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自由連想ミックス(キングダム羌瘣×羊)

昼間なのに暗いつまり何かの「中」にいたらしいぼくは その反対の「外」のイメージとして 大森裕太がスーパーワンの自転車にのって クリーニング屋の角を勢いよく右へ曲がった日のことを思い出した その日は夏休みに入ったばかりで カラスに襲われそうになった岸壁からの一本道に差しかかろうとしていた父の車の中から裕太のそれをぼくはみていた 天気は晴れで そのときのぼくがまだ小学一年生だったかもしれない気がしたのは ブログを2記事連続で投稿した2日後の15時すぎだった クリーニング屋を右に曲がったさきには駄菓子屋が一軒あるほかに裕太がいきそうなところは思いつかなかったが ぼくはその駄菓子屋じゃない別のところに裕太がいこうとしているような気がした 今はもうないその駄菓子屋の名前は「タナカ」で そこへいく裏からの道も今はもう通れないようになっていた いけば必ずボールをくれるおじさんが住んでいた長屋じゃないのにやたら細長い家と 最近のスーパーハウスのような横内の家と 「赤い三角の屋根の家」としか強いていっても特徴がない千葉の家の少なくともこの三つは 一方で昔とまったく同じままだった それはそうと ぼくがいた「中」の空気はむしろよく ほとんどいつも真っ暗だったが 視覚的にもかなり透きとおっている感じがした その証拠にまばらにしか見えなかった星の一つ一つが 信じられないほど強い光を発していた ぼくはまだこの世に生まれるまえで つまりそこは母親の子宮の中だったんじゃないか?みたいなことを ぼくより2歳年上の先輩はいったが ぼくはそれを信じることも信じないこともしなかった ただ「外」との違いがそう思ってしまうくらいだったことは確かで ぼくを襲おうとしたカラスの目はマンガで描かれたイラストのような単純な形をしていた そう ふり向くのがもう少しおそかったら ぼくはそのカラスに頭をコツンと蹴られていたに違いない カラスは確かに異常にうるさかった それどころか明確に殺気を感じさえぼくはした しかしその道を横切ることしかそのときのぼくには他に選べる道がなかった そんなぼくの気も知らずにというか そもそもそうぼくを追い込んだ張本人である文子おばさんの背中が いつこっちをふり向いてしまうかもしれないことをぼくは強く警戒した というか文子おばさんにもらった1万円を何に使ったかぼくはまるでおぼえていない 少なくとも生活費なんかではなかったと思う そもそもぼくはもっと食わない生活をしていればよかったとつくづく思うが 今からでもまったくおそくはなかった
自由連想法による文章練習【9】

笑いすぎて小便をドバドバ垂れ流したところの橋を渡って さらにそのもうちょっと向こうの海まで行こうか迷ったが 橋の三分の一くらいを渡ったところで やっぱりやめて引き返した 振り返ると「アドベンチャー」というとっくの昔に閉店したバイパス沿いの喫茶店に外観がそっくりのレストランがあって そこの右から二番目の窓越しでパスタっぽいものを食べていた同い年くらいの女と目が合った その女は梨花に似ていたわけではなかったが その女をみてぼくは梨花のことを思い出した 女から目をそらしがてらほんの一瞬視界に留まった八甲田山は 雲なのか霧のせいでこの日もやっぱり輪郭が濁って見えた そういえばいつかの真冬の晴天以来ビシッと美しい八甲田山を一度も見ていない気がした 一方の東岳は相変わらず隅々まではっきり見渡せたが 美しいとか綺麗というふうには全然思えなかった いったん家に帰って食材を冷蔵庫に入れてから柏原の店にいったが 接客中だったから今日はもうおとなしく家に籠ることにして 帰りにヤスハラでブロッコリーとしめじとイカを買った さんざん悩んだがとりあえずピザ生地のほうはシーフードだけにすることにして タルタルソースはサラダにだけ使うことにした だからぼくはやっぱり揚げ物を買わなかった 冷凍の唐揚げも迷った末に買うのをやめて 食パンは一番安い88円のやつにした 柿の種を我慢するかわりにパルムを買い レタスとアボガドをいったんカゴに入れるも やっぱりレタスはカットレタスのほうに替えて ついでにアボガドもやっぱり完熟していないやつに取り替えて……とか そんなこんなでこの日のぼくはスーパーの端から端を3往復くらいした ともあれこれからはネットでチラシをちゃんと見るようにして ポイント〇倍デー云々もしっかりチェックしようと思った それから安い菓子パンとか3本で98円の串団子みたいなやつはもう絶対買わないで どうしても甘いものが食べたくなったら クリーム玄米ブランか 「ま!ま!満足!一本満足~♪」と草彅くんがCMでやっていたチョコバーみたいなやつとか 一見割高だけど少ない量で満足できるものを買おうと思った 結局ピザソースはケチャップとマヨネーズと醤油とニンニクと岩塩とブラックペッパーとタバスコと乾燥バジルを混ぜて作った やや濃い味になってしまったが 市販のピザソースより断然美味しいと妻のお墨付きをもらって 少し料理が楽しくなった気がした その後にはじめて作ったイカ大根も褒められたが ぼく的には大根の下茹でが微妙だった気がした そもそも1本50円の見切り品の大根だったせいか 包丁でカットすると五分もしないうちに ボコボコと変な凹凸みたいなやつが断面の部分に浮き出てきた イカにしても1パック150円の「赤イカ」とかいう名前の超小さいやつで 処理の途中に肝と足の見分けがつかなくなったりした 2杯で300円の刺身用のイカを買わなかったのは その代わりになるくらい立派な白菜を買うことができたからで これでようやく残りもののカワハギを始末できると思った 妻はカワハギの身より骨を好んで食べる ぼくは普通に身のほうだけを食べる ハタハタの骨は食べない サンマは塩焼きだけ そういえば そろそろすき焼きを食べたがるタイミングかもしれないと思ったが違った 「だったら」の「きりたんぽ鍋」にはセリが必須らしいが もしかしたらミツバで代用できるかもしれないらしい 何にしてもゴボウを皮むき器で薄くスライスするのが一番手間なわけで そのことにぼくはうっかり嫌な顔をしてしまった そしてそれはぼくたち夫婦にとってまあまあの致命的な問題だったから ぼくはまたモンドールのパンで穴埋めをしようと一瞬思ったが モンドールのパンは切り札中の切り札だから あまり使いすぎるわけにはいかないと思い直した モンドールのパンを教えてくれた人はもと占い師だったらしく ぼくは直接会ったことがないその人の顔の輪郭を 誰もが強いて言及したくなるほどけっこうな丸形であると 頭の中で勝手にそう作り上げていて そしてそのことを 妻が仕事でムシャクシャしていたある日に少しでも気晴らしになればと ぼくなりに面白おかしく話したら 「ふふっ」と一瞬笑っただけで 結局その人の顔の輪郭が実はどうなのか?にさえ 妻はまったく言及しなかった 
自由連想法による文章練習【5】

ひょうきん族をみる時間まで起きていることが許されなかったことをバカにしてきた首謀者の二十歳で死んだ坂井と最後に目があった小柳駅でのときのバス停はもはやよくわからない状態になっていて その手前の赤川はとくに変わらず けっきょく坂井はバスの中でババロアを食べなかった というか当時のぼくはホタルの意味がそもそもちゃんとわかっておらず ワーギャーと派手に泣きじゃくっていた坂井はけっきょく親に迎えにきてもらい家に帰ったらしかった ともあれこの世にもういないのは坂井の彼氏だった男もそうらしく 一方で信夫はまだ普通に生きているようで ぼくは信夫が死んだとウソの噂を流して遊び さらに電話の相手は間違いなく信夫で信夫がわざととぼけたふりをしていやがるに違いないと本気で勘違いして信夫の父親になかなかの暴言を吐きもした 信夫の家には当時まだ一家に一台がめずらしかったパソコンがあり それはデスクトップで その部屋はカーテンではなくブラインドだった それから他にもおにぎりが人の顔レベルに大きいこともみんなの注目を集めていたが ぼくはそのおにぎりを実際にみたことは一度もなく 成田アスカが転校するときの挨拶で泣いたのは坂井ではなく「ストウルカ」という名前の男で その泣き真似をしてからかった連中のなかには飯田もいたというか飯田こそが連中の首謀者だった コーポ亀の黄色の写メを送ってやった純平はというと あまりの懐かしさに打ちのめされているに違いなく コーポ亀でいつも聴いていたTRFをはじめとする小室ファミリーの小室に純平は似ていた ぼくはというとガクトに少し似ていて きのうも酔っぱらって2人の女にする必要のないメールを送ってしまい あいかわらず中田とはあれっきりで ぼくはもしかしたら自分の死が近いような気もした なにより問題なのは妻がまだ自分の人生に満足していないことで それはぼくのせいもあり妻自身のせいもあり世界のせいもあってとにかく人類はたぶんもう終わるしかなく ぼくは世界地図の上を踏み越えて宇宙にいき そこは地面が真緑に塗りたくられたしかもその緑に触れると死んでしまうという世界で ところかしこにあったバナナの箱を船がわりにしてぼくは進んだ やがてお祭り帰りの女の人のおっぱいの谷間がみえてきて そのときぼくは当時のぼくと妹が「モミモミ」と命名していたマッサージ機のうえのほうに座っていた 祭りは隅田川の花火大会だったり高円寺の阿波踊りだったり青森ねぶただったり 合浦公園の夜桜の月もまた格別で 父のアルツハイマーはどうやら本物っぽく 「いずれ人はみな死ぬ」みたいなことを夜桜の月と重ねたりしながら高円寺でもらった緑のうちわを裏返したら「徳島うんちゃら協会」と書かれていて そしてやっぱり父はもうそろそろ死にそうな気がした 
自由連想法による文章練習【13】

チャナが着ていた黄緑色のパーカーの裏地のブドウ柄が鼻にすっぱく響いたわけもないケロッとサヤにチャナの雷が無事炸裂し 次の火曜日からはコウくんにも必ず電話させるようパチペン大池天津飯対悟空の天下一武道会決勝戦最後のカメハメハも炸裂したその後はまあ適度に消え去り すこし眠れた気がした朝の仕事がまもなくはじまる頃合いに起きたぼくの屁はもちろん我慢されて引っ込んだ 敷金のあてが微妙だからいまいちだというよりのベッド問題が山内さんだった根源ごと断ち切ってしまおう作戦のあれこれや平方根の復習 フミノリへの手紙 ゴミ アオシン 歯医者 診断書の受け渡し 仏ケ浦まえのソンちゃんもどっちもユキコさん&ヒデオたちに実家を引き継ぐなどの状況の好転をうながす思考はさらにそのまま信子にまでおよび カズキのためですら死ねる本能をぼくはわりとはっきり意識した フミノリへの手紙は読み終わった直後を逃してしまった×奈の意味がそのうちカレーうどん カマボコ 冷凍しめ鯖シメサバ冷凍が黄色い道を2度以上往復し Tポイントの喜びを若干過剰に仕向けた我ながらの隠ぺいが我ながらの我ながらアメリカンチェア折りたたみおよび赤いカサゴのコップで今夜は飲むことにした 黒ベルト時計をほしいはものの水滴のウォッチングがサンコンさんの何より財布が妻の気にいる出来に仕上がる願いをこめた妻の腰にまたかけ直そうとした毛布が足にがっちり挟まれており やがて出てきた太陽と捜査一課長と明日もまだ休みなことをわりと強めに主張 さらに丸山遺跡にもいく感じになった遠隔マウスを買うたいぎがブラインドを激しく揺らした音を妻がうるさいといった 三内小中学校の道をまっすぐ素直に進めばよかった月光の直線が細かく分断された妻のいびきに反射した青い屋根のなかがめずらしくまる見えだったハゲのあぐらは根深く 月光三兄弟がねぶたの暖簾をくぐった先のユウセイさん宅古川にお邪魔した月光仮面もテレビが5円玉の紐状麗しい茶色が全体の全貌 そして100万貯めるどころの話じゃない逆ギレまでさかのぼった白の七分丈スキニーが浮いた空に雲はみえなかった 同居より生保が現実の仙台行きという非現実を往復睡魔の指がまだ生きている感じの多くが不揃いでかみ合わないそれぞれみんながみんな仲良しとは真逆がおにぎりを山で食べる歌があったスモックアノラックこと後藤トクヒトFTO そう 最後の高円寺が過去になった西荻窪からの帰り道のセブンでぼくは妻のためのワインを2本買い その前日の風呂のなかの妻へのはてしない同情と無言の涙をどうしようもできず今に至った後悔は微塵もない水平を忍者がスイスイ悟空がジャンプのあとのすぐのハッちゃんを魔人ぶうの元気玉でみた記憶が雪でもあった微かの蒼黒にきえた 最悪診断書なしでも26日に強行できると伝えた空港は高田が歯医者と不燃ごみは明日 ラーメンは来週 そうめんの生姜は200円の不揃い高知産が思い出したライ麦パン通りのNHKどんな問題Qテレビがやがて泳げたいやきくんになったのはまだ4時まえだったおじちゃんエイゾウがセメントもしくは砂利が20キロという限界に刺された回数の確認はどうしても必要だった 火のまわりが速すぎたらしい地獄が血の海にかまわず消防士を投げ倒して飛び込んだわりに簡単に妻を救出したぼくの後味が重なった山下さんのそうでなくっちゃ!や南北線の空虚やほかの何からももはや逃げ場はなく 左半身の鈍痛が再開した原因はやっぱり顎にたどりついた残り15分はあっという間に終わりそうだった 診断書と生保と施設と浪打病院までまわったのに眠れないバカバカしいがセルゲームのはじまりを優先した雲のクリボーが少しおこげな通話不能ミヤコのみせますか?なんて底浅い妻の手をにぎって寝たこれからもシカンブラシだったみじめなオレンジ先生をぼくは一応信頼したい青やピンクの女の人たちのほうかもしれないにしろ 通い続ける最上がそういえば児童公園の豊川の帰りとジャイアントコーンはエビナと泉の2つ分だったはっきりとした記憶がいくらさがしても入院費の明細が見あたらなかった 
自由連想法による文章練習【21】



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