1周目SaaS「クラウドサイン」責任者の経験を経て、2周目SaaS「MeetingBase」で大切にしたい3つのこと
SaaS事業責任者であれば製品開発、営業、マーケ、組織設計など様々な場面で成功と失敗を繰り返し、もう一度初めから事業を作り直せるなら、あの戦略をやり直すなどの思いが必ずあるはずです。
だからこそ2周目のSaaS事業なら「強くてニューゲーム」状態で初めから事業開発することが可能です。
SaaS事業担当役員が2周目の事業を別の事業責任者を立ててマルチプロダクトするケースは多いですが、私のように1周目事業の方を権限移譲し、2周目SaaS事業の方を立ち上げるケースは少ないため、強くてニューゲームで大切にしたい3つのことを簡単に記載していきたいと思います。
結論まとめ
結論から言うと、以下の3つです。順に説明していきます。
1. 製品開発は、哲学を研ぎすませろ
製品開発は製品哲学に研ぎ澄ますことが何より重要です。
例えば、クラウドサインを例に取ります。
製品開発とは100の製品要望に声にNOということです。
クラウドサインでも新規事業検討段階で、契約作成や契約の交渉過程もコメントで記入できるようにしたいことや、契約管理機能を充実させることも想定にありました。全てにNOを徹底し「契約締結」の部分をとにかく磨き込みました。
判子社会が根強い我が国で、契約締結が世の中の最たる負で、それ以外は些細な課題に過ぎないと割り切り、強い意志で契約締結ソリューションであり続けました。
途中、声の大きい顧客要望に負けて実装した機能もいくつかありましたが、事業影響は極めて軽微で、その開発リソースがあれば更なる契約締結の磨き込みに投資できたと後悔しています。
最も自信を持っているのがリリース以来、1番顧客要望として大きく、他社サービスにはほとんど実装されている「印影アップロード機能」を実装しなかったことです。もしクラウドサインが実装していれば、今頃、電子契約はわざわざクラウド上に判子を押す社会になっていたはずです。
MeetingBaseでは「会議を楽しく、新しくすることで、議論が活発化し、会議による意思決定の質が飛躍的に向上する」に絞って製品開発を行い続けたいと思います。
会社側からして社員をコントロールする機能開発要望が増えてくると思いますが、皆が活発に議論するためのSaaSなので、例えば「アジェンダ記入必須機能」などの実装は鉄の意志でしないと考えています。そんな機能、会議がより複雑で、活発にならなくなる。
2. マーケティングは、動詞を狙え
マーケティングにはいくつかの種類があります。
受注に向かう刈り取り/フロー型(展示会もリスティングもフィード広告もディスプレイ広告も問い合わせから受注に向かうフロー型)と、指名検索数を増やすブランド/アセット型に大別されます。
事業影響度が高いのは当然後者で、事業の早い段階から後者にいかに投資できるかによります。カテゴリの中で第一想起を取ることの重要性はよく語られてますが、狙って取れるのはカテゴリ以上に動詞になってしまった方が遥に効率が高いです。
ステープラーというカテゴリよりも「ホッチキス」という製品名が有名になったり、リバーシというカテゴリよりも「オセロ」が有名であったり、セロテープやポスト・イットなどの事例もあります。カテゴリよりも有名になることです。
そんなこと出来るのか?と思う方もいらっしゃると思いますが、クラウドサインの事例をご覧ください。
電子契約というカテゴリよりも「クラウドサイン」の検索数の方が高いです。これはマーケティング投資の戦略さえ間違わなければ狙って可能です。
更に強いのはGoogle検索することを「ググる」という風な動詞で使われることです。そこまで行くと「Bing!でググる」「Yahoo!でググる」など他社製品を利用することも自社製品の動詞で表現されます。
「⚫︎⚫︎(他社製品名)でクラウドサインしていいですか?」という表現はよく利用されており、投資により狙って可能です。そうすればNon Paidでの問い合わせが日常的に殺到する状況を作れます。
MeetingBaseも製品カテゴリ自体を超えた認知度を獲得可能だと考えています。カテゴリは一応「ミーティングマネジメントソフトウェア」というカテゴリですが、MeetingBaseで超えるつもりです。
3. 組織カルチャーは事業成長のために投資しろ
組織カルチャーは重要だと皆、口を揃えて言いますが、実際事業成長のためには結局その成長を創り出す組織が健全な哲学を持ってなければならないのです。
例えばクラウドサインでは製品開発にあたって「発明文化」があります。電子契約事業をするに当たって事業者署名型という当時電子署名法という基礎法に準拠しない規格で発明をしましたし、それ以降もマイナンバーカード署名などのクラウドサインの自己否定にもなりかねない製品開発を繰り返しています。
それは私たちの行動規範に「Day0」というカルチャーコードがあります。
イノベーションのジレンマに陥った製品を私たちは歴史上何度も目撃してきました。しかしながら一貫した組織カルチャーはそれを防止してくれて、簡単な話、事業成長に導いてくれるのです。
組織が大きくなるとボールが宙に浮いてしまう問題や、内部政治に目を向けるようになり顧客に目を向けなくなる問題など、歴史上多くの組織が陥りがちなミスを事前に防止してくれるのが組織カルチャーで、あるといいものではなく、なくては健全な事業成長は難しいものです。
一度なくなると二度と取り戻すことは難しくなる性質のもので、取り戻せなくなったとき連続的な事業成長は難易度がものすごく上がってしまいます。
MeetingBaseは「楽しく、新しい働き方」を実践することくらいが今ある組織カルチャーです。だからMeetingBaseのオフィスや働き方もそんな感じです。
それが何より大切なのです。
仕事はもっと楽しく、新しくできる。と信じなければなりません。
以上です。共感してくださった方は是非MeetingBaseにお問い合わせくださいませ〜
お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ