テキトー翻訳のススメ
私は英語が苦手です。高校生の時は英語のテストはほとんど赤点でしたし、通っていたFラン大学でもギリギリ「可」で乗り切っていました。
それでもゲームを遊びたいがために今まで幾つかの英語のゲームを翻訳してきました。今から数十年前、当時ウォーゲームにハマっていた私はどうしても遊んでみたいゲームがありました。Victory Games社 のPanzer CommandとCOA 社のナポレオニックゲームのシリーズです。
当時は機械翻訳など「ドラえもんの秘密道具」のような夢の存在でした。パソコンは今ほど一般的でなく、辞書を片手にレポート用紙に和訳を作成していました。それからTRPGに出会い、その中でもshadowrun に心惹かれて遊ぶようになりました。しかし当時、富士見書房からは第二版のコアルールが出たのみであとは日本オリジナルのサプリとかが数点出たに過ぎませんでした。Shadowun を遊ぶなら2050年のシアトルが絶対だった派の私は本国では沢山発売されているshadowrun のモジュールを数点購入してそれを翻訳し始めました。翻訳といっても、モジュール全体を翻訳するのではなく、ゲームに直接使えそうな追加のルールとかアイテム類のデータや解説、追加のサイバーパーツやバイオウェアについてのみです。当時はまだ辞書を片手に翻訳していたのですが、レポート用紙からワープロを導入することができるようになっていました。
そして月日は流れ、世間はWindows 95の発売で賑わっていました。発売当時は自分としてはもう既に3台目のワープロ専用機に乗り換えて満足していたのですが、ある日パソコンを使って英語を日本語に翻訳できることを知ったのです。そして英語の本をスキャナーでパソコンに読み込むとOCRソフトというものを通してパソコンに文書を取り込めるという情報も得ました。つまりこの二つを組み合わせれば英語のルールブックを簡単に日本語化できる!そう思って大枚叩いてパソコン、スキャナー、OCRソフト、翻訳ソフトと一挙に導入しました。ところが、当時、日本語のOCRと翻訳ソフトは高額な割に実用性が低く、結局今まで通り辞書を引いて、書き込み先だけがワープロ専用機機からパソコンに変わっただけでした。
そしてさらに月日は流れ、ついにはGoogle翻訳が登場することになりました。
現在の私の機械翻訳環境
現在は英語のPDFルールブックを以下の方法で翻訳しています。
アプリケーション
ブラウザ google chrome
PDFリーダー Adobe Acrobat
テキストエディタ Tera Pad
対訳表作成 MS Excel
邦訳版DTP Adobe InDesign
カット画像処理 Adobe Photoshop
Adobe InDesignは、高機能で便利ですが、通常の「MS Word」などのワープロソフトや安価な日本語DPTソフトの「パーソナル編集長」等でもそれほど問題はないと思います。そもそも元の英語版にレイアウトなどを合せる必要がない場合はDTPソフトは不要です。
Adobe PhotoshopもPDFを開いて処理できる画像処理ソフトなら、別のソフトでも問題ないと思います。これも日本語版にカット画像などが不要の場合は必要ありません。
手順
1) 原語のpdfを用意して、翻訳するテキストを選択コピーしてテキストエディタに貼り付ける。この時テキストの選択は段落単位を基本とします。
2) テキストエディタ上で改行コードを検索置換して半角スペースに置き換えます。これで改行コードの無い平テキストになります。
*改行コードの検索置換はテキストエディタがTeraPadなら¥nを検索して半角スペースと置換します。置換のオプションで
¥n=改行、¥t=TAB、¥¥=¥(E)
というチェックボックスにはチェックを入れておきます。
3) 平テキストをgoogle 翻訳、DeepL、ChatGPT にかけて翻訳させます。(ChatGPTではプロンプトに「次の文章を日本語に翻訳してください。」と入力してから、コピーした平テキストを貼り付けるだけです。
*上記の各翻訳サービスとweblog翻訳、それに翻訳文を作っていくgoogle ドキュメントはすべてChromeのタブで開いておいて、タブを切り替えながら作業します。
4) 翻訳結果をgoogle ドキュメントに貼り付けます。三つの翻訳結果のうち、google 翻訳の結果を第一として、その他の翻訳を参考にして、邦訳文は作ります。
5) 機械翻訳だけでは上手く文意が読み取れないようになってしまっている場合は、もう一度原文の単語をひとつづつ確認してweblog翻訳の英和辞典で単語の意味を検索して、日本語の文章を作り直します。
日本語訳を作る時点で、表記揺れなどの防止のためにも、ゲーム内のシステム用語、頻出するから名詞、ゲーム世界などに関する固有名詞は原語と邦訳をExcelに登録していき対訳表を作っていきます。
原文に対訳表に既に記載されているものがないかどうか、検索して、あれば機械翻訳も結果も対訳表に合わせて修正します。対訳表に記載がない単語の場合は対訳表に追加します。
6) google ドキュメント上では原語pdfに合わせて見出しは段落スタイルを適用しておきます。
7) 人お通り翻訳が終わればDTPソフトでレイアウトしていきます。表類は多くの場合この時点で翻訳しながらレイアウトしていきます。
イラスト類はpdf から直接コピー&ペットできる場合はそのようにして、できない場合はpdfを一度Photoshop で開いて必要なイラストだけを取り出してからDTPソフトに貼り付けます。
8) DTPソフトから日本語版をPDF出力します。
9) 日本語版のPDFを読みながら、訳語の再検討やレイアウト上の問題点修正をして完成度を上げます。(PDFの読み上げ機能を利用したり、タブレットを利用して移動中に確認したりします。)
*日本語PDFにしてからは、より自然な日本語を目指して文章作り直すこともよくあります。
最後に
以上の過程で英語ルールの和訳は作っていますが、それなりの手間はかかりますが、翻訳しながらルールをある程度覚えられるというのは大きなメリットです。
なお、参考までに、私のテキトー翻、基本的には自分用で仲間内のプレイにしか使用していませんが、Columbia Gamesのハーン マスターのクイック スタート ルールは私が作った日本語版PDFが公式サイトからダウンロードできるようになっています。
https://secure.columbiagames.com/product/4001QS-J-PDF
英語が全然だめでもこれくらいは作れるよという見本にでもしていただければ幸いです。
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