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音楽好きが見るべきアニメ「キャロル&チューズデイ」が素晴らしすぎた

数年振りにオリジナルアニメ作品を見た。
元々気になっていたということもあるけど、素晴らしすぎたので個人的主観で感想文をまとめてみる。
アニメに興味がなくても音楽好きは絶対ハマると思うので、是非観てもらいたい。

ここからはネタバレを含みます。
ストーリーというより音楽的な視点の感想文ですが、ネタバレを観たくない人は見終わったら読んでくださいね。

キャロル&チューズデイって?

「全世界の音楽を愛する人に捧げる、2人の少女が起こした奇跡の物語。」

人類が火星に移り住んで50年が経ち、多くのカルチャーがAIによって制御された時代が舞台です。
主人公は、スラム出身でアルバイトをしながら一人で音楽活動をしている女の子「キャロル」と、裕福な家庭に生まれ音楽をしたかったが誰にも理解されない孤独な女の子「チューズデイ」の二人。
この二人が偶然出会い、音楽で人生が変わっていくというお話です。

女の子のユニットを組んで歌う…ここだけを切り取るとよくあるアニメだと思うでしょう…。単に音楽を題材にしたアニメでは留まらない、音楽好きにはたまらない要素が詰まってるんです。まずはPVを見てもらいたい。

〈音楽好きがハマる理由1〉
監督・製作陣がやばい!

総監督:渡辺信一郎
アニメーション制作:ボンズ
キャラクター原案:窪之内英策
音楽制作:フライングドッグ

あの「カウボーイビバップ」や「サムライチャンプルー」と同じ監督というだけでファンにはたまらない。そしてカウボーイビバップの世界観に似ている。使われている通過や見たことがある建物まで…。
渡辺監督とアニメスタジオボンズ、音楽レーベルのフライングドッグ
これだけでもうたまりません。

〈音楽好きがハマる理由2〉
音楽がオマケのアニメではない!

まず大前提にこのアニメは音楽と音楽好きのために作られている。(だろうと勝手に思っている。)
AIが作る音楽が良いとされている時代に、人間が作詞作曲をして演奏する良さをこのアニメを通して伝えている。

何より徹底しているポイントとして、
・声優は歌わない
・作中の楽曲の全てが英語で歌われる

アーティストとして登場するキャラクターの全員が、セリフを担当する声優とボーカルを担当するアーティストの1キャラ2名のキャストが演じる。
ボーカル役にも視聴者全員が知ってるような歌手ではなく、オーディションで選ばれたマイナーやデビューしたてのアーティストを起用してるのにも好感を持てる。
そして作中の曲で日本語が全くないことで、ストーリーに合わせた歌詞ではなく、純粋に音楽で勝負してる感が伝わってきた。

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〈音楽好きがハマる理由3〉
実在するアーティストや楽曲が多数登場する!

例えば、主人公のチューズデイはラジオで、シンディ・ローパーの「True Colors」を聴いて音楽に出会い、シンディと同じ17歳で家出をするとか、マイケルジャクソンやダフトパンクといった実在するアーティスト名も良く出てくる。
各ストーリーのタイトルはエアロスミスやサムクックなどの実在する楽曲名だったり、チャイルディッシュガンビーノ風のキャラクターが登場したり…とにかく音楽愛溢れる作品。

〈音楽好きがハマる理由4〉
ガチのヤバいプロデューサーが楽曲を提供している!

コンポーザーがとにかくすごい。国内外の錚々たるメンツが集結している。
日本からはオープニング曲にNulbarich、劇中歌にはm-flo ☆Taku Takahashi、Cornelius、D.A.N.、G.RINA、ceroなどとにかくコアなファンも多い素晴らしいアーティストが勢揃い。
「スティーヴ・アオキ」に関しては作中に絶対本人でしょ!ってキャラクターが登場している。

あと何と言っても登場キャラが歌う一曲一曲が素敵!
主人公ユニットはギターとキーボードで作られる人間味溢れる楽曲に対して、ライバルとして登場するアンジェラはAIが作る流行的な音楽になっているので、FutureBassやR&Bテイストのキャッチーな楽曲。
その他にもG.RINAが楽曲を提供している序盤に出てくるピョートルの曲が最高!AIをフル活用しているトップDJとして登場するアーティガンが、スランプを抜けて復活する時の曲もかっこいい。
後半に出てくるラッパーのエゼキエルの楽曲も、デフォルメされたアニメ的なヒップホップではなく、最近のトレンドを取り入れたガチのヒップホップとなっていたり、楽曲提供しているmocky本人が歌ったりなどなど…とにかく登場する音楽全てが素晴らしい!

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〈音楽好きがハマる理由5〉
カルチャーの再現、音楽への愛がすごい!

このアニメの一番の音楽愛を感じるポイントは何と言っても、音楽シーンの力の入れ具合が半端じゃない。
作中の音楽シーンは、実際の演奏やダンスなどパフォーマンスを撮影して、アニメーターが手書きで作画しているという本気度。

作中で歌われる楽曲のほとんどがBGM扱いはされず、キャラクターが1〜3分間歌いっぱなし。しかも1話に数曲歌われる回もあったりと今までのアニメではありえないことが行われている。
もうなんかMTVとかYoutubeでPVを流している感覚に近い。

作中に出てくる楽器や機材もギブソンなどの海外楽器メーカーとのタイアップしているらしく、実在する音楽業界の企業ロゴも盛りだくさん。

さらに各ジャンルのいろんなカルチャーも匂わしている。
治安の悪い地域の大麻を栽培してる庭。黒人バンドとの狭い部屋での収録。
主人公ユニットの初めての収録はセンターマイク一本で普通の部屋での一発録り。まるでボブマーリーのドキュメンタリーを思い出す。
本当に音楽愛に満ち溢れた作品。

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〈音楽好きがハマる理由6〉
これはただのアニメではない、音楽のドキュメンタリーだ!

これまで語ってきた通り音楽の愛がすごい。
チャートに入るAIが作る音楽も普通に良いと思ったけれど、キャロルアンドチューズデイの曲を聴くと、歌詞が英語でわからないのに自然と涙が流れたことがあった。人の想いがのった音楽ってヤバイなと再認識。

AIがつくる音楽・政治と音楽・表現の規制・人種差別 etc…
色々考えさせられた後に「音楽の力はヤバイ!音楽は自由だ!」と言わんばかりの演出が最後にあった。
最終回ではまさにアニメ版「We Are the World 」。
今まで登場した主要シンガーが集まり1曲を歌う7分間。
1話からイントロでずっと入っていたナレーションがここで流れる。
「後に奇跡の7分間と呼ばれることになった。だが、奇跡はここで起こったんじゃない。きっとこの歌を聴いた一人一人の心の中で起きたんだ。」
そして「Will be continued...」「In your mind」の文字が出てきて締めくくられる。最後の最後までにくい演出。もう大号泣。

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最後に

とにかくこの数年で見た映像作品の中では最高だったので、すごい長文で語ってしまった。音楽って最高!改めて思う。

アニメはちょっと…という人もラジオを流す感覚で流ししてるだけでもいいかも。それでもアニメにハードルを感じる人は、Spotifyで作中の楽曲をまとめたプレイリストを作ってみたので、音楽だけでも聴いて欲しい。
ジャンルレスで豪華コンポーザーが楽曲提供し実力アーティストが歌う。こんなコンピレーションアルバムもなかなかない。

アニメ音楽と侮ることなかれ。見た人いたら誰か語りましょう。


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