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群馬いいとこ

✳︎今日のひとこと

群馬に行き、とてもいい温泉ホテルに泊まったのです。
宿の人はみな優しく、清潔で、お湯もよくて。しかし、むちゃくちゃむつかしいところがあったのです。
多分、坂道に建っている建物をどんどん増築して廊下でつながるようにしているうちに、巨大迷路のようなものができあがってしまったのではないだろうか。

私だって、伊勢丹メンズ館と本館は3階と地下でつながってます、とかならわかるんですよ。
しかしそこでは、ロビーが1階、風呂はその建物の3階、宿泊場所は3つめの建物、その3つの建物がつながっているのはなぜか8階と19階。私の部屋は20階。朝食と夕食は違う場所。
もうだめだ〜、と思って方向音痴の私はくらくらしながら過ごしたのですが、特に深夜に酔っ払ってひとりで風呂に行ったときは、あまりにもむつかしすぎてもう酔いが醒めたというか、70年代の「サスペリア」みたいにひとり真剣に風呂と部屋を行き来してしまいました。金網の部屋に落っこちなくてよかった。扉の上のアイリスを回さなくちゃ、みたいな。
珍しい思い出でとっても楽しかったのですが、方向感覚のいいふたりの仲間が、最初に鍵をもらうときに、やたら長く説明を聞いているのはなんでだ?と思った謎が解けました。まして方向音痴ならもう。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…