君にだけ、綺麗な物語を。

 僕のことを考える必要はない。
 

 ただ、君は、僕にとってだけではなく、間違いなく世界にとってかけがえのない存在だったと、僕はただその事実だけを事実だと確信していて、君の中には確かに、曇りのないままで綺麗なものがあって、ただ世界の中に、途方もなく長い宇宙の歴史の中のほんの一時、ほんの一点として確かに希望の光が存在していたという紛れもない真理だけを真理だと確信していられたら、本当にその他には何もいらないような。僕の救いなんていらなくて、君の存在証明と、君の存在した世界が、君にとって本当にかけがえのなかったものが、一つでいい、ただ一つでも、ほんの些細な木漏れ日のようなものだったとしても、それで照らされたという事実が、どんな形でもただ存在してくれればそれで良い、そんな世界。もし、存在しないなら、僕が君に成り代わってでも、復活させて見せる、それだけで終われば良いような、そんな僕の命。

 静かで残酷な永遠を誓い、願い、今生の別れ、君の生の結び。



 別れの始まり。

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