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クラウドサイン4周年。日本中に電子契約が浸透するロードマップ。次の1年は、エンタープライズ市場への本格参入。

2019年10月19日、クラウドサインをリリースしてから4周年を迎えました。リリース当初は利便性があることは理解しやすい電子契約が、商慣習、法規制、ネットワーク外部性(自社は電子契約を導入したいが、取引先が理解してくれない)の壁が立ちはだかるに違いないとも考えていました。

電子契約マーケットは我々が先駆的に切り開いてきたように思えますが、その実、約10年前から10サービス以上が電子契約サービスをリリースしていました。しかしながら、商慣習、法規制、ネットワーク外部性から国民的に浸透してこなかった市場です。

これを1つ1つ解決していった4年間でした。

法は、変えられるのを待ち望んでいる

まずは法規制に取り組みました。私は弁護士として「法」の性質を自分なりに捉えています。「法」は、常にアップデートされるのを待ち望んでいるからです。

代表的な例は、1865年の自動運転車への規制です。馬車の時代に自動運転車はとても危険で、運転する際には速度制限3.2kmで自動車の前でランタンを持った人間が歩かなければなりませんでした。馬が、驚くからです。その後世界的にこの規制はアップデートされ、現在に到るまで自動運転車が我々の文明を支え、発展してきました。アップデートされることは、必然でした。

だからこそ、まだまだ電子契約に関わる法規制や行政運用、不文律のルールなどはアップデートすべきものがあると、4年前思いました。クラウドサインは内部にこれに専属で取り組むリーガルデザインチームを設置し、実際にいくつかのブレイクスルーがありました。

経産省の実施するグレーゾーン解消制度を活用した「建設業法施行規則第13条の2 第2項」の適法性、労働基準法施行規則 第5条および労働基準法 第15条1項の改正で労働条件通知書の電子化解禁、そしてサンドボックス制度を活用した不動産賃貸取引時の電子化解禁の社会実験。

いくつかの法規制が、この4年間で変わってきました。法は、変えられるのを待ち望んでいました。法を改正する課題があれば、法は変わる。自分の弁護士としての考えは間違っていませんでした。

ネットワーク外部性の攻略方法

自社が電子契約を導入しても取引先が受け入れてくれなければ電子契約で取引はできない。令和の時代を迎えても今尚、民間同士の契約に紙と判子が用いられている理由の1つです。テクニカルイノベーションだけでは足らない、とリリース当時感じていました。

ネットワーク外部性を攻略する必要がありました。そして、結果として攻略しました。クラウドサイン導入企業の一部をご覧ください(許諾をいただいた企業一覧)。

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たった4年間ですが、当事者にとっては気の遠くなるような道のりでした。今ではソニー、SMBCフィナンシャルグループ、ソフトバンク、KDDI、富士通、東京ガス、サントリー、東京海上日動、みずほ証券、野村證券、リクルート、外国企業でもアリババ、バイドゥなどの世界的企業がクラウドサインを導入してくださっています。

なぜ、突破できたのでしょうか。

1社1社営業活動をしていたのでは達成できない、断続的なマーケティング活動によるものです。SaaS用語でいう「Business Development Representative(BDR)」戦略です。マスマーケティングの対義語の、戦略的なマーケティング施策です。

毎年戦略的に狙うべき市場を決めて、その業界毎クラウドサイン化していかなければ外部ネットワーク性は攻略できない。だからこそ戦略的なBDRマーケティングが必要でした。まずターゲットを決めたのは金融機関関連です。

信頼を獲得する必要がありました。その結果、リリース1年後には野村證券、クレディセゾンのような日本を代表する企業に導入していただき、その後も三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、三井住友フィナンシャルグループに導入を決めていただきました。

今では、三井住友フィナンシャルグループとは合弁会社である「SMBCクラウドサイン株式会社」を設立させていただき、とても頼もしいパートナー企業が支援してくださっています。

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他にも不動産に特化したプロモーション、認知を取るためにスポーツに特化したプロモーションなどを戦略的に行ってきました。

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(不動産店舗向けのオフラインマーケティング)

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(認知を取るためのスポーツプロモーション)

業界毎のプロモーション施策が見事当たり、1つ1つ課題を解決してきました。

次に狙うは、商慣習

残り1つの課題は、商慣習です。西暦57年から続く印章文化。誇るべき日本の文化で、印鑑登録制度の確立など、現代に至るまで我が国を支え続けたテクニカルイノベーションです。歴史を紐解けば紐解くほど、公文書の真正性、花押、サイン文化の輸入と印章との比較考慮、など、我が国の歴史と密接不可分な関係性です。

この文化は、なくすべきではありません。歴史的文化であり、有体物に化体されたものは歴史的な文化遺産です。残すべき文化と、業務生産性を選択する変化、の見極めをすべきです。どちらか一方の選択ではありません。両立を目指すべきです(そのためにも、産業の方と是非お会いさせてください)。

その一方で、民間における契約取引のほぼ全てを印章を用いるべきかは一考に値する必要があると考えています。だからこそ、この事業を推進しています。法務の1人1人と日々接し、本音を聞かせていただいています。今、変わるべきときだと潮目を感じました。

そのためにすべきことは明確です。商慣習を変えるのです。次の1年はこの課題解決を図るために、エンタープライズ市場の攻略に専念します。そこから派生するスタートアップ企業、中小企業の皆様の便益は外部ネットワーク性の果実として提供することができると信じているからです。

次の1年

まだまだ私たちの挑戦には、支援が必要です。学問的研究たる法理論の熟成と、国民的待望の世論の声が必要です。これから私たちはこれまでの4年間と同じように、2030年までの日本全国への浸透までを目指し、全てを賭けてクラウドサインの浸透に推進していきます。

そのためには応援が必要です。自分1人なら、ですが、多くの従業員やパートナー企業など、日々現場が汗(と血を)流して、浸透に努力しています。その努力に是非力を貸してください。日々の情報発信のリツイートや支援の声が重なると驚くほどの力となります。

クラウドサインの次の1年にご期待ください。

お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ