異邦人の処世術
カフス傷だらけの地図の主人公、沢渡勇作は、あらゆる暴動を引き起こし、良くも悪くも全てを変えていく。そして自身の加害性に気付き、パッセンジャー(通過者)として定住しない選択を取る。続編である第二部では、自身を含めた傷の治癒、贖罪の物語になっている。
通過者としての主人公像の例として、ドラゴンボールの悟空にもその性質が存在する。
また以前、悟空が自身の孫である、パンの事をそんな奴いたっけと忘れている様子が、ドラゴンボール超にて描かれ、物議を醸した。批判内容として、悟空は家族を大事にしている、そんなドライな人格の描写は解釈違いだ、という様なものだ。
悟空は、あくまで戦闘民族という異邦人であり、
パッセンジャー(通過者)に過ぎないのだ。 強くなる事や、闘いを楽しむ事が第一であって、地球人の価値観で、共同体に対するウェットな執着は薄いというのが、私の解釈だ。
悟空は異星人の設定として描かれたパッセンジャーですが、カフス傷だらけの地図では息子の人格に成り変わった人間として描かれています。
異邦人が、自身が持つ加害性に気付き、通過者として生きる事を選択する時の、悲しみに私はグッときます。
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