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【5,000字】怒りから生まれた新規事業。MeetingBaseで戦いたい、会議の本当の課題。

先日発表した会議DXソリューション「MeetingBase」を発表し、久しぶりにほとんどの商談に参加し、お客様やパートナー企業様の最前線で仕事していて新規事業の醍醐味を感じています。

会議DXソリューション「MeetingBase」

想定以上の反響で、この事業ドメインの選択で間違ってなかったと確信を抱いています。しかしながら社内外の反響を見て、私たちがどんな会議の課題を解決したいのか明確化した方がいいと感じました。

私たちは決して会議を撲滅したいわけでもないですし、会議の数を単に減らせばいいものでもありません。

会議領域のSaaSは「会議」という抽象的な前後のプロセス改善の中で、何にフォーカスするかが社会や顧客に伝わりにくい(それ故にCPAが悪化し有効なチャネルが難しくなる)性質を持ちます。

MeetingBaseのログイン後画面

今回は私たちが解決したい会議の本当の課題について記述していきたいと思います。

クラウドサインが本当に戦ってきたもの

SaaSは本質的な戦いでない方が伸びやすい

MeetingBaseは、自分の怒りから生まれた事業です。

クラウドサイン事業責任者として8年間活動し、日本の多くの企業や行政機関のDXの中枢に関わってきました。そして国産企業や外資系企業のSaaS・クラウド企業とも多く仕事をしてきて、私たちクラウド企業が成し遂げられたことと成し遂げられなかった真実を誰より多く触れてきました。

クラウドサインは「紙と判子」という日本中に慣習化された膨大な業務プロセスの変革を迫った製品でありながら、本当に戦ってきたものは、業務プロセスだけではありません。

クラウドサインは、本当は何と戦ってきたのか。

クラウドサインはまだまだ過渡期にあり、判子による上長承認プロセスを、対面・書面でなくデジタル化する役割を担ってきました。

従来まで対面や郵送というフィジカルによるプロセスをデジタル化するだけで効率的になるからこそ、本質的トランスフォーメーションを迫らなくてもROI算出が見込める製品に仕立てており、故にマーケティングしやすい製品です。

理想論ではわかるけど本質的に変革が要求されるSaaSソリューションはなかなか浸透しません。クラウドサインはプロセスはそのままにデジタル化するだけで圧倒的に効率的になるソリューションです。

だからこそ誰より歯痒い気持ちになりながらその過渡期や端境期を過ごしてきました。なぜ日本人はこれ程までに判子を利用し続けたのか。その歴史的事実の方が、自分は誰より戦い続けたかった。

本来権限移譲を組織全体で最適化し直し、その業務自体を削減する必要を迫ることが本質的なトランスフォーメーションを分かりながら、判子の保有する代理決済の仕組み自体が本質的変更をしなくとも業務が回る。在宅勤務普及前は、日本にとって非常に利便性が高いツールだったのだと感じます。

過渡期の2018年に勝負しに行った当時のクラウドサイン


変わらないものへ、抗う意思

本当に変革をすべきなのは、企業の組織デザインの方です。本来従来の業務プロセスをデジタル化する際には、その業務そのものの必要性を再定義して業務の統廃合と共に設計なされるべきものです。

契約取引をする上での与信管理、反社チェック、社内稟議、稟議の決裁基準、取引後の契約関係の在り方など、クラウドサインを取り巻く検討課題は多岐に渡ります。そのプロセスを真に企業文化と適合させていくためには、会社の企業文化や権限移譲の仕組みや取引先への考え方自体を理解しながら、業務をデジタルに置き換えていかなければなりません。

代表取締役名義で法務部が代理決済する現状のプロセスを、事業責任者に権限移譲することが企業文化に沿うのかどうか。取締役会で本来議論や対話を尽くさなければならない事項は何なのか。何かを変えるにはあまりにも企業文化や規程へ触れざるを得ず、ゆえに難しい問いです。

だからこそ私たちは「変わらないもの」へ抗い続けなければなりません。

クラウドサイン「これからの100年、新しい契約のかたち。」

SaaS・クラウド企業側は、単に今あるものをデジタル化する、という発想と戦う意思を持ち続けなければなりません。

その意思を組織文化としてセールスやカスタマーサクセス、マーケティングに至るまで一体として個々人を持つことができる組織であるかどうかが、私たちの1番の強みでした。クラウドサインが電子契約のトップブランドになれた理由の1つです。

「変わらないもの」への抵抗。それが2000年続いた判子文化という事業ドメインと向き合ったクラウドサインの本当の戦いです。

MeetingBaseで本当に戦いたいもの

会議の課題調査

MeetingBaseではまず、会議に対する課題調査を実施致しました。

社内会議に関しての無駄は、皆が日頃から感じやすく、長時間の会議や参加人数が多く、その割に議題が不明瞭で、共有のための会議が多いという肌感として感じている内容と同様です。

続いて課題だと感じる上位10位は以下の通りです。

こちらも無駄だと感じることの鏡合わせのため、長期間の会議のわりに目的が不明瞭で結論が出ずにまとまらない会議という課題です。また、発表者以外誰も発言せず、発言者に偏りがあるという課題も出ています。いずれも社会人生活の中で誰しも感じたことのある課題の数々です。

それではMeetingBaseは何を課題としてのスコープとすべきなのでしょうか。これら会議の課題の内、本当の課題は何なのでしょうか。

事業を生み出す際に、小さな課題にフォーカスすべきではありません。

会議は誰しもが行う業務のため、其の最たる課題に気付けたらグローバルに展開可能ですが、深い課題でないものにフォーカスしてしまう性質があります。

会議の歴史的変遷

自分自身が感じる会議の課題は、上記10位にも現れませんでした。

自分が感じていた会議の課題は、以下の通りです。

・会議がクローズドになっており、会社の資産になっていない
・意思決定された結果だけが共有され、背景が伝わらず組織の納得度が低い
・会社への帰属意識が高まらず、オーナーシップを持てない

だからこそ会議が上長や偉い人によって招聘され、まるで巻き込まれたように感じ、目的が不明瞭かのように感じ、発言機会もなく、ただ単に無駄な会議だと感じてしまうのだと感じます。

原因と結果が逆で、結果としての課題は調査により炙り出されましたが、それが何の原因によって生まれているのかの方が遥かに重要です。

長らく会社組織というのはソフトウェアがなかったため、取締役会で決議されたことが部長に伝達され、部長から課長に、課長から係長にという指揮命令系統が明確化されなければ決定内容が伝達されることはできませんでした。

それゆえに結論のみが共有されなければ時間がいくらあっても足りず、ゆえに会議は共有のための会議というのは昔は合理的でした。

意思決定の背景や文脈は、半期に一度の全社総会や社内報によって伝達され、あるいは回覧板によって交付され、苦心しながら理想の組織を創り上げようとした形跡も垣間見えます。共有のための会議は、合理的でした。

それがソフトウェア誕生後、グループウェアが誕生し、チャットツールが浸透し始め、zoomのようなオンライン会議で1対n型の対話が可能になりました。

だからこそ昔は半年に一度、全社員を全国からリアルの場所に集め、社長から直接想いを聞けるしかなかったものが、ソフトウェアによって社長が毎日全社員にメッセージを直接投げかけることすら可能になりました。

フィジカルしか方法がなかった会議1.0時代を、デジタル化してソフトウェアにより共有可能な会議2.0時代に突入してきたのだと感じます。ソフトウェア浸透の結果で、大きく時代が進化しました。

しかしながらこれも時代の名残だと感じます。従来までフィジカルしか方法がなかった会議をZoom会議に置き換えただけ、故無駄な対面会議が無駄なオンライン会議になっただけです。移動の時間を削減しただけで根本的な解決になっておりません。

だからこそ在宅勤務が可能になり、チャットツールが浸透し、1対n型の共有方法が可能になったソフトウェア浸透後の現在もなお、会議に不満や課題が残ったままなのです。

MeetingBaseと名付けた想い

自分が理想とする会議は、以下のとおりです。

・参加意識が高く、役職に関わらず議論が活発化する会議
・皆がオーナーシップ意識が高く真剣討論により、質の高い意思決定に
・上記参加ゆえに結論に納得度が高く、実行力が高い

これもまた上長側が願うものの、実際には叶わずに不満に言いがちな内容です。「うちの社員は会議でも積極的に発言してくれない。」「本当は誰でも手を挙げて前のめりになってほしい。」といったような。

ただ実際に社員側に意見を聞くと「とても発言をできる雰囲気ではない。」「発言しても聞く耳を持ってくれなかったり、批判をされるので、オーナーシップを持ちたいが持てない。」といったような感じです。どちらも良くわかります。

だから自分の理想の組織は果てしない難易度なのだと理解しています。

理想の組織
「組織全員がオーナーシップを持ち、活発にそれぞれの専門分野や見えている景色を持ち寄り、組織全体で質の高い意思決定を各会議でしていく。」

そんな組織に誰しもがしたい理想でありながら、難易度が高く、いつしか諦めていくものです。しかしながら私たちはある製品を目撃しました。Slackです。

従来まで社長から全社員向けに対面で、メールで方針を伝達してもそれに返信することは不可能に近く、リアクションしたいけど出来ずにいました。しかしながらSlackのUXはそれを可能にし、役職者に対してもスタンプでリアクションを取ることができるようになりました。

思えばSNSなどのFacebookやX(Twitter)でも、著名人にいいねボタンでリアクションを取れたり、LINEでもスタンプコミュニケーションで意思表示をすることに私たちは慣れ親しんでいます。

顔出しで音声で、其の反射神経で回答しなければならない「会議」は消費生活を送る上で、レアなシチュエーションになってきています。もう電話なんて、日常生活でどれほどしているのでしょう。

だからこそSlackは社内でのコミュニケーションとしてコンフォータブルなUXを可能にし、世界中で親しまわれているのがわかります。

だから残りは、会議です。

MeetingBaseのUI


MeetingBaseは会議でも、皆が気軽に参加可能にすることができます。

リアルタイムで全員がフィジカルに集まり、音声や身振り手振りのフィジカルでリアクションをして、反射神経が要求される瞬間で質問やコメントする必要はありません。誰しもがスタンプやコメントで会議に参加することが可能です。

皆にとって楽しく、新しい会議体験になることが可能になっています。

会議をしていたら、MeetingBase上でエンジニアやデザイナーもコメントで議論が活発となり、意思決定の結果にも賛同やいいね!が飛び交います。会議が終わった後にも、会議に参加できなかったものもMeetingBase上で質問が飛び交います。

整理すると、以下のような会議3.0が自分の理想です。

MeetingBaseの課題解決は、会議をなくすわけでも、会議の参加者を減らしたいわけでもなく、「会議を楽しく、新しくすることで、議論が活発化し、会議による意思決定の質が飛躍的に向上する」SaaSです。

結果として上長側も全てのリアルタイム顔出し音声会議に参加せずにMeetingBase上で会議参加すれば会議の数は半分以下にすることができるでしょう。

会社全体の全ての意思決定の集積知となるのが、MeetingBaseです。社員全員が活発に議論し、全てのプロセスが検索対象となり、過去の議論や意思決定も会社の資産になれる。

「組織全員がオーナーシップを持ち、活発にそれぞれの専門分野や見えている景色を持ち寄り、組織全体で質の高い意思決定を各会議でしていく。」

MeetingBaseはそのような理想的な会社組織、行政組織、学校、チームを増やすために、戦ってまいります。


お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ