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障害児者とその家族を支えるお金の支援

 障害を持つお子さんをを育てる親御さんへ。お子さんの成長や日常生活の支援には、多くの経済的な負担が伴い、その不安や悩みは計り知れません。そんなご家庭の負担を少しでも軽減するために、この記事では障害児の親が利用できる主な手当や助成制度について詳しく解説します。

 私は小児理学療法士として療育センターで10年以上勤務する中で多くのご家庭と向き合ってきました。この経験を基に生活を支える上で有用で具体的な情報をお届けします。

 この記事を読むことで、特別児童扶養手当や障害児福祉手当、特別障害者手当など、20歳未満と20歳以上で受けられる経済的支援の詳細がわかります。手当の申請方法や受給要件についてもわかりやすく説明しますので、必要な手続きを迷うことなく進められるでしょう。

 お子さんの未来をより明るくするために、具体的な支援を受けるための一歩を踏み出しませんか?この記事を参考に、早速必要な手続きを始めてみましょう。

20歳未満の障害児を育てる家庭が受けられる経済的支援

1. 特別児童扶養手当

支給額
 障害等級1級:月額55,350円 
 障害等級2級:月額36,860円

対象者
 20歳未満で精神または身体に障害を有する児童の養育者

受給要件
 身体障害者手帳1~3級(4級の一部含む)
 療育手帳A・B
 手帳を持たないが、障害や疾病等により日常生活に著しい困難がある場合

以下の方は受給対象外となります。
1.児童が障害児入所施設、児童養護施設等に入所している。
2.児童が障害を理由とする公的年金などを受給している。
3.児童または支給申請者が、日本国内に住所を有しない。
4.支給対象者等に、一定額以上の所得がある。

2. 障害児福祉手当

支給額
 月額15,690円

対象者
 身体または精神に重度の障害がある20歳未満の児童本人

受給要件
 身体障害者手帳1級、および2級の一部
 療育手帳A判定
 上記と同等の疾病・精神の障害

以下の方は受給対象外となります。
1.児童が障害児入所施設、児童養護施設等に入所している。
2.児童が障害を理由とする公的年金などを受給している。
3.児童または支給申請者が、日本国内に住所を有しない。
4.支給対象者等に、一定額以上の所得がある。

サービスの内容一覧表(20歳未満)


20歳以上の障害者が受けられる経済的支援

1. 特別障害者手当

支給額
 月額28,840円

対象者
 20歳以上で、身体または精神に著しい重度の障害があり、日常生活において常時特別な介護を必要とする状態にある人。

受給要件
 身体障害者手帳1、2級程度
 療育手帳A判定
 それと同等の疾病・精神障害

以下の方は受給対象外となります。
1.受給者が障害者支援施設などに入所している
2.受給者が病院または診療所に、継続して3か月を超えて入院している(予定である)。
3.受給者が、日本国内に住所を有しない。
4.受給者世帯に、一定額以上の所得がある。

2. 障害基礎年金

 障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。20歳より前の子どもの時から障害を抱えている方の場合、障害基礎年金が受けられます。障害厚生年金は厚生年金に加入している期間(原則20歳から60歳)に障害を負った方が受けられる年金です。

支給額:
1級: 年額約97万円 + 子の加算額
2級: 年額約78万円 + 子の加算額

※子の加算額
2人まで: 1人につき年額約23万円、3人目以降: 1人につき年額約8万円

対象者:
 
20歳以上で病気や障害によって日常生活や仕事に制限を受けている人

受給要件:
 
国民年金加入者
 20歳未満の時期に初診日がある場合
 60歳以上65歳未満の時期に初診日がある場合
 障害の程度が1級又は2級の者

※障害の程度
1級: 身体の機能の障害、または長期にわたる安静を必要とする病状によって、日常生活ができない程度。
2級: 身体の機能の障害、または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活に著しい制限を受ける程度。

その他のポイント

更新手続き: 1年~5年ごとに審査があり、更新の手続きが必要です。審査の結果、等級が変わったり、支給が停止されることもあります。
所得制限: 20歳前の障害が原因で受給する障害基礎年金には、所得制限があります。年間所得が約360万円を超えると年金の半額が支給停止、約460万円を超えると全額支給停止されます。

サービスの内容一覧表(20歳以上)

申請方法と注意点

 各手当の申請は、必要書類を揃えてお住まいの市区町村の窓口で行います。申請に必要な書類や詳細は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認することが重要です。

1. 一般的な必要書類

  • 障害者手帳

  • 医師の診断書

  • 申請書類

  • 受給者の口座情報

  • マイナンバーカード

2. 申請時のポイント

  1. 早めの相談:障害が判明した時点で、各自治体の窓口に相談しましょう。

  2. 必要書類の準備:診断書などの書類は取得に時間がかかる場合があるため、早めに準備を始めることをおすすめします。

  3. 定期的な更新:多くの手当は定期的な更新が必要です。更新時期を逃さないように注意しましょう。

3. 所得制限と併給制限

 多くの手当には所得制限や併給制限があります。所得が一定額を超える場合、手当が支給されないことがあります。また、複数の手当を同時に受給できない場合もあるため、併給制限についても確認が必要です。

 障害児を育てる家庭には、多くの経済的支援が用意されていますが、各手当の詳細や申請方法については、お住まいの自治体の窓口で最新情報を確認し、必要な手続きを速やかに行うことが大切です。

まとめ

 障害児を育てる家庭には、さまざまな経済的支援があります。この記事では、主な手当や助成制度について、20歳未満と20歳以上に分けて解説しました。

20歳未満の障害児が受けられる支援
①特別児童扶養手当
 支給額は1級で月額55,350円、2級で月額36,860円です。対象者は20歳未満で精神または身体に障害を持つ児童の養育者です。

②障害児福祉手当
 月額15,690円が支給され、対象者は身体または精神に重度の障害がある20歳未満の児童本人です。

20歳以上の障害者が受けられる支援
③特別障害者手当
 支給額は月額28,840円です。対象者は20歳以上で、身体または精神に重度の障害があり、日常生活において常時介護が必要な人です。

④障害基礎年金
 
1級は年額約97万円、2級は年額約78万円です。対象者は20歳以上で障害や病気により日常生活や仕事に制限を受けている人です。

申請方法と注意点
 
各手当の申請には、必要書類を揃えて市区町村の窓口で行います。早めの相談と書類準備が重要です。また、多くの手当には所得制限があり、一定額を超えると支給されないことがあります。

 障害児を育てる家庭には多くの支援が用意されています。最新の情報を自治体の窓口で確認し、必要な手続きを速やかに行うことが大切です。

参考


厚生労働省 特別児童扶養手当について

厚生労働省 障害児福祉手当について

厚生労働省 特別障害者手当について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/tokubetsu.html

厚生労働省 障害基礎年金お手続きガイド
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000086263.pdf


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