【短編】『ふふふ、身体は正直だなあ?』~わがままボディの白鳥さんはポーカーフェイス~

 隣の席の白鳥さんは無表情。
 いわゆるポーカーフェイスというヤツだ。

 お嬢様で美人。
 髪の毛は黒髪ロングのさらさらで、肌も透き通るように白い。
 身長はすらりと高くて、手足がとても長いのに身体は、その、ナイスバディ―、だ。
 声もクール系で静かで綺麗で落ち着く声。
 無表情だけど、それがまた、彼女にミステリアスな魅力を持たせているとは僕の親友談。

 当然、モテる。

「し、白鳥さん! 今、いいかな!?」

 今日もまた告白しにくる男子が。
 しかも、隣のクラスのサッカー部のエース、三浦君だ。
 イケメンだし、サッカー上手いし、成績もいいらしいから、学校中の女子の憧れの的。

「ええ、大丈夫よ。何かしら? ちょっと行ってくるわね」

 歩き方一つでも品がある。
 白鳥さんが通りすぎるとふわりと花のような香りが。
 そして、数分後、帰ってきた時も出て行く時と同じ表情で。

「おかえり」
「ええ」

 何事もなかったかのように席につく白鳥さん。

「で、どうだったの?」
「何がかしら?」

 ずっと無表情で。

「告白、されたんでしょ?」
「されたわ。断ったけど」

 無表情。

「そう」
「もしかして、焦ったの?」

 無表情のまま僕に聞いてくる。

「そりゃあね」
「そ」がしゃん!

 彼女は無表情で。

「あのさ」
「なに」がしゃん!

 彼女は何を考えてるか分からない。

「うれしいの?」
「なにが?」がしゃん!

 顔だけ見れば。

「席に座ってるのにスキップしてるけど」

 がしゃん!

 身体は正直なんだ。

 今も席に座っているのに、身体はスキップをしているし、上半身はガッツポーズしてる。

 よく見れば顔以外真っ赤っか。
 照れてるんだ……。

「それは、嬉しいわ。私の大好きな人が、私が告白されただけで嫉妬してくれてるんだもの」がしゃん!

 心も正直だ。
 読めないのは表情だけ。

 未だに笑う事は出来ないけれど、いつかきっと……。
 告白のあの日に誓ったように、笑顔も取り戻してみせる。

「貴方だからこうなるのよ?」がしゃん!

 クラスのみんなはもう慣れているし、こうなってしまう白鳥さんを見てほっこりしている。

 僕の親友だけ、揺れる胸を凝視してて親友止めようかなと思い始めた。

「好きよ」

 無表情だから、それ以外で精一杯愛を伝えたいらしい。
 もう僕の手をがっつり恋人握りしてる。

 白鳥優華は、ポーカーフェイスだ。
 でも、身体はとっても正直でとってもかわいい女の子だ。

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