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2020年11月にぼんやりと考えていること。雑記。

書くことがあるようでない最近。今、関心のあることや考えていることを雑多に放出してみます。なにか答えをもっている人はぜひ教えてください。

雑①編集の職域

編集者と言ってもさまざま。最近では地域の編集やプロジェクトの編集といった広義化が散見される。他ならぬ自分自身も編集者を名乗りながら、いわゆる編集以外に、コンセプト立案や言語化までもを編集と呼んでいる。職域の定義が難しい。職能といっても、チームによって役割も立ち居振る舞いも大きく変わるので、そのとらえどころのなさに、自身もあるいは似た職能を自認する人たちも、これからどう定義していくのだろう。触れる情報が多様で越境的がゆえに、定義は不要という人もいるのかもしれない。

雑②ひとり出版社のトレンド

意図せずして、取次寡占の特殊業界におけるカウンターカルチャーとして萌芽してきたが、個人の出版活動にトレンドのようなレーベリングをする風潮に違和感。ひどい世の中で文化の灯火のような小規模出版が安易な言葉をもってして消費されないことを願う。

雑③境界

グラデーションやスペクトラムという言葉がどんどん人口に膾炙してきた。連続性のなかで何かを切り分け定義していくことに戸惑うことばかり。閾値に幅をもたせるとか、方法論的な解決は数あれど、グラデーションを認めることによって、安易な平坦化もまたもたらされる。本来は当事者性を強めるものだったはずが、平坦化されると、かえって当事者性は希薄になる。

雑④書くことの自由

学生に文芸寄りのライティング講座をするなかで、なにを書いても文芸のなかでは自由と伝えながらも、またその一方で、ポリコレや人を傷つける言葉をどう扱うかについて、随分と及び腰なレクチャーをしてしまったと反省中。書店のアリーナ論にならえばよかった。どんな言葉であろうと好きにかけばよいし、おおいに議論、批判されればよい。自己検閲ほどくだらないものはない。より混沌を。

雑⑤社会契約の破綻と自然法的な人権

10月から法学を学ぶ大学生になったわけであるが、結局、社会契約が破綻していないかどうかを誰が監視するとよいのだろうか。行政権が異常に膨れ上がって、誤った情報が蔓延し、あらゆるマルファンクションのうえに、本来的な社会契約は実現されているのだろうか。自然権的なところに目が向けられていなくて、憲法上の人権をお勉強として捉えることはさておき、そもそも私たちの社会契約において保証されるべき人権とは案外脆弱なものなのではと思う。

雑⑥ジェンダーレスな世界の仮定

1989年の上野千鶴子さんの『現代思想』のインタビューを読んで、共感するところが大きかった。フェミズムは女性が主体であり、あらゆる獲得は女性によってなされねばらないわけで、男性の視点からジェンダーを考えるなら、自らのジェンダーを深く考えないからフェミズムの理解も進まない。家父長制的な考え方は依然あまねく浸透している。一度、ジェンダーレスな仮説を成立させてはじめて、議論は次のステージに進むように思う。そんなことは皆とうに分かっていると言われるかもしれないし、もっとアクチュアルな問題が眼前に転がっていると言われるかもしれないけれど、1989年から社会はどれほどに変わったのだろうか。他人事ではない。

ただ、二つのLabour(出産の苦しみ、労働の苦しみ)を考えるとき、男性のジェンダーは労働の被抑圧性からのみ考えるべきではないかもしれない。答えはまだまだ遠い。

雑⑦生物学的男性の暴力性

こんなツイートを見かけて、考えさせられた。

上記ツイートでも紹介されている「「女性専用スペース」とトランスフォビア」 (小宮友根)はとても参考になる。ただ、引用元ツイートに対して、ミスジェンダリングだけを取り上げていいものか。ファルスそのものが暴力の象徴であるなら、無視できない意見もある。ジェンダーレスな世界とは、生物学的性差のない世界ではない。ただ、生物学的性差を決定的に論じることは常に科学的な不安定性があり危ういから、歴史を参照することになるけれど、歴史の参照は一面的にある危うさがある。

雑⑧引きこもりと性教育

日本の公教育における性教育の遅れが取りざたされていて、まともに学校に通ってこなかった僕にはなかなか「ああだった、こうだった」と話すことができない。当然のこととして、聞くに惨状を呈しているのは事実であろうし、性教育は家庭がキーという意見も多い。おおいに賛同するけれど、引きこもりの子どもにどう伝えていけばよいのだろうか。

不登校はいまや積極的選択肢になりえるからこそ、引きこもりの長期化とは区別されて取り上げられなければならない。長期化した引きこもりの子ども(あるいは成人)のいる家庭内の緊張のなかで、性教育などできたものではないと、前職で現場を見てきた経験から思う。

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