプリ開発を行う場合、APIや各種SDKの提供状況を考えると、C#に移行していかないと難しい状況です。

とはいっても、すべてをC#に移行するのは現実的ではありません。

そこで「C++からC#をコールする」方法を調べました。

C++からC#をコールする方法

色々な方法がありますが、C#の生産性の高さを既存のC++ネイティブプロジェクトで利用したい、というのが大きな目的なので、C++/CLIは極力使いたくない。
C#の処理をCOM参照可能にする、というのもコード量が増えるしめんどくさい。

そこで、

「C#処理をDLLで作成し、C++/CLIラッパープロジェクト経由で、C++ネイティブプロジェクトからコールする」

という方法で対応しました。

これであれば、若干スマートさには欠けますが、既存のC++ネイティブプロジェクトを変更せず、生産性の高いC#で処理を記述できます。

構成としてはこんな感じです。

実装(AES複号)

今回、AESの複号処理を追加する必要があったのですが、C++でAES複号処理を記述するのは非常に面倒。
そこで、この方法を使用して、AES複号処理をC#で記述し、それをネイティブC++からコールする形にしました。

DLLプロジェクト(C#)

まず、AESの複号を行うC#のクラスを作成します。
プロジェクトをC#のクラスライブラリとして作成し、下記のようなクラスを定義します。

うーん、簡単です!

メソッドはDecodeメソッドのみで、引数に、鍵と初期ベクタ、AESエンコードされたデータを渡すと、out引数にデコードされたデータが格納される感じです。

DLLラッパープロジェクト(C++/CLI)

作成したDLLプロジェクトを参照に追加して、C++/CLIのDLLプロジェクトを作成します。

このプロジェクトの目的は、マネージドとアンマネージドの引数型変換と、参照で追加したAES複号クラスの生成とメソッドコールになります。

AES複号を行うので、扱うデータはメモリ上のバイナリ値になります。

当然、C++上で確保したメモリ領域のポインタをC#クラスに渡すことはできませんので、変換処理が必要になります。

まず、C#クラスに渡す為のByte配列を定義し、そこに、引数で渡されてきたメモリの中身をMarshal::Copyでコピーします。

引数の内容がコピーされたByte配列を引数にC#の複号クラスのメソッドをコールします。

結果はout引数のByte配列に確保されますので、一旦pin_ptrでピン止めしてからmemcpyで内容をコピーします。

C++/CLIは、(個人的には)あまり書きたくないので、極力、型変換処理のみに抑えるようにしています。

メインプロジェクト(ネイティブC++)

あとは、作成したDLLラッパープロジェクト(C++/CLI)でExportされた関数をC、++ネイティブプロジェクトで呼び出すだけです。

下記のようなExport宣言を行います。

この関数をC++ネイティブプロジェクト内でコールすると、AESの複号処理が実行されます。


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