父になるようです その13(奥さん入院)

30週を過ぎた。

色々心配は尽きないけれど、ここまでかなり順調に来ていた。
普通の(?)三つ子妊娠だととっくに管理入院していてもおかしくない週数らしい。
三人とも1200gを超えて、合計3600g。既に腹囲は1mを超えていて、そろそろ歩くのが辛そうな感じ。
でも家にいる分にはやっていけないことも無い、と奥さんは言う。
微妙な時期に差し掛かってきた。

先々週位から、奥さんの足に浮腫みが出始めた。
さすがに子供達がリンパ循環の邪魔をし始めていて、日を追うごとに
魔法使いサリーちゃんのようなまっすぐな脚線になっていく。

最初はマッサージなどやっていたけれど、ここ数日は触るのも痛いと言う。
朝晩は顔にも浮腫みが出始めて、数十年後の太った奥さんを見ているようだ。
そうか、こうなるのか。覚悟しよう。

辛そうな奥さんをハタで見ながら、少し安心感が芽生えてきた。
30週、1200g、なかなかどうして遠かった1kgの壁。
1200gなんて超未熟児もいいところだが、三人居る分スペースも少ないので
一般より小さくてもそれが普通らしい。
大きさよりも週数の方が、肺やその他器官の成長に影響する…など
ネットで調べた知識を復唱することでも、少しは安心感を得られる。
このまま1500gは超えたいところだ。軽く言うが、合計で4500gである。
西洋人でもそうそう無いビッグサイズだ。最近お生まれになったイギリス皇室のご子息はどのくらいだっけか?

ここからは奥さんの身体との相談になってくる。
医者は今のところ入院を強く奨めることは無く「本人が行けるところまで」という基準で話している。
何せなるべく長く胎内に置いておきたいし、自宅で過ごせるにこしたことは無い、ということだろう。
なんだかお気楽にも映るけれど、非常に冷静な対応だと思う。
ただ、奥さんの足がそろそろサリーちゃんの域を超えてきてる気がする。
スーパーに買い物に出たときの疲れ方がハンパ無くなってきた。そろそろ限界かな。。
買い物から帰って、奥さんに入院を勧めた。本当によくがんばったと思う。
次の日の妊婦検診で先生に「そろそろ無理」と自己申告。週明けを待っての入院が決まった。

入院当日。
奥さんのサンダルに足が入らない。ベルトを限界まで拡げてやっと入った。
少し動くのでも息切れをしている。典型的な臨月の妊婦さんの姿である。でもまだ30週。
手を引いて車に乗せ、いつもの大学病院へ。いつもと少し違う心境。

入院の手続きをすませて待っていると、助産婦さんが車いすを押してやってきた。
初めて車いすに乗る奥さんの姿を目にする。複雑な心境である。

MFICU(母体胎児集中治療室)へ到着、オートロックの自動ドアを開けて中へ。
ドア付近の壁に「(基本的に)患者の配偶者および両親以外は面会できません」とある。兄弟は無理なのか。。
新しい建物らしくやたらキレイ。少し奥の個室に通された。出産までは個室に入って
産後は相部屋に移るらしい。奥にはNICU(新生児特定集中治療室)の方へ繋がる扉が見える。さらにオートロック。
廊下にはほとんど人通りが無く、ほかの人がどれだけ入っているのかはよくわからない
たまに点滴を転がしながら歩く妊婦さんが見える。改めて入院を実感する。
ひとまず奥さんは点滴などの必要は無いようで、ただ「安静に」と伝えられた。

ほどなくして職場へと向かった。
いよいよ差し迫ってきたな。。。

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父親目線で綴った三つ子の育児日記です。 奥さんの妊娠から出産〜退院までをまとめています。

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