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癌に対する考え方とメンタルの変化

「がん」に紐づけて、僕からしたら
とんでもない理論を述べる人や書籍があれば
耳に心地いいフレーズなど上手な広告で
自由診療を進めるクリニックなど
まるで、命が掛かった人たちをターゲットにした
ビジネス

と感じる物が、世の中には物凄く
溢れて居ると実感しました。

メンタル的には死と向き合うヘビーな状況なので
「藁にもすがる」的な選択をしてしまう気持ちは
物凄く分かります。

が、普段の冷静な自分なら絶対に選択しないような
事を選択してしまう心理も
癌という病気ならではなのかと思います。

個人的な感情も込みで、癌と分かってから
僕の考えの遷移を書きます。
(ちなみに初っ端の癌宣告は、
 無で受け止めてしまったので
 思い出したら追記します。)

⬛︎まず、僕が助かる確率
(軸となる考え)

自分が助かる確率は50%です。
完治するか、しないかのシンプルな2択。
どんなにお金をかけて、
どんな治療を受けて、
どんなステージであろうと、
シンプルに結論はどちらか。

こう考えた方が余計な事考えなくて良いと思ってます。

この考え方に至るまでに、物凄く悩んだし
絶望もしたし、後悔もしました。

どうやったら少しでも可能性を上げられるか、
安心材料が買えるのか
「いくら払ってでも助かりたい」と考えたり
「どうせもうやれる事はない」と投げやりになったり
色々な感情が入り乱れてしまったので
僕なりの向き合い方を整理します。

⬛︎最初は生存率を見るのは当たり前

1番分かりやすい指標であり、リアルな数字だからこそ
癌になったら絶対にこの指標を見ます。
例えば大腸癌 ステージⅢbの場合
5年生存率は以下のように示されます。
僕の場合63.8%とされてます。

国立がんセンターの資料

・10人のうちの6人が助かる。
・10人のうちの4人が亡くなる。
このグラフはどっちに見えるかというと、
後者になります。
実際には、助かる確率が半分以上なのですが。

「癌である自分」を認識すると
どんな情報もネガティブに
変換してしまうタイミングがあります。

多分、ステージⅢaでも
・10人のうちの2人が亡くなる。
というように見えると思います。

⬛︎救世主のような治療法ブログ
(①都合の良い物を信じたくなる期)

上記のタイミングで次のような言葉を
聞いたらどうでしょう。
物凄く希望を感じませんか?

他の症例紹介もあります。

乳がん
食道がん
白血病

希望は本当に大事なのですが
ちゃんと見ていくと違和感を感じます。

明らかに「とあるお茶」に
とんでもない効果がある。という
典型的な怪しい商品売りに見えます。

抗がん剤でさえ、癌の種類によって何百とあるのに
それをたった一つのお茶で何にでも効くの!?
という、ファンタスティックが過ぎる広告。

他にも「ステージⅣでも諦めない免疫療法」と言うような
クリニックがググれば山のように出てきます。

どれもが、約400万円程度かかる代物ですが
末期癌を完治した。と言う事例も紹介してくれてます。

免疫療法自体を頭ごなしに否定するつもりは有りません。
欧米では日本より進んで取り組んでいるという
話も聞きます。

ただ、冷静に考えてみた時に
なぜ保険適応じゃないのだろう?
だったり
そもそもノーベル賞ものの治療なのでは?
そんな物が大病院ではなく、いかにも
という感じで、銀座にクリニックを構えてるの?
というように、どうしても疑念が払拭できないです。
(例えば「がん 免疫療法」とかで調べるとわんさか出てきます。)

助かるなら、払えない金額では無いです。
命が賭けられた状態で、
助かりたいと思うのは当たり前だし
可能性がゼロでは無いのであれば、
やれるだけはやろう。
という考え方も分かります。

ただ、僕自身はどう考えても
怪しさしか感じなかったので
この手のクリニックは懐疑的に思ってみてます。

逆に、楽天メディカルは凄いと思います。
免疫療法でちゃんと保険適応となっているので
信頼できる情報だと思いますし
「そんな事までやってんの!?」
と企業レベルとしても驚き。


兎にも角にも、いわゆる
「トンデモ医療」に引っかかりやすい時期が
このタイミングで、少しでも希望を持ちたいからこそ
冷静な判断に欠ける危険な時期と考えてます。
事実、僕も相談しかけましたから。

また、家族や友人が
「お金を出すから受けて」と言ってくれる場合、
これが1番危険なパターンだと思います。

自分のためを思って行動してくれる事は
物凄く否定しづらいので、
皆んなで冷静になる必要があると思います。

⬛︎次なる希望を求めて
(②他人のブログ、SNSをひたすら漁る期)

じゃあ、他の癌患者さんは
どうしているのか?
がんサバイバーの方のブログが世の中には沢山あります。
少しでも良い報告・事例を見たくて
読み漁る時期が次に来ます。

ステージⅣ(遠隔転移あり)から完治した
報告があるブログもあったり
途中でご家族から亡くなった報告が
書かれている物もあります。

特に後者は、かなりキツイです。
前日まで更新していたのに、いきなりプツンと
途絶えるような感覚は見ている立場としても
恐怖を感じてしまう印象でした。

だからこそ、個人的にはあまり
見ないようにしてました。

また、「自分は癌で色んな事を我慢してるのに、他の人は楽しそうで、、、」
というような、世の中に対する恨み節のような
SNSの投稿も個人的にはあまり好きではなかったので
SNSも癌関連は見ないようにしてました。

前回も書きましたが、癌になってしまったのは
たまたま自分がなっただけであり
誰も悪く無いというのが僕の考え方です。
だから、誰かを恨むのは違うなと思ってます。

あとは「世界一明るい癌患者」的な自己紹介している
方もいらっしゃいますが、これもちょっと苦手です。
そもそも癌になんてなりたく無かったし。

というように、自分に都合のいい情報を探しては
絶望したり、悲しい気持ちになったり。
これらを繰り返すのが、段々としんどくなり
結局、他の方の話は見ないようになりました。

⬛︎身辺整理+無気力
(③諦めモードの投げやり期)

いよいよ希望が見えなくなってきたので
治療が始まる前に、このメンタル状態になります。
まだ、何も決まってないのに
死ぬ事のイメージばかりします。

僕の場合、お金に関する整理(銀行口座や証券口座、取引パスワードなど)をとりあえずはやってみて
その後、研修で知り合った信託銀行マンに
相続関連の相談をさせて欲しいと連絡したり
エンディングノートの書き方的なサイト見たり
とにかく自分が死んだ後の事をひたすらイメージします。

今考えるとめちゃくちゃ良く無い。
というか、治るものも治らなくなる思考でした。

①で紹介したトンデモ医療を
最初は軽くでも信じてしまったがために
いざ、怪しいものと気づくとすがるものが無くなるので
「もう自分には助かる見込みが無い」と
悲劇のヒロインの如く、絶望します。

そして、②でチラチラと目につく他の方の闘病記録。
特に亡くなってしまった時の報告記事は
自分も「こーなるんだろーなー」という
ネガティブの最高潮になります。

この辺で考える事を諦めます。

あとはプロである医者に任せよう。
という、身を委ねる思考に切り替わります。

最初はいわゆる「投げやり」的な考え方から入り
だんだんと、自分の病気なのに、興味すら薄れて
勝手に上手いこと治してと、考え始めます。

⬛︎再起
(④もう一度、癌と向き合い直す期)

一度、投げやりになった方が個人的には
経験的には良いのではないかと思っています。

癌という病が、よく分からないけど
治したい気持ちはある。
ただ、余計な知識だけ付けて、
医師の治療方針の
妨げになる可能性もあるので
言うことをなんでも聞く状態の方が
医師の提示してくれるベストな治療を
素直を受け入れやすいと思います。

治療方針が決まったら再度、
無気力になった自分を
叩き起こすフェーズに入ります。

自分がどんな状態で、
今何ができて、
何をすべきなのか、
もしくは何をして貰うべきなのか。

治療方針が見えることで、
クリアになってくる事も多く
次第に、自分の癌と向き合って
やるべき事が見えてきます。

僕の場合、抗がん剤治療からスタートだったので
今できている事も当たり前と思わないようにして
・動ける時は出社する(脱毛、免疫低下があるので)
・食べれる時は好きなものを食べる。
 (やりすぎると腸閉塞起こすので注意)
・ちゃんと家族と一緒の時間を過ごす。
 (仕事人間を卒業する)
というような感じで
シンプルな事を徹底しようと思いました。
(守れているか?と言われると自信ないですが、、、)

で、上記の決め事を守っているうちに
スーパーネガティブだった頃の考え方は遥か遠くに
行ってしまい、前向きマインドになっています。

今やっていることは、死ぬ準備ではなく
今までちゃんと出来なかった事をやり直すために
もう一度、与えられたチャンスなんだと
勝手に解釈してました。

そもそも、がんセンターで
絶望してる人なんて1人も居ません。
初心の時は、あんなにも恐ろしい建物だったのに。

皆んな点滴抱えてようが、
髪が抜けて帽子かぶっていようが、
目的は完治であり、誰も諦めていないので
落ち込みながら通院している自分が
アホくさくなってきます。

⬛︎結論、自分は自分理論に至る
(⑤吹っ切れる)

ものすごい雑ですが、結局僕の場合は
50/50の考え方に落ち着きました。

病院の待合室を見た時に
年齢も状態も、何もかもがバラバラな患者集団なのに
それを一括りの生存率のような数字で表現するなんて
できない事だと思います。

何なら圧倒的に若いからこそ
表現は正しく無いかもしれないけど
アドバンテージになっている
部分でもあると思ってます。

世の中の数字に一喜一憂したところで
僕の生存率の何かが変わるわけでは無いし
むしろそんなことを調べるのであれば
今自分が出来る体に良い事を
探した方がとっても有意義だと思ってます。

そんなこんなで、色んな数字に惑わされがちですが
結局、「自分は自分」でしか無いと思います。
他の人と症例比べたところで、どっちが良い悪い
という病気でも無いので。

こうやって考えた方が気持ちが楽になります。
もちろん、100%治る病では無いのが事実ですが
50/50が段々と60/40になり、70/30になり
と勝手に脳内変換してポジティブに治療に臨めます。

⬛︎気持ち的に嬉しかったこと、良くなかった考え方

・ありがたいことにたくさんの方からの「頑張れ」とか「大丈夫」とか励ましの言葉を頂きました。
 僕自身はこう言ったお言葉をしっかり額面通りに
 受け取って、本当に励みにさせて頂いてます。
 とっても嬉しかったです。

・あとは、「誰々も癌だったけど今は元気」とか
 50/50とか偉そうなこと言っておきながら
 ものすごく勇輝を貰えた事にも感謝してます。
 先人がいる事で、自分の希望になってます。

・「ガンになって良かった」とは1mmも思いません。
 病気がきっかけで疎遠になっていた人とも連絡取れた
 事は事実ですが、そもそもそんな事になる前に
 ちゃんと連絡しておけば良かったなと
 今は反省してます。

・「自分は徳を積んで生きてる」という考え方も
 物凄く失礼な考え方でした。
 もし、神様がそんなランク付けしているのであれば
 逆に僕より先に亡くなるべきでは無い方も
 たくさん居るはず。
 だからこの考え方は絶対にダメだな
 と今では思います。

纏まりなくて恐縮ですが
詰まるところ、誰かや何かを恨んでも仕方ないし
何で自分が?なんて考えたって答えは無いので、
・どうやって今を全力で生きるか
・どうやって復活するか
・どうやって治る確率を上げていけるか

この辺を考える事に全力注いだ方が
前向きになれると思います。

僕自身もつい最近ガン診断されたばかりですが
もし、同じように絶望期に突入している人が居て
少しでも参考になってくれれば幸いです。

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