第1回 #契約書タイムバトル powered by #クラウドサイン を終えて -今回の感謝/反省と、今後の展望-
法の専門家が挑む新境地 リーガルバトルゲーム 「第1回 契約書タイムバトル powered by クラウドサイン」が、2018年5月10日に無事終了いたしました。
当日の様子は各所でご覧いただくことができますが、twitterのまとめと以下の動画をご確認ください。
入場の様子
競技中の様子
運営者として思ったこと
運営者としては、チケットを買っていただいた観戦者の皆様が、一緒にこのイベントを作ってくださったことに感謝しています。自分自身、格闘技観戦やサッカー観戦など日頃行きますが、満足度の大半はスポーツそれ自体の素晴らしさ以上に、観客の熱量によって生み出されるものと思っております。一緒に盛り上げてくださったこと、twitterでも、会場でも、一緒にこのイベントを作り上げてくれたことに本当に感謝しています。
(当日のイベントの様子をイラストにしていただいたりも)
また、参加者/ジャッジの皆様にも感謝申し上げます。法務の技術は長らく公開技術になることは少なく、それは所属している法律事務所/法務部の力量を背負いかねないリスクもはらんでいます。勇気のいる参加の決断を、「楽しみたい。」という純粋な想いで参加していただきました。当然ですが、参加者もジャッジも全員無償で参加していただいています(本当に感謝申し上げます)。
途中wi-fiが切れるハプニングがあったことなど反省材料も見つかりましたが、それすらも楽しんでいただくような暖かさに感謝しています。初回だから許していただいたこともあり、しっかりと運営は改善して行きます。
契約交渉とは何か?
優勝者のドリームインキュベータ所属の下平弁護士の言葉が印象的でした。
◼️優勝者のコメント
「何をもって契約書が自社に有利と図るかは難しい。単に契約書に記載された文字だけが有利になったとしても、ビジネスは進まないこともある。決勝の業務委託契約でいえば、受託者としての責任はしっかり全うすることが重要なのでそこは一切修正しなかった。」
このようなバトルは、自社に文言上有利にすることに終始し、一方的に有利すぎる契約交渉になってしまう懸念があったところ、弁護士としての公平感覚を限られた時間の中で表現されていました。
これは日頃の法務活動を営む上で、忘れてはならない大事な視点です。当然の視点ながら、この聴衆の中でも忘れなかったことが素晴らしかったです。
契約締結は、長きに渡る当事者間の取引のスタートにすぎません。優れたインセンティブ設計や適切な責任分担は、その後の取引を加速させます。責任を放棄するような契約交渉や、相手方のインセンティブを阻害する契約術は、点で見れば契約交渉で勝ったとしても、取引がスムーズにいかなければ、それは何に勝ったことになるのでしょうか。
AIが文面だけを自動審査しても、会社間のアセット、事業部の熱量、何に対してインセンティブと感じるか、財務制限など、様々な考慮事由を全て加味しなければ、それは「生きた契約書」にはなり得ません。決してAIに代替されることのない人間の優位性、それを感じることができました。
だからこそ、人間とAIが2018年現在、それぞれどのような契約修正を行うかを、記録しておきたいとも思うのです。どちらにも優れた点や劣った点があるでしょう。どちらかが一方的に優れているというわけではなく、双方の優れた点をあぶり出し、それらが相互補完されればいいだけだと心から感じるのです。
このような想いを感じながら、今日も明日も明後日も、優れた契約書を交渉し合い、契約取引を素晴らしきものに仕上げることに研鑽を積み、時折昨日のことを思い出したいと思います。また、「契約をもっとかんたんに」するために、1秒でも早く、「クラウドサイン」を浸透させるため情熱を注いで行きたいと思います。
お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ