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長野いいとこ

✳︎今日のひとこと

雷滝もすばらしかった(永遠に見ていられる感じだし、ほんとうに上り龍のうろこみたいにきれいでした)し、景色も最高だったし、空気も良かったし、お風呂のひのきが素朴なままで、風呂の床に木目のこぶがちゃんと出ているのもものすごく癒されましたし(足や尻が嬉しいと言うのです)なにもかもがすばらしかったけれど、いちばんすばらしかったのは人でした。
あんな穏やかなおじさまたちを見たのは、ほんとうに久しぶりです。
宿の支配人から食堂にいるおじさまたちまでみんな、なんなら向かいの物産館みたいなところにいるおじさまたちも、穏やかで、プロで、変に力んでなくて、しみじみといい人たちだったのです。人として当然のイラついているところや、怒っているところだってちゃんと想像できる。でも、間違いがない、安心で安全な人たちでした。
こんなところがまだ日本にあるんだ!と思いました。
お酒も、野菜も、肉も、水も、とにかくなにもかもが豊かな場所では人はこんなふうになるんだなあ、とうっとりしました。

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吉本ばななです。やがて書籍になるときにはカットされる記事も含めています。どくだみちゃんは散文、ふしばなはブログ風です。コメントはオフですが…