見出し画像

図書館通信#7『できないからできること。』

『まことに残念ですが…―不朽の名作への「不採用通知」160選』

 これは今では名作と呼ばれるような作品に対して実際に出版社から送られた不採用通知をまとめた本である。序文にあるように物書きを目指す人に書き続ける意欲を与えるものであり、ものづくりや就職活動をする人などにとっても励みになるユニークな本だ。今回はこの本に合わせてブックカバーを作ってみたので紹介したい。

 今年は色々な人の本の読み方を集めたいと思いカキコミが自由にできる本の貸出を始めた。利用したくれた人が線を引いたりメモを残してくれたりするので読み返すと面白い発見をすることができた。ただこのカキコミはいうのは線を引いたりするだけでなく読んだ人なりの表現で何かを残して欲しいという意味で今の所謂カキコミだけでは少し物足りなさも感じてる。

 どんどん好きにカキコんで!と言いたいところだがいきなり自由にどうぞと言われても気が引けるだろうと思い僕自身で少し変わったカキコミをしてみようと考え今回はブックカバーを作ることにした。

 本自体が不採用通知がまとめられたものなので自分の持っている不採用通知のコラージュでブックカバーを作ることを考え、小説を出版社に送ったことはないのでこれまでバイトや就職試験でもらった数々の不採用メールの文言を利用させてもらうことにした。

 大槻ケンヂの著書に『サブカルで食う』というものがある。この本は昔から何も上手くやることができなかったと語る大槻がどうやって好きなことで食べてきたのか自伝的に書いた本なのだが、彼はその中で「できないことをネタにしよう」と言っている。

 笑顔が苦手で面接が苦手で特に自慢するようなこともない僕だからこそ貯めることができた不採用通知をこうしてネタとして利用することにした。できないからこそできることがあるのだ。ネタなのでこれをみた人が少しでも面白いと思ってもらえたら幸いだ。

 それにこうやってまとめて読み返してみると新たな発見もある。同じ求人サイトで応募した会社からは同じ文章のメールが送られていることに気づいたり、当時はもう学生じゃなかったのに学生と書かれていて全然興味を持っていないことがわかったり、丁寧すぎるものや応募者に配慮し過ぎているものなど企業の特色がよく出ている。

 何もうまくいかないと人生に悩んでいるあなたの幸せを祈ってこの本とブックカバーを送ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?