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理解しない!!ブラームス交響曲第1番

前回、「見ない」「聴かない」「理解しない」そして「妄想する」クラシック音楽の聴き方について、書きました。

このように聞くことは、その曲に対する理解を、逆説的に深める要素があることを確信しています。

しかしながら、確固たる方法はありません。なぜならば、すべての解説はまさに、「見ない」「聴かない」「理解しない」そして「妄想する」だからです。

ここに肉付けして説明をしたところで、その解説に誘導されてしまうことで、個々に特有のカタルシスを得ることは不可能になります。

以下は、私の感じたことの、1例です。

ブラームス交響曲第1番

今回はこの曲で試していきます。

交響曲第1番ハ短調作品68(こうきょうきょくだい1ばん、ドイツ語: Sinfonie Nr. 1 in c-Moll, op. 68)は、ヨハネス・ブラームスが作曲した4つの交響曲のうちの最初の1曲。交響曲の定石通り4つの楽章で構成されている。演奏時間は約47〜53分。

楽章ごとに棚卸ししてみます。
気軽な文章で書いたので、気軽な気持ちで、読んでください。

特に、太文字は正解のない私独自の妄想が言葉となっており、伝えたい部分です。是非、太字の部分は注意して、読んでいただければと思います。


第1楽章

序奏は絶対的な、確固たる、揺るがないティンパニの連打から始まります。

なのに、ゆらゆらと千鳥足で覚束無い、重苦しい雰囲気に、続いていきます。

その後、ハッと気付かされるようなtuttiが始まり、ソナタ形式に沿って曲は進みます。

1楽章のみならず、全体を通して受ける印象ですが、sinカーブのような曲の浮き沈みがあり、これは「人間の逃れることの出来ない感情」として捉えられるのではないかと考えています。

頻繁にベト5の運命の動機を思わせる音型が出てきますが、それは今後、この曲の行く末を思わせる材料として役立っています。

第2楽章

普段つまみ食いでブラ1を聴くときは、大体2楽章や後述する3楽章から聴き始めます。

何となく聴きたいと思う時、1楽章からだと重過ぎるためです。

2楽章はまるで人生における、憩い、癒しなど、全ての「束の間の休息」を連想させます。

その中にもほんの少し、憂いを感じさせる、この人間臭さが大好きです。
一番聴くのは、この楽章かもしれません。

第3楽章

何故か3楽章の序盤を聴くと、コーヒーを飲みながらゆったりしたくなる。
それは何故なのな。理由は分かりません。
ンタタター、ンタタター、ンタタタタタタタタタ…と、運命の動機のようなものが頻発します。

運命とは何か?
それは、決められた道?
生きること?または、死ぬこと?
誰がそのような運命を決めたのか。

「それは、己自身の人生の連続性のある選択が、そうさせたのではないか?」

悔いのないように常に考えて生きろ…
そう言い残し、4楽章へ入ります。

第4楽章

弦楽器のピッツが、悩ましい足音に聞こえます。

けど、私の選択は間違っていない、そう告げるかのようにティンパニ率いるオケ全体が、クレッシェンドで主張します。

まだ悩み続けるのか。弦楽器のピッツが再び始まり、立ち止まり悩むかのようなメロディが頭を駆け巡ります。

悩んで悩んで苦悩し、自暴自棄になったのか、決意を固めたのか、ティンパニの連打でかき消され、ホルンの雄大なメロディが支配します。

「なんだ…お前は誰だ?一体何者だ…。俺の望んだ運命なのか?」恐ろしく静かに、問いかけるように、トロンボーンのコラールが奏でられます。

その後、新しい景色が開けたかのように、高揚感のあるメロディが弦楽器、木管楽器によって奏でられ、その後全員に引き継がれます。

それでも、立ち止まり、悩みます。

その都度、自己を納得させようとするも、私の選択は間違いだったのではないかと、疑心暗鬼にある自分に直面する。

「いや!違う!正しい!私は正しい!」
と、連呼を思わせる、タタタタン、タタタタン、タタタタン!という音型がたくさん出てきます。3回繰り返しで度々登場します。

自分の今までの過去を否定し、何度も自分を責めてしまう様な音にも聞こえます。また、これからの未来に握り拳を掲げて、3度万歳するようにも私には聞こえます。


途中、対位法のような楽器間のメロディのやりとりがあり、前には進んでいるけれども、その分後ずらりしてしまう自分がいる、それを暗に示し、再び静かになっていきます。

ティンパニの小さい連打とともに、再び歩き始めますが、人生の乗り越えなければならない壁は、今までの壁よりもさらに高くなり、再び心が折れそうになる。その壁を目の当たりにし、「俺は正しかったのか…?」と、悩み続ける事になります。その応酬をひたすら続ける事になります。

しかしその後、ひとかけらの光を見つけのか、タッタカタッタカと、駆けるかのような音型が現れます。

その先に見えたものとは…

トロンボーンなどで奏でられる、過去に見たことのある、確かに私が望んでいた運命でした。

その後、自尊心や虚栄心では無い、自己肯定感に溢れた豊かな人格が見え隠れするように曲は進みます。

ティンパニが今までのネガティブを払い除けるような力強い強打を見せながら、ラストを迎えます。

正解は1つではない

上述したイメージは、私が「理解しない」でじっくりと聴いて得られた結果であり、色々な考え方があると思います。
それは私の選択における、思考、意識、自己意識などが、そうさせたにすぎません。
人の数だけ、正解がある。

色々と書きましたが、聴けば聴くほど味の出るスルメ曲です。

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