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そうやって、救われたいのは私なのかもしれない。

親友が死んだ。
もう、8年も前の今頃のことだ。自殺だった。

親友は男で、割とメンタルが弱い子だった。
中学生の頃から仲がよかった。
親友の親が離婚することになり、すでに離婚している家庭で育った私に愚痴や弱音を吐いていた。

高校もずっと同じクラスだった。
昼休みを1人で過ごす私のそばに犬みたいに寄ってきて
夏にはベランダの手洗い場に水を貯めて足を冷やしながら
一緒にご飯を食べていた。
親友が寄ってくる日は、教室でそそくさとご飯を食べて図書室へ避難しなくて済むので気楽だった。

親友は恋愛依存体質だった。
付き合っていた彼女にフラれた暁には
もう女は信じられないから、ゆがみとも喋らない
と、訳の分からないことを言い出していた。
しばらくそっとしておくと、またケロッとした顔で話しかけてきた。

卒業する頃が近付き、元々福岡の専門学校へ行く予定だった私に
「こうやってバラバラになって会えなくなるの寂しいな」
なんて言ってた。
こういうことを素直に言えるところが親友のいいところだった。

卒業してからも、彼女と喧嘩しては相談の電話がかかってた。
夜中に突然
「パチンコ勝ったからメシ食べにいこ、今から迎えに行くわ」
と、連絡があるときは余程の喧嘩をしたときだった。
話を聞いて、アドバイスして、その場で彼女とやりとりをして仲直りすると、
「ありがと!彼女のとこ行くわ!」
と、そそくさと私を家に送り彼女の元へ向かうのが恒例だった。

「この彼女とは結婚したい」とずっと言ってた。
相変わらず相談に乗るのは続いていたが、当時の私の彼氏にスマホを見られ、親友と連絡をとることをやめてと言われた。

彼氏にスマホ見られて連絡とるなって言われたから、ごめんけど君と連絡できない。でも何かあったら電話して。

これが、生きている親友にかけた最期の言葉だと思う。

親友から電話がくることもなく、その2年後くらいに他の友達から電話がかかった。

「親友くんが亡くなったらしいんだけど、ゆがみちゃん知ってる?」

パニックだった。今でもその時の光景が思い出せる。
彼氏と同棲を始めていて、夜ご飯のハンバーグをこねてた。
事故なのか病気なのか、どうしてなのか分からなかった。
泣きながらお通夜とお葬式の時間を聞いて、電話を切った。
何かしていないとどうにかなりそうで、泣きながらハンバーグを焼いて食べた。

(あぁ。親友が死んだのにご飯は食べれるんだ…)と自分が嫌になった。

翌日、他の男友達から連絡が入り、自殺だったことを聞いた。
遺書はなかったけど、彼女にプロポーズをして断られ振られたそうだ。

そのことが原因なのか、他にも何か悩んでいたのか、誰にも分からない。
現に、親友は自殺した日も友達と遊ぶ約束をしていたし、前日にはパチンコに行っていた。

お通夜やお葬式に行くと、親友の友達や職場の人がたくさんいた。
泣いている女の子もたくさんいた。
もう息をしていない親友を見て、無意識に出た言葉が、
「何もできなくてごめん。でもバカ」だった。

女の子なんて、この場所にですら何人もいるのに。
振られたくらいで死ぬなよと思った。

だけど、親友にとっては彼女がすべてだったのだろう。
真っ黒に飲まれて、もう、何も見えなくなったんだろう。

「あいつ何年か前に、『ゆがみが彼氏に”俺と連絡取るな”って言われたらしいからもう連絡できない、喧嘩になったら悪いしなぁ』ってボヤいてたわー」と、他の友達から聞いた。

連絡取れてたら、親友は自殺しなかったのかな。
また夜中にメシ食べいこって連絡あって、それで話聞いてあげれてたのかな。何年経っても後悔している。多分、一生後悔したままだと思う。
真夜中でも何時間でも話に付き合うから生き返ってくんないかな。

あれからほぼ毎年、友人らと一緒にお墓参りに行く。
山奥にあるお墓。そしてお墓参りの日はいつも雨。
じゅるじゅるの泥まみれになりながら、みんなで「遠いし山だし嫌がらせかよ」と文句を言いながら行く。
だけどそんな遠い道中もずっと親友の懐かしい話をして笑い転げている。

親友のことがあってから、私には誰も助けられないし守れない、もう新しく友達を作るのはやめようと思って過ごしていた。なので私は友達が少ない。

でも、Twitterやブログも始めて仲良くしてくれる人もたくさんいて、スナックのお客さんや、知り合う人たちと会話をしていると
「ゆがみちゃんと話してたら悩みがどうでもよくなるね」とか
「ゆがみちゃんが元気だからこっちまで元気になる」とか
「ゆがみちゃんのポジティブを見習って生きていくよ」とか言ってもらえる。

なんと表現したらいいだろうか、上から目線とか、そういうのではないんだけど。
守ろうとか救おうとか思わなくても、私が私で居るだけで、勝手に救われている人がいるんだと思う。そして上記のように言ってもらえる。
でもでもそうやって、救われているのは、救われたいのは私なんだと思う。

あーもう、どん底だ。人生やめちゃお。なんて思うこと誰にでもあると思ってる。ある日突然、プツンと糸が切れて、もう死んじゃうことしか考えられなくなることもあるだろう。

でも、どうにもならないことってないと思う。
死ぬしかないことなんて、ないと思う。
人間、変わろうと思えば今日からだって変われるよ。
私はそうやって変わったよ。

これから4月になって、環境も変わって、しんどくなる人もいるかもしれない。自殺までいかなくとも、鬱々としてしまう人がいるかもしれない。

だけど生きてほしいな

せっかくこの文章を読んでくれているのも何かの縁だし、思い詰める前に、話くらいなら聞けるし、一旦ゆがみちゃんにDMしてしょうもない話をしてみるのはどない?

救うことも守ることもできないけど、ただそっと話を聞いて、大丈夫であるように願うことはできるよ

仲良くなれた人をもうなくしたくないんだよね。わがままかな

















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