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プロとアマで誤解が生まれやすい撮影技術の話

noteで低浮上だった最中、SNSで撮影技術論的なことで歯痒い話が繰り広げられていたので、そのことについてしたためようかと思います。

あらかじめ誤解がないように言っておくと、僕は矢沢さんのことはすごい好きでYouTubeもよく拝見してます。こうして取り上げてますけど、槍玉に挙げたいわけじゃなくて、代表例として引用させてもらった次第です。

で、こういう話ってこれまでずっとやってきていることなんですよね。やれズームレンズを使うと写真が上手くならないとか、RAWを使うのは甘えだとか、Jpeg撮影が至高だとかもろもろ。そういったテーマの本もあったりします。で、永遠に解決しないという。

それは発信する側のプロカメラマンと悩んでるアマチュアとではそもそも立ってるステージが違うので、意見が噛み合わないからだと考えています。

僕はプロカメラマンではないですが、プロに仕事をお願いして一番間近でみている立場であり、それが講じてカメラ好きになったくちなので、このなんとも歯痒い感じが伝わってくるんです。

上記の矢沢さんのツイート内容って、完全に正解なんですよ。でもプロカメラマンとしてというか、自分が納得した撮影ができる技術を培ってきた人の答えなんですよね。

プロカメラマンって、ど素人からの訳のわからない要求を実現させるためにあらゆることをしないといけないんです。
そのためにはガンガントリミングもするし、修正もやりまくるわけです。逆に撮って出しで納品しろって言われれば可能な範囲で露出をきっかり決めてJpegで撮影するし、そうしてその場で仕上がっているくらいにライティングを突き詰めたりするのも、クライアントに安心してもらうためのものだったり、後処理の手間を省くためだったりします。

いい機材を使うのもそう。ボロいカメラ使っているカメラマンにお願いしたくないですよね? 安心してお願いしてもらうための努力や投資をプロカメラマンはしているわけです。

そんな領域に立ってしまっているプロカメラマンにとって、フィルターつけるのが正解か否かなんて話は些末なことで、そんなことに悩むくらいならすべてできるように一枚でも多く写真を撮って上手くなりましょう、みたいな結論に達しちゃうんです。

でも、アマチュアにとってはそこが重要というか、プロみたいに特定のクライアントがいるわけではなくSNSなどの不特定多数からの評価が相手だったりするので、少しでも評価を高めるための技術がやっぱりほしい。それがプロカメラマンのそれとはすこし乖離しているんで、ややこしい話に発展したりするんです。

例えば、RAWで撮るアマチュアに対して、RAWで撮ってると写真がうまくならないという意見が出てきますよね。それに対してプロがやってることだから正解、ということにはなりません。

プロにとってのRAWデータでの撮影は、そうやって撮る理由があるからそうしているだけに過ぎなくて、写真が上手くなるかどうかは別の話。で、プロはもう上手く写真が撮れてしまう(もしくはそもそもそういう領域にいない)ので、そこには言及しないんです。

同じようにRAWで撮る理由が明確にあれば良いとは思いますが、RAWで撮っておけばどんな写真でも救済できるという考え方だと、どうなのかなと思ったりもします。「RAWで撮ってると上手くならない」という意見は、頭ごなしにRAW撮影を否定しているわけではなくて、そういう背景があると思います。
Jpeg撮影論争にも同じことが言えますね。

トリミングの話もありました。トリミングもしてもいいんです。プロもガンガンやってますよ! って言います。でもプロは理由があるからやっているんですよね。トリミングをすることを前提にした写真を撮ってる。漫然と撮影したあとにいい景色だけをトリミングをするということはしていません。していたとしても、理由が明確にあるはずです。

理由が見つからないうちは悪戯にトリミングはせず、いい構図を自分の手で探した方が、のちのちより良い形でトリミングを活用できる時が来る。

それを「トリミングを否定している!」となってしまうのはあまりにも意図を読みとれなさ過ぎてるし、スポイルされた情報が流布するSNSの弊害だなと思う今日この頃です。

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