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夢を売る場所

*今日のひとこと

特定のデパートがイメージできてしまうので、少しだけボカして書きます(笑)。
デパートって本来は、いわゆる外商というシステムが叩き出すすごい額でほとんど全てが成り立っていると聞いたことがあります。
あの全部が大きなショーケースみたいなもので、庶民の売り上げは大事だけれど命綱ではないというか。
今の時代はどう変化しているかわからないですけれど。

それぞれの家庭にごひいきのデパートがあると思うのですが、私の実家は下町だったので、上野にあるデパートと池袋の西側のデパートに行くことががいちばん多かったかなと思います。父は毎日のように行っていたので、売り場を熟知していました。そして「かまくらカスター」を毎日10個くらい買ってくるのが日課でした。「かまくらカスター」はおいしいけれど、毎日そればかり食べることに追われていた私と姉は一時期見るのもいやになったほどです。
よく言われる昭和のデパートの屋上や食堂の思い出ももちろんありますし、建物の中を一周して全員がほしいものをそれぞれ眺め買い、足は疲れるけれど楽しくなるという、両親の世代にとっても夢のある場所だったと思います。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…