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自由連想法による文章練習【13】

 ひょうきん族をみる時間まで起きていることが許されなかったことをバカにしてきた首謀者の二十歳で死んだ坂井と最後に目があった小柳駅でのときのバス停はもはやよくわからない状態になっていて その手前の赤川はとくに変わらず けっきょく坂井はバスの中でババロアを食べなかった というか当時のぼくはホタルの意味がそもそもちゃんとわかっておらず ワーギャーと派手に泣きじゃくっていた坂井はけっきょく親に迎えにきてもらい家に帰ったらしかった ともあれこの世にもういないのは坂井の彼氏だった男もそうらしく 一方で信夫はまだ普通に生きているようで ぼくは信夫が死んだとウソの噂を流して遊び さらに電話の相手は間違いなく信夫で信夫がわざととぼけたふりをしていやがるに違いないと本気で勘違いして信夫の父親になかなかの暴言を吐きもした 信夫の家には当時まだ一家に一台がめずらしかったパソコンがあり それはデスクトップで その部屋はカーテンではなくブラインドだった それから他にもおにぎりが人の顔レベルに大きいこともみんなの注目を集めていたが ぼくはそのおにぎりを実際にみたことは一度もなく 成田アスカが転校するときの挨拶で泣いたのは坂井ではなく「ストウルカ」という名前の男で その泣き真似をしてからかった連中のなかには飯田もいたというか飯田こそが連中の首謀者だった コーポ亀の黄色の写メを送ってやった純平はというと あまりの懐かしさに打ちのめされているに違いなく コーポ亀でいつも聴いていたTRFをはじめとする小室ファミリーの小室に純平は似ていた ぼくはというとガクトに少し似ていて きのうも酔っぱらって2人の女にする必要のないメールを送ってしまい あいかわらず中田とはあれっきりで ぼくはもしかしたら自分の死が近いような気もした なにより問題なのは妻がまだ自分の人生に満足していないことで それはぼくのせいもあり妻自身のせいもあり世界のせいもあってとにかく人類はたぶんもう終わるしかなく ぼくは世界地図の上を踏み越えて宇宙にいき そこは地面が真緑に塗りたくられたしかもその緑に触れると死んでしまうという世界で ところかしこにあったバナナの箱を船がわりにしてぼくは進んだ やがてお祭り帰りの女の人のおっぱいの谷間がみえてきて そのときぼくは当時のぼくと妹が「モミモミ」と命名していたマッサージ機のうえのほうに座っていた 祭りは隅田川の花火大会だったり高円寺の阿波踊りだったり青森ねぶただったり 合浦公園の夜桜の月もまた格別で 父のアルツハイマーはどうやら本物っぽく 「いずれ人はみな死ぬ」みたいなことを夜桜の月と重ねたりしながら高円寺でもらった緑のうちわを裏返したら「徳島うんちゃら協会」と書かれていて そしてやっぱり父はもうそろそろ死にそうな気がした そんな父どころでもない今の母の状況をぼくはけっこう楽観視しているというかむしろそのほうが良いんじゃないか?とさえ思っていて 精神と肉体はほぼ同時に破たんするとすればだから父は死ぬ方向へちゃんと進んでいるということであり とりあえず父が死ねば経済を立て直すことができるのが何より大きく 一方の雄二の家はあともう2年でローンが終わるというのに うちのしかも20年以上前に建て直した実家はいまだ10年以上もローンが残っていることを雄二にいったら 驚いた雄二の顔がタコレベルに真っ赤になった やがて純平からのメールで純平の親父さんが亡くなったのを知って 純平と純平の親父さんと3人でコーポ亀から引っ越した日に純平の親父さんから手伝い賃としてもらった1万円をヘルムートラングのコート代の足しにしたのを思い出して そのコートを買った弘前のシェントを見つけることは結局できなかったものの 弘前城の花いかだとフクロウカフェもまた妻を大いに魅了してくれた そのかわり帰りの電車も激コミで座れず 八甲田山より岩木山のほうが見た目が怖いと妻はいい 鳥海山というのはどこの山だったか?とかしながら この直線の先にいる2人組はもしかしたら野田とタカヒロかもしれないと思い 仮にそうだったとして声をかけるつもりはもちろんなく それどころかソイツらから逃げるように自転車にのり カイワレだけを買いにビッグにいくのはやっぱり無茶すぎると思った というかそんな無茶をさせまいかの如く雨が降ってきて その少し前に後ろ向き歩きのおじさんとすれ違いざまぼくに気づいた向こうにはもちろん気づかなかったふりをし 車とはいえこんなところまで一体なんの用があってきているのだろうと思ったのは 一方で自転車姿のぼくを見つけた向こうのほうこそそうだろうと思った 傘はこわれた金具がてっぺんの一部を突き破っているずっとまえに母が忘れていったやつだったからできれば開きたくなく しかしほとんどの時間そうもいっていられなかった 頭のなかではクリスタルキングの左のヴォーカルの歌声が繰り返されていて 明後日はできれば寺島進の刑事ドラマがはじまる2時くらいまでなにも飲み食いさせないようにしたいと思った おでんは明日の弁当と明後日の酒のツマミにしてしまうことにし モンドールのパンをたべるためのクラムチャウダーは良しとして それ用の赤ワインを買ってしまっても麦焼酎がまるまる残っているからとくに問題はない気がした それからこの空腹も気のせいだろうと思ったとおりガムと珈琲で凌ぐことができて 半月ぶりにみえてきた66キロ台の世界にぼくは少しワクワクした 当然歩いていくつもりのユニバースのじゃあ何店まで歩いていこうか?としているうちにミモレットを食べたくなって そういえばズブロッカがまだけっこう残っていたのを思い出した モンドールのバケット+大納言+ミモレットだけで1000円を超えてしまうのはやっぱり微妙かもしれないと財布のなかの残金をみたら何だかわからなくなって ついでにもう少し寝たくなったものの 部屋のなかを歩き回りながら自分が今どうしたいかをそれほど真剣でないにしろ一応探っているうちにもやっぱり何度か崩れ落ちそうになった だから結局もう一眠りしようとしたその前に髭を抜きながら松岡英治VS結城直人の戦いを頭のなかでかなり丁寧におった といってもその間もクリスタルキングの「大都会」が頭のなかで同時に流れていたかは微妙で しかし2人の戦いが終わってからは確実に流れていて ようやく出た外を少し歩いた帰りによったユニバースでの買い物はハンペン1つというある意味最高のかたちで終わらせることができた 一方の東武ではちりめんとそら豆と冷凍イベリコ豚を思案の末やめ カラス貝とカツオだけを買い ショウガはあきらめることにした そのかわりアイスを2個買った いや1個だったかもしれない とにかく奥のほうから商品をとるのはできるだけもうやめようと思った それから久しぶりにモロイを開いたもののまったくそれどころではなく 大貫さんのことを思い出しながらゆっくり鼻をかんだ 道は2つどころか4つも5つもあって 原付で行かれたのをみた瞬間ぼくは本気で腰が抜けそうな感じになった 何度か雨だった日もあった そう 叶いようがほとんどないわずかすぎる可能性にかけるのは未だにそうで だからといって武装する手間をたぶんぼくはあまり惜しまないと思う 

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