テッドチャン「ゼロで割る」
ある天才数学者が数学の愚かさに気付き、堕落していく物語。それこそ数学は彼女にとって神学者における神みたいな存在だった。しかし究極の無神論の証明を自ら発見してしまったため彼女の支えがなくなり堕ちていく。
それを支える旦那は何とかして彼女を救おうと、共感しようとするがそれをことごとく跳ね退けられてしまう。彼は共感のスペシャリストだと自負していた。しかし救おうとしていくうちにその共感こそが彼女の心を引き裂いているということに気付き旦那をも堕落していく。
それぞれの根底を成す事柄の矛盾がそれぞれの人生を変えてしまったというよく出来た話。
でも前回同様翻訳に不備があるらしく修正版を見てやっと理解した。
にしてもテッドチャンは色んなジャンルにどこまで精通してるのだろう。彼は頭がいいんだろうな。
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