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強情さは誰譲り?

個性豊かな野郎2人に囲まれて、長女はいくぶん品行方正に育っている。人見知りは少しあるが、少し慣れれば屈託のない笑顔で愛想を振りまく。
3人の中で1番身体は小さいが、精神的な成長はやはり女の子だけに早い。今日も奥さんの言葉をコピーして、長男に向かって説教じみたことを言う。
東京から帰ってすぐ、幼稚園へ3人を迎えに行くと1番にこちらへ駆け寄ってきて、抱っこをせがんで降りようとしない。愛情表現の素直な、可愛げ満点の娘だ。facetimeでも、「いつ帰ってくるの?」「パパの家はここなんだからね!」奥さんから言付けられているのだろうか?大事なことを不意に伝えてくれるのも娘だ。次男の世話で手が離せない、すこし精神的な距離が開いてしまっている奥さんに代わって、父親の話し相手になってくれる。
仕事で東京へ発つ前、泣き叫ぶのもやはり娘だ。パパと一緒に寝たい、なんで東京行くの?と、今にもこちらが泣いてしまいそうな直球を立て続けに投げてくる。このまま連れて行ければどれだけ良いだろう。勢いで連れて行ってしまえばなにかが始まるのだろうか、いや娘にそんな苦労はかけられない。いつも小さく葛藤しながら家を出る。
「〇〇くんとけっこんするの。だからとうきょうはいけないかなー」もう絵に描いたような、教科書どおりのおんなのこの所作だ。わかった好きにしろ、でもそんな食べものこぼしてたらけっこんできないぞー。娘の笑顔には既に何度も救われている。

三つ子の子育ては負担も3倍、と雑に言えばそうなるが、それぞれの状況がうまく分散されて、一方に固執し過ぎないで済むと言う点では少し利点があるのかも知れない。例えばひとり息子が自閉スペクトラムで、その世話だけの生活になったらどうなるか。どれだけ平常心を保てるだろうか。うちの場合は3つのケースで一長一短、という見方ができる環境でもある。かなりポジティブにとらえれば、だけれど。

幼稚園の運動会で、親子のフォークダンスに娘と一緒に出た。意気揚々と手をつないで音楽に合わせて…踊るつもりが、娘がむすっとした顔で微動だにしない。どうした、せっかくの晴れ舞台だ踊るぞ!乗せても乗せても効果なし。前日まで風邪気味でやっと熱も下がったところで、たぶん練習が充分にできなかったのだろう。振りをあまり覚えていないようだった。大人からしたら大した振り付けではないので父親について来ればなんとか踊れそうな感じだったが、少々プライドが高いのかも知れない。ちゃんと出来ないものはやらない!という具合か。結局その日は、地蔵のように動かない娘の周りを父親があたふた動く滑稽なフォークダンスを披露した。なかなか強情である。

後日のお遊戯会。鈴を持って登場した娘たちによる、どんぐりころころの合唱が始まった。とても元気な歌声が響き渡るが、2小節ごとに4拍裏で聴こえる「しゃん‼︎」という元気なソロパート。明らかに歌詞に無さそうなオリジナルパートである。そして聴き慣れた声。娘よ、おそらくそこは鈴を鳴らすパートだから口で言わなくていいと思うぞ。例によって、練習はあまり充分でなかったのだろう。しかし運動会と比べて、「わかんないけどとにかく何かやってみる」という姿勢が垣間見えて素晴らしい。そばで見ていた義父母も大ウケのパフォーマンスであった。

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父親目線での三つ子育児日記 移住先でのくらしと発達障害の判明、その考察

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