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夜がのびるとき

✳︎今日のひとこと

若い頃、夜が永遠になり、明けないに違いないと思う瞬間が何回かありました。
それは、決してだらだら飲んで朝になっちゃうとか、酔っ払って記憶がぐちゃぐちゃになり長く感じるとかではないのです。
「あ、この一瞬は永遠だ」と思うようなあの澄んだ気持ち、夢の中にいるような、まるで恋のような、そんな感覚でした。
菊地成孔さんのライブを観ていると、何回かその瞬間を感じます。
それは、彼の音楽のものすごい力なんですよね。

歳をとって感覚が少し鈍くなってきたのであれば、この世には美しい音楽や映画や文学がたくさんあるのだから、それらの力を借りて、いつも酔っていたいと思います。
いつも酔っているほうが、人生は美しいです。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…