札幌-稚内
思い立った。
「自転車で1日走ったら、どこまで行けるだろう。」
と。
目的
キャノンボールというチャレンジの存在は、日本の自転車乗りにはある程度有名なのではないだろうか。
参考までに、キャノンボールとは東京-大阪間の約550 kmを1日で走り切るというチャレンジのこと。
何を隠そう、僕の将来的な目標である。
要するに、1日走り続けて約550 kmの距離を行くわけです。
これを目標にするにあたって、まず1日走り続けるっていう感覚を味わってみようと思い、今回の札幌-稚内ロングライドを挙行した。
計画
今回のロングライド、計画段階では3.4人の友人とともに行く予定だった。
しかし、GWと言えど、北の大地北海道。まだ夜は寒いだろうと1人脱落。
近頃何かと話題のコロナによる自粛によりまた1人脱落。
と言った具合に人は減り、残ったのは自分一人。
まあ良い。キャノンボールも一人での挑戦だ。
一人での挑戦にはメリットもある。
・自分のペースで走れる
・自分で何とかする力が身に着く
などだ。
一方でデメリットはと言うと、
・ひたすらに孤独!
自分のペースで走れるっていうのが、実はかなり大きいっていうのは、過去数回の友人とのロングライドで実感したところでもある。
これは、相手が遅い場合にそれに合わせなきゃいけないっていう気遣い、と言うよりはむしろ逆で、自分が遅くて「相手に気を遣わせているな」っていう心労が意外と心にくるんですよ。
自分が早い場合、
自分「大丈夫?」
相手「大丈夫。」
ってなるじゃん。でも実際どうか分からないじゃん。
これの逆なんだけど、大丈夫?って聞かれても大丈夫って答えちゃうんですよね。大丈夫じゃなくても。
日本人らしさというか、良くないことだなとは思いながらも。
そんなこんなでぎくしゃくとしていくわけですよ。
こういう経験から、ある程度の距離・時間になると思われるロングライドは、1人のメリットを大きく感じるわけです。
僕も周りの友人も普段トレーニングをしているというわけでもない人間なので、特にそのきらいがあるかなと思うのです。
さて、閑話休題、本題に戻ります。
計画はこんな感じ
・札幌-稚内の約320 kmを走る
・道は国道231号線と国道232号線(ほとんど一本道)
・帰りは稚内から電車
要するに、ほぼ無計画ですね。笑
前日譚
いよいよ明日の朝、出発だ。
「4時に起きる予定だし、早めに21時ぐらいには寝とこうかな。」
なんて考えていたんです。
ところが、遠足前の小学生よろしく、楽しみすぎて寝れませんでした。笑
結局、最後に時計を見たのが23時過ぎてから。
起きれなかったらどうしようと、かなり不安でした。笑
札幌-石狩
前日夜の不安は去り、朝は予定通りに起床。
身体に疲れはなく、理想的な睡眠をとれた感じ。
さあ、出発だ。
石狩の海は夏になると良く行っているので、走り慣れた道って感じです。
いつもより早く感じたのはこれからの距離があったからだろうか。それとも、通過した時間が7時頃だったからだろうか。普段起きるのは7時頃なので、その時間に遠くにいるっていう印象のおかげかもしれない。
石狩市、ひたすらに長かった。
どれだけ走ってもずっと石狩市。
1号線の静岡、4号線の新潟、に似た印象を受けました。
あぁ、まだ石狩か。
石狩-留萌
石狩のあそび―ちの近くを通過してから、留萌までの道。
札幌-留萌は100 kmを少し超えるぐらいの距離。
実をいうと、北海道でのロングライド経験はあまりなく、石狩より北の地は僕にとっては未開の地だった。
道は走りやすくアップダウンも少なめで、天気も暑すぎず寒すぎず、コンディションは抜群。
しかし、トンネルが多い!
しかも、一つ一つの距離が長い!
中には4 kmぐらいあるものも。
自転車×トンネル、めちゃくちゃ集中力使うから、すごく疲れる。
ひんやりと冷たい空気、仄暗い空間、規則的なタイルの溝。
高速道路催眠現象(ハイウェイ・ヒプノーシス)みたいな感じで、眠くなる。ぼーっとしてくるんですよね
永遠に続く石狩市。
海沿いを走るときの醍醐味はこんな道。↓
よく僕が使う表現では「マリオカートみたいな道」
こんな道が大好物なんです。
まだまだ続く石狩市。
トンネルをいくつも抜けて、軽度なアップダウンをいくつか通過した先に駐車できるようなスペース。
少し疲れた。休憩にしよう。
家から持ってきたおにぎりをいくつかむしゃむしゃ。
何の変哲もないおにぎりですが、疲れと空腹もあり、とても美味でした。
それでも続く石狩市。
さらに数多のトンネルを抜けると、目の前に現れたのは滝だった。
白銀の滝と書いてあったような気がする。
ここで、同じく自転車の高校生集団に遭遇。
みんな疲れ切った表情でスマホにかじりついていた。
かくいう私も同じようにスマホにかじりついていた。
現代人って感じですね。
そろそろ終わるよ石狩市。
幸いにも私は髪の毛に悩みはないので、ありがたみはあまり感じていないが、一部の人にはご利益がありそうな町、増毛町です。
やっと石狩市を脱した!
特に何事もなく、20 km走るごとに1回ぐらいの頻度で休憩をはさみながら、ぐんぐんと進んでいきます。
一応、昨今の情勢(コロナ)に配慮し、休憩も含めてほとんど外にいます。
家から持ってきたおにぎりと、途中コンビニでいくつか買ったおにぎりだけで食事も済ませていました。
本当に、自転車に乗ることが目的って感じでした。
とかなんとか言ってる間に、いつの間にやら留萌です。
カントリーサインの写真しか撮ってねぇ……。
留萌-稚内
一気に進みます。
留萌までで約3分の1の進捗。
それでも100 kmオーバー。
これまでのロングライドだったら、1日に走る距離が大体これくらい。
「まだ体力の余裕はあるけど、このあたりにしとくか。」って感じで。
要するに腹八分目って感じですね。
今までで一番無茶した時でさえ、長万部-札幌の180 kmぐらいの距離。
今回はまだ200 km以上残ってる。
未知の領域。
私の中のチキンハートが叫ぶ。
「ここから電車で帰れるぞ。」「引き返すなら今だぞ。」「稚内まで行ったってことにしちゃえ。」「引き返しても話のネタぐらいにはなるでしょ。」
私が叫ぶ。
「うるせぇ」
もはや体力より気力・根性で進む。
なんてドラマを頭の中で展開しながら、淡々と進んでいく。
苫前町。
このあたりから天気が少々悪くなってきます。
羽幌町。
低い丘が十数個連続している。
このタイミングでの微妙なアップダウンが、確実に私の体力を削っていく!
しかし、個々を超えるとそのあとは稚内までほぼ平坦。
この希望を胸に乗り切る。
初山別村。
キツネが道路を歩いていたのは確かこのあたり。可愛かった。
霧に視界を阻まれ始めたのもこのあたりからだっただろうか。
幸いにも交通量が少なく、道路の状況も悪くなかったため、ダメージは大きくない。
景色は楽しめないが、そもそも何もない。ただの草原。
逆に、霧に染まっている姿も、それはそれで趣があるのかもしれない。
日が落ちる。天候は曇り。世界は真っ暗。
カントリーサインの写真すらない。
真っ暗で撮っても良くわからないという判断。
そんな真っ暗な世界で私はと言うと…
ちょっと病んでるっぽく呟いてみたりして、この状況を楽しんでいた。
自分のライト以外の光が皆無。
シカの群れが道路を歩いていたのは確かこのあたり。すごく怖かった。
そんなこんなで稚内市に到着。
しかし、駅まではまだ60 kmほどある。
それでも、とても嬉しく、テンション上げ上げでした。
初めての稚内は真っ暗で全然わかりませんでした。
今度は明るい時にゆっくりと観光したいなと思いました。
駅に着いたのは深夜2時頃。
特別寒いと思うこともなくここまでたどり着いたが、走るのやめるとめちゃくちゃ寒い。
5時ぐらいに駅が開く。それまでの3時間。
震えて待て!
終了!
Ave. 20 km/hを超えてるし、悪くないんじゃないかと。
しかし、この速度ではキャノンボールは不可能だな。
精進せねば。
帰り道
帰りは電車。輪行していきます。
乗車10分もせずに深い眠りの世界に。
とても疲れた。
ところで、財布の中に現金を持っていなかった。
文字通り1円も。
キャッシュレスな世の中になったものですな。
終わり。
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