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よなよな72 よなよななに

ばな子

なるべく小さく

人生って惑うことがいっぱいありますよね。
私は近年では、義理のお父さんが死ぬとき、あまりにも病院に行かないでなにも和らげないで人が死んでいくのを見るのが怖くて、少しは和らげてあげて!と自分も苦しんでいる夫にぶうぶう言ったのが、惑ったな〜、と思います。今でも放っておくことはできないなとは思うので後悔はしていなくて、私の視点がなかったら、夫はまだまだお父さんが生きる希望を持っちゃってたと思います。他人だから、もうすぐ死んじゃうってわかったのだから。
親が死ぬっていうのは、なかなか正確に時期を読みにくい。気持ちが入るから。私も、医者が「もう意識が戻ることはなく、あとは亡くなるのを穏やかに待つ状態です」って言ってんのに、うそでしょ?もう1回くらいしゃべれるっしょ!と思ってましたもん。
夫のお父さんの場合、コロナ禍真っ最中で救急車乗ったらもう二度と会えないってわかっていたから、夫もお父さんも覚悟していたわけで、男の覚悟って女と違うなあ、と思いました。私なんてすぐ鎮痛剤とかモルヒネとか使いたがるからねえ。
お父さんの死に様に戦中派の底力を見たけれど、やっぱり死ぬのは怖かったんじゃないかなあ、と思うのです。最後の2日くらい泊まり込んであげたらよかったんじゃないかなって。でも夫は最後の2日だって絶対に思いたくなかったんだろうし。
お父さんが最後のほうに、「お札からものすごい光が夜中に出てきて、ありがたかった」って言ってて、ああ、もう近いのかもと思ったり。
そういうこと一切言わないで、穴八幡のお札も立体的すぎて貼りにくいって、ぺらっぺらに切っちゃうような人だったのに。

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4,225字

よなよな、人生について意味なく語り合うばな子とまみ子。 全然違うタイプだからこそ、野生児まみ子の言うことを聞くとばな子こと小説家吉本ばなな…