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情報が簡単に手に入る時代だからこそ、正確な情報は「本」を頼るべし

「百聞は一見にしかず」。百回聞くより、たった一度でも自分で見たことのほうが確かっていう、多くの人が知ってることわざですね。

今の情報化社会においてこの言葉は本当に重みがあるというか、ウェブを通じていくらでも情報が手に入りますけど、その情報にどれだけの正確性と価値があるかというと、かなり低いと思うわけです。

その情報が発信者の経験によるものであるならまだしも、第三者の体験談を引っ張ってきたものや、さらにその体験談をもとにしたサイトを参考にした内容だったりするのはザラで、それはもはや「私の友達の友達の恋人のお姉さんの友達の弟の隣のクラスの女の子の知り合いのおじさんの同僚の話」みたいなレベルになってくるわけですよね。

情報化社会の黎明期を知っている人からすればそんなことは常識で、「百聞」を「一見」にするのは難しくても、多くの裏付けを経て「一見」に匹敵する説得性を得たりすることは当たり前だったはずなんですけど、今となってはさらに情報として薄いSNSで流れている情報をそのまま鵜呑みにして流布しちゃって、嘘の情報が蔓延しやすい世の中になっています。今問題視されているSNSやニュースコメントにおける誹謗中傷問題にも繋がるとても重大な社会問題だと感じています。

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模型に使う「水性ホビーカラー」という塗料を水で希釈する話が、質問サイトや自称・模型有識者のブログなどで良くでるんです。そこでは「少しなら希釈可能」「水が多すぎると定着しない」「水も使えなくはないけど専用の薄め液がいい」という希釈率にまつわるさまざまなアドバイスが飛び交っているのですが、答えはいずれもNO。

「水性ホビーカラーを希釈するのに水はまったく使えません」というのが正解なんです。

このことをはっきりと書いている人をウェブ上では今の所みたことはありません。ソースはメーカーと専門誌。メーカーは「乾く前であれば水を使って掃除は可能」とは書いていますが、希釈については言及していません。模型専門誌でも水で希釈できないことはメーカーインタビューとともにはっきりと記載されています。
にもかかわらず、今だに水性ホビーカラーが水で希釈できるというデマが流布されているのは、「一見」をおろそかに「百聞」に翻弄されている人がこの世の中にとてつもなく多いという裏付けにもなります。

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「エアプランツは空気中の水分を取り込むので水やりは必要無い」っていうのも聞いたことありませんか?

これも大きなデマです。エアプランツは水分を欲する植物なので、水をやらなければ枯れてしまいます。これはウェブ上で訂正する声が多くなったのですが、それはTV番組ではっきりと「エアプランツには水はいらない」と発信されてしまったことが要因となりました。

百聞を一見にする方法は「本」を読むことが一番の近道です。情報を発信するという手段はウェブと同じでも、責任の重さは本のほうが圧倒的に上。ウェブはすぐに修正できますが、本はできません。刷り直されない限りは一生間違った情報が物体として残ります。

かといって、誤植のない本というのははっきり言って存在しませんが、それでも多くの人が関わって少しでも誤植の少ない内容を目指して1冊の本へと仕立てられているため、限りなく正確な情報を最短で手に入れられるツールとしては、ウェブよりも本に軍配があがると思います。

デジタル化が急激に進む今だからこそ、きちんと顧みないといけないアナログなもの。
便利さだけを重視してあまり疎かにしていると、知らないうちに大切ななにかを失いそうな気がしますね。

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