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“名作”をタイムリーに体感しておく重要性

名作『トップガン』の続編である『トップガン マーベリック』が上映されました。世界的な情勢もあって公開が一年くらい遅れたんでしたっけ?

これを機に『トップガン』を改めて観たり、なんなら初めて観て予習しておくなんて人も少なくないと思うんですけど、僕の映画好きの友人も何気に『トップガン』を観てきていなくて、このために観たんだそうです。

…いうほど面白くないよねって(笑)。

でもそれは作品に、というよりも自分に問題があって、大人になって達観してきて主人公の立ち位置とかに共感できなくなってくるし、時代背景からくるノリの違いも影響してきてると。トムキャットはたしかにカッコイイけど、今見ると過去の機体。当時であればセンセーショナルで、真逆の印象を感じてたと思います。

多分、すでに観ている人は改めて観ても当時の思い出が蘇ってきて問題なく楽しめるんですよ。今となっては目も肥えていて、当時のアラみたいなものは感じるでしょうけど、受け入れられる器量がすでに出来上がっているわけですから。

名作は、時代関係なく楽しめるもの。でも、名作が生まれた当時に触れることで、それでしか得られないものって必ずあると思うわけです。

最近、Vtuberの大空スバルさんがゲーム配信で『テイルズ オブ ジ アビス』(以下アビス)をプレイしていて、注目を集めているようです。

『アビス』自体、僕も当時プレイしたことがあり、この頃テイルズシリーズにハマっていて、“全盛期”っていうと語弊があるかもしれないですけど、リリース頻度が高かった時期だったのを記憶しています。

その中でも『アビス』はひと際斬新というか、まず主人公がめちゃくちゃクソ野郎で、それでも良いところがあって好かれるとかではなくて、純粋に嫌われるっていう(笑)。

物語を進めていくうちに主人公にも変化が生じ、周辺の人間模様も浮き彫りになって、生々しいヒューマンドラマが形成されるといった感じのゲーム(個人的な感想)なので、わりとギスギスしたやり取りが繰り広げられたりもするんですけど、それに対するスバルさんおよび一部コメント欄の反応が結構ダイレクトな印象だったんですよね。

騙されて起こした事件について主人公が「俺は騙されてやっただけ、俺は悪くない」という発言に、周りが次々と失望していく様子を観て「周りが冷たすぎる」「一緒に受け止めるのが仲間じゃないのか」みたいなことを言っていて、それはそうなんだけど、そうならない原因を作ったのも主人公であり、同情できないよなというのが、当時も今も変わらない感想。

仲間が失望したのは、やってしまったことやその後の振る舞いではなくて、それまでの積み重ねであり、事件は見限られる最後のひと押しになっただけ。だからこそ主人公は変わっていくことを決心して物語は転換していくわけで、当時や今の僕は、どちらかといえば失望した仲間と感情を共有していて、スバルさんらは主人公側に感情移入している印象。
なんとなく、最近のSNSなどでも見かける表面的なものの見方による叩きみたいな姿勢も見受けられて、世代間の違いを感じるとともに、これだけダイレクトに反応されそれを簡単に発信できてしまう今では、こういうゲームってリリースできないようなとも思いました。


この作品のキーにもなってくる「クローン」がテーマなのも当時を彷彿させるというか、この時期、こういうネタが世間的にも流行っていた気がするんですよね。時勢に合わせたテーマ。だからこそより感情移入が出来た気がします。
あと重厚な世界観構築や演出も、据え置きゲームが落ち着き出していたころなので、食傷気味だったからかもしれません。

藤島康介さんが描くキャラクターが操作できるっていう喜びがありましたね。
初代『テイルズ オブ ファンタジア』を担当していたのが藤島康介さんで、世代的にもそこに魅力を感じてましたし、その後担当された『テイルズ オブ シンフォニア』は当初ゲームキューブのみでプレイできなかったぶん『アビス』での起用はすごく嬉しかった思い出。

藤島さんがキャラデザをしていることなんて、今世代にはあんまり響かないポイントかもですけど、それは自分たち世代ならではのお楽しみポイントとして、運良くタイムリーに触れられてラッキーなことだったなと思います。


今のことでも、そういうものってたくさんあると思うんです。
ゲームで言うなら、スマホのゲームにめちゃくちゃ課金するとか、オープンワールドゲームで世界中の人たちと一緒にゲームを楽しむとか。STEAMでネットを介してPCでいろんなゲームができるというのも、今ならではって感じですよね。正直、最近までそういうものがある事自体知りませんでした。
スマホやパッドは使えてもPCは使えない若者、みたいなことを少し前に言われてましたけど、そんなことはなく、別ベクトルではやっぱり若い人のほうが先を行ってるんですね。

昔の作品に触れてくれることは嬉しいことですけど、今だからこそ体感し得るものは機会を逃さず触れておくことが吉だと思います。

僕も自分の中に残る残り僅かな若さを忘れず、面白いことには積極的に絡みたいですね。そういうことにも、結構若さって必要だったりするので。

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