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微笑がえし

「もうそろそろ時間だね。」
僕たちは、今からお別れ。空にはひつじ雲が浮かんでいて、なんだか不思議な気分。ぼくが馬鹿をやるといつも呆れながら微笑んでくれていた君の顔が思い浮かぶ。君の顔には、いつも健気さがあったね。
「ちょっと、寂しくなるね」
「うん」君は微笑んでそう言った。
きっと、僕たちは今おんなじ気持ちなんだと思う。この人はきっと僕と別れても、これからもこうやって微笑んでる。その微笑みはかけがえのない切なさで、まるでお空に浮かんでるひつじ雲みたい。
君の微笑みをみて僕がふふっ と微笑み返すと、なんだか涙が溢れちゃいそうになった。きっと、僕は君を忘れない。けど、もうさよならしなくちゃ。
「じゃあ、またね。」
お互いにひつじ雲のような微笑みをたたえながら、僕たちは三叉路でお別れした。

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眠れない夜に

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