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#モチベーション時代 の意思決定。担当者の熱量が生み出す意思決定プロセス

日頃、事業責任者という立場上、意思決定に関わる場面が多いです。大小混在すれど何かしらの意思決定は日々10以上行い、大規模プロジェクトは複数常に走っています。

「自分の意思決定が正しいのか。」常に立ち止まって振り返りながら、次の意思決定を間断なく行い続ける必要があります。自分の意思決定が、ユーザー企業や従業員に影響することもあり、常に正しい意思決定を心がけなければと自分を戒めてもいます。

正しいのかわからないですが、日々意思決定に関わる今の仮説を書いてみようと思います。

意思決定プロセス

意思決定が行われるとき、大体「A」という選択肢、「B」という選択肢、「C」という選択肢、どれが成功確率が高いか。という視点で意思決定が行われます。

成功確率の多寡を様々なファクターにより分析し、意思決定が行われます。当然です。インターネット以前の時代には、意思決定に伴う初期コストは膨大に及んでいたからです。

基礎材料から加工、包装するための設備投資、流通販路にのせるためのコスト、拡販するために更なる設備投資を必要とするために、失敗可能性を少しでも減らすのは当然の発想です。

確率が高いと意思統一ができるまで議論し、意思決定することは合理的でもありました。

インターネット業界の意思決定プロセス

インターネット業界は初期コストがあまりかからない業態です。だから、意思決定のスピードや大胆さが競合優位性になると考えられてます。

初期コストがかからなければ、意思決定に1ヶ月かけるよりは(ユーザーや社会に迷惑がかからない倫理的な決定である限り)意思決定を1日でして、1ヶ月の間に10回トライアンドエラーを繰り返す方が成功確率が高くなると考えるのも理解できる話です。視点を変えて「リーンスタートアップ」、「アジャイル」と呼ばれる場合もある、王道のセオリーです。

雑な意思決定をしてもいいという意味ではなく、移りゆく社会変化を会議室で意思決定するよりも、迅速な意思決定に基づき行動を繰り返す方が、社会をより良くする道に辿り着くスピードが早いという経験則に基づくものです。

これは、意思決定によるコストが低くなったために、意思決定のスピードに着目したものです。

スピードよりも熱量に着目

人が成果を出すときと出せないときの差分に着目するようになりました。その違いを生み出すものが何なのかの正体がわかれば、その正体に再現可能性がないかの仕組みを作りたかったからです。

成果とは、以下と定義付けました。

成果 = 実力 ✖︎ 時間 ✖︎ 熱量

「実力」という要素は当然ながら重要です。ビジネスにおける実力は、基礎能力、巻き込み能力、経験値など、様々なファクターがあるため一言では表現しにくいのですが、まとめて「実力」と表現しました。

「時間」という要素は排除できないと判断しました。どれだけ実力者が熱量を持って望んでも単純にかける時間が少なければ成果を残すことはできません。自分が趣味で休日にゲームに没頭しセンスがあったとしても、eスポーツに真剣に取り組んでいるアスリートには叶うはずもありません。ビジネスの世界でも本気で時間をかけている者には太刀打ちできない場面は多々あります。意思決定のスピードの問題とは別の、実行部分の問題です。

最後に、「熱量」です。熱量とは、こだわり、偏り、記憶、思い出、環境により発生する主観的価値により発生するエネルギー量のことです。同じ実力者に仕事を振り、同じ時間をかけて業務を行っても、アウトプットが異なる場面があまりにも多かったので、その正体を観測していました。

その正体が、熱量でした。仕事の背景をわからずに取り組んだ仕事と、仕事により喜ぶ人の顔が想像つきながら取り組む仕事は、成果量に大きな差を生みます。時間当たりの脳の活動量が明らかに異なるような感覚があります。

子供の頃、嫌々取り組んだ宿題による学習記憶定着率と、自分で興味を持った宇宙の構造を調べて知った学習記憶定着率では、雲泥の差がありました。「主体性」や「当事者意識」と呼んでいたものです。それらは熱量を生み出すファクターの大きな要素です。

仕事の場面において、意思決定された施策を実行する担当者が熱量を有しているかの有無が成果量に偏差を生み出していました。ともなれば、そもそもの意思決定に、「担当者の熱量」という最重要ファクターを考慮に入れなくていいかという単純な疑問が湧いてきました。

成功確率が異なるように見える3種類の選択肢は、担当者の熱量により最低の選択肢にもなり得れば、最高の意思決定にもなり得る構造を理解してきました。

3種類の意思決定はどれもが正解になり得るし、どれもが不正解になり得るのです。インターネット業界でたまに聞く「正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする。」の正体は、在り方でなく、その言葉通りがそのまま正解なのだと腑に落ちたのです。

モチベーション時代の意思決定

そうすれば、担当者が行いたい施策を最終責任を負う私が行う原理原則は至極シンプルなものでした。

A、B、Cの中に、担当者の熱量ではカバーしきれない施策はないかのスクリーニングと、ユーザーの利便性や社会的倫理に反するものがないかの在り方のスクリーニング。これにさえ反しなければ、担当者が自らの意図で調査/研究した意思決定をそのまま尊重し、その熱量を最大限に高めてあげる(逆説的だが、何もしないことが担当者の熱量を上げることも多々ある)ことに終始するようになりました。意思決定の成功確率でなく、熱量は上がらないけど嫌々実行してないか、担当者の意思決定に熱量がこもっているかの方を気にするようになりました。

熱量は静かに燃える場合もあり、単なる気合いや声の大きさのようなファクターではなく、その施策をやる必然性を静かに理解し、すぐにでも実行に移さなければならないと使命めいたものを本人が感じているかで測るものです。

半年に一度新規事業に取り組める理由

クラウドサインが半年に一度新規事業を生み出していることに、たまに驚かれます。どのようにして、そのような風土が生まれるのかと。

契約と決済を組み込んだ「クラウドサイン ペイメント」

過去の契約書をスキャン代行するBPO事業「クラウドサイン SCAN」。

新規事業とは言えないまでも、新たな価値を生み出す連携サービスも次々と発案されています。帳票作成と契約締結をシームレスに組み込んだ「クラウドサイン #MAKE 」。

時には、こんなイベントも企画/実行されました。甲と乙がその場で契約書修正を競い合う「契約書タイムバトル」。

いずれも熱量により生み出されたものです。各事業やイベント企画は、正解の意思決定に時間をかけるよりも、「ユーザーがきっと喜んでくれるに違いない」と考える担当者、そしてパートナー様の担当者の熱量により、いずれも生み出されたものです。意思決定者の自分は、背中をそっと押してあげる。あるいは、自らが熱量を最大限に高めて実行までを行うだけでした。

熱量を生み出すカルチャー支援

熱量の源泉は、人により様々です。会社や責任者の思惑に関わらず、本人のこだわり、偏り、記憶、思い出、環境などにより、熱量は発生し、時には消失するものです。企業体としてできることは、自分たちが信じるビジョンやミッションを採用段階から伝え、緩やかな結合体であることを前提として近しい信念の方と共に働くことです。

こちらがクラウドサインのミッション/ビジョンです。法と技術を駆使して、世の中の「ふつう」を再定義すること。そのために、ユーザーを組織の中心に置くこと。自分たちはプロフェッショナルとして研鑽を積み、仲間たちをリスペクトし合うこと。そんなことを大切にしています。


日々不断に行う意思決定を、ユーザーや従業員のために少しでもよいものにしたい。単純な疑問への現段階の仮説は、担当者の熱量を優先して意思決定を行うことでした。そして、担当者の熱量が担当者毎にバラバラにならないために、企業体が信じることを明確化し、緩やかな結合を生み出すこと。責任者の自分は、担当者の熱量を奪わず、むしろ熱量を増幅させたいと思うこと。

ユーザーのためにできることはないか。担当者が考えに考え、実行しなければならないと使命のように感じる熱量高い施策を素早く意思決定すること。


そうやって私たちは、質の高い事業を社会の利便性のために、意思決定していきたいと考えています。

お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ