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よなよな83 よなよなばあさん

ばな子

時間

私は今家にいる人たちと実家の人たちをのぞくと、最高に長くいっしょに暮らして別れた人でも8年くらいで、その人との間には子どもがいなかったから、まみちゃんのたいへんな気持ちをわかるよ、とはとても言えないです。そんなに長く毎日会っていた人と会わなくなるなんて想像がつかないです。
もう時間が経ってくれる以外に解決のつけようがない。ただ静かに応援する以外、誰にも何もできない。
ふたりのことはふたりにしかわからない。出会いから別れまで。ある意味ふたりにもわからないかもしれないです。それぞれの世界が交わってまた離れるまでの、それぞれの色に染まった思い出だけがある。
人はなにもわかりあえない、同じ色を見てもそれぞれの見え方だし、だから孤独だっていうけどほんとうにその通りですし、だからこそ同じ空間に留まっているだけが人と人にできることだとしたら、ふたりはずっとうまくいっていたのでしょう。
それでも人生には決断したり、道が分かれることは必ずあるので、「周りがなんと言ってものらりくらりで逃げよう、そうしてでもなんとなく同じ空間にいたいね」を双方が同じ思いで死守できなかったということなのでしょう。それさえあれば、なにもいらないのにね。

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