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私のDesignセブンルール

某番組を見ていてふと思った。自分も自身のルールを探してみようかなと。

ルール自体は意外にもスムーズに挙げる事ができた。そのルールはやっぱり「仕事=デザイン」のことばかりで、せっかくなのでテキスト化する事にしたのだが、既に習慣と化し無意識的に実行していることを文字に起こす事に意外と時間がかかった。

でも、書いているうちに、これは私の20年を越えるデザイナーとしての活動の中で気付いた、デザインをする上で気をつけておいた方が良いよ、というみなさんにシェアしたい内容になったと思うので、これからデザイナーを目指す人やデザインの仕事に興味のある人、既にデザイナーとして活動されている方やデザインと関わりのある職業の方など、色々な方に読んでもらえると嬉しいと思いながら書いた。

7つのルール
1.まずは手で描く
2.人マネを恥ずかしがらない
3.白と黒の配分を常に意識する
4.「オシャレ」という言葉の使い方に気をつける
5.「まずは」いらんことをしてみる
6.「整理」は出来なくても「整頓」はする
7.小まめなミニプレゼンを実施

以下、項目毎に詳しい内容を書いていきます。


『 1.まずは手で描く』

紙にペンで描く行為は、
頭の中にぼんやりあるイメージを具現化する作業。
紙に描くのはデザインスケッチに限らず、
文字を書き綴って、情報を整理したり体系化したりもする。

紙に描く時にはポイントがあって、
それは消せないペンを使うコト。(要は普通のボールペンとか万年筆)
理由は、消せない事で丁寧に線や文字を描くためでは無くて、
逆に、たくさん描き残し、ベストな回答を探しながら
描き進める事がとても重要だからである。

不要な線や文字を消すのでは無く、
必要な線や文字を強く描く。

そうして頭の中のぼんやりしたイメージを見える化し、
ロジックやフォルムを構築する。

良いデザインにたどり着くには、
パソコンでイラストレーターやCADソフトを立ち上げる前に、
焦らずまずはペンを握って紙に向かう。


『 2.人マネを恥ずかしがらない』

完全なパクリはダメです。それは盗作。
でも他者のデザインをヒントにしたり参考にしたりすることは、
ぜんぜんダメではない。むしろそれが普通。

世の中に存在する物事は全て「デザイン」されていて、
日々の生活を送っている以上、
他者のデザインに何かしらの影響を受けながら我々は生活している。

大事なのはヒントにした部分と参考にした理由、そこから自身としてどのような表現に至ったかを説明できること。

特に色使いやディテールといった、デザインの表面的な要素は、
先人達のgood designから学ぶことは非常に多く、マネしてみることは勉強にもなる。

ただ何かを参考にする時、
気をつけておきたいことは対象物が「本物」であるかどうか。
「本物」の基準は曖昧ですが、それが言える確実な要素が2つ。

・異国の文化の中で形成されたモノ
・古く歴史あるモノ

これらに当てはまる物事は、多くの参考にするべきポイントを有しており、
海外での経験や歴史の勉強は、必ずgood designへと繋がると感じている。

ちなみに明確なロジックがあるのに、
周囲の人に見た目の印象だけで、パクリなどと言われた時は、
「インスパイアされた」もしくは
「〇〇へのオマージュです」とでも返答しておけば良い。


『3.白と黒の配分を常に意識する』

デザインを依頼される時、よく「目立つ」ことを求められる。
対象物全体の事もあれば、部分的なフォーカスの時もある。
目立つ事は強調され注目されることであり、存在感や差別化の手段となる。

では、目立つ為にはどうしたら良いか?
一番簡単な方法は色使いの工夫です。

では目立つ色って何?赤や黄色?それとも金色や銀色?
違います。答えは黒と白です。
時と場合によるので、断言してしまうのは極端ですが、
ただ色として一番「強い」のは間違いなく黒と白である事は意識すべき。

しかしこのコトは、強調したい商品名やキャッチコピー、
注力商品を陳列する什器などの色は、黒や白が正解と言ってる訳ではない。

意識するべきは「明度」である。

色味のないモノクロの世界で目立たせたい対象物を見た時に、
ちゃんと目に飛び込んで来るか否である。
対象物の明度を意識すれば、目立たせる行為はさほど難しくない。

要は黒と白(明度の高い色と低い色)の分量や使い方を意識する事で、
紙面や空間の中における「強弱」をコントロールする事に繋がり、
デザインの精度が向上する。

まずは色んな物や景色をグレースケールに変換して見てみると良いと思う。


『4.「オシャレ」という言葉の使い方に気をつける』

モノにもコトにも場所にも人にも使える魔法の言葉「オシャレ」。
言葉として使用禁止という訳では無く
形容詞としての使用が適切で無いと感じている。

特にプレゼンの場で、
アウトプットを表現する時には使いたくない言葉である。

そもそもデザイナーは、その「オシャレ」を作り出すことが仕事である。
もちろん全てのゴールが「オシャレ」ではないがデザイナーにとって、
「オシャレ」は結果であって理由ではない。

逆に言うと、
なぜその場所が「オシャレ」であるか、
なぜその行為が「オシャレ」なのか、
なぜその人が「オシャレ」に見えるのかを、
紐解く事ができるのがデザイナー。

デザイナーにとって「オシャレ」は語るモノである。


『5.「まずは」いらんことをしてみる』

デザインという仕事は、まずは楽しめるかどうかが基本。というかスタートラインだと思う。
新しいプロジェクトの始まりは、やっぱりワクワクするもの。

ただその最初の熱にほだされて冷静さを失うような事はあまり無く
意外と落とし所や結論は最初にイメージできたりする。

でもはじめから、その落とし所を狙って作業を進めるのは絶対にNG。
まずは自分勝手でも良いからやりたい事を詰め込んでみる。

デザインする対象物との関係性は考慮せず、単純に試してみたかった表現や
素材などを使い自分本意にデザインすることから開始。

最終的には、コンセプトや市場動向を考慮して削ぎ落とされたり、
差し替えたりすることになっても、可能性を模索した足跡は必ず残り、
説得力あるデザインに繋がる。

そしてそのいらんことをする為に最も大事なことは、
スケジュールの把握である。
デザインには必ず締め切りがあって、そのデザインされた商品や空間が
発表されるタイミングが決められている。それに間に合わないのは本末転倒である。

ずっと自分本意なのは絶対にダメ。
「まずは」がとても肝心である。


『6.「整理」は出来なくても「整頓」はする』

「整理」と「整頓」そして「整理整頓」の違い分かりますか?

簡単に説明すると
「整理」は情報を整える。
「整頓」は見た目を整える。
「整理整頓」はその2つに新たなレイヤーを足して機能的に整える。

そしてそれをデスク周りに例えると
「整理」は筆記具やノートなどを分類分けして机に並べる。
「整頓」は全てを引出しの中に詰め込む。
「整理整頓」は分類分けした上で、使用頻度を考慮して
机の上と引出しの中に分ける。

そしてこの整理整頓の概念を、デザインに置き換えてみる。

与件や世情の分析、目的や目標の設定といった
コンセプトワークが「整理」。
色やカタチ、場合によっては音や光など、
五感(主に視覚)に訴える部分を考えるのが「整頓」。
そしてそれらをデザイナーの個性というフィルターを通して
アウトプットする事を「整理整頓」。

そう考えると、やっぱりデザイナーたるもの「整頓」は常に意識するべき。

私の身近な実例
・多少ジャンルが違う本でも角はきっちり揃えて置いておく。
・増え過ぎた紙の書類はとにかくスキャンしてPDF化。
・多少使いづらくてもスマホアプリの配置は色別に。
などなど。。。

ただ、見た目を整える作業はそれ以外を無視している訳では無く、
作業行程の中で機能やスペックを意識しながら進めているものである。

なので私は普段の生活において「整頓」を意識する事は、
良いアウトプット生み出す習慣の一つだと考えている。


『7.小まめなミニプレゼンを実施』

若い頃にありがちな傾向で、
未完成なアイディアやプランを、他人から隠しがち。
自分も昔はそうだった。
作品を開示するのは完成品に仕上げてから。

でもデザインにおける完成=ゴールを
デザイナー独りで決めてしまうことは非常に危険である。

デザインに正解は存在しない。
デザインしたモノやコトが世に出て他者と交わった時に、感情的、物理的な反応が生まれる。
そこで初めてそれが正解であったかどうかの判断ができる。

要は正解する為には、独りでデザインを進めるのではなく、
他者と意見を交換したり、途中経過を開示したりする事で、
アウトプットの精度を、多角的に高めていく必要があるというコト。

なので私は、コンセプトワーク時やプランの序盤は妻に話して意見を聞き、
デザインが進む中盤には多部署の同僚にプランを見せて反応を伺う。
そしてプレゼンが近づいてきたら、事前にプロジェクトメンバーなどに
プレプレゼンして最終確認。

プロジェクト内容や、様々な活動スタンスがあり、
一概に上記したような確認作業が必要な訳ではないが、
大切な事は、「プロセスの開示を恐れない」事。

誰しも自分のプランに対して反対意見を述べられたり、他の選択肢を提示される事は、気持ちの良いものではないし、めんどうに感じる事もある。
でもそれによって正解への確度が高まっている事を決して忘れないで欲しい。


以上が私のデザインにおけるマイルールである。一般的に広く言われているような内容もあれば、私が仕事の中で独自に感じて意識している様な偏った内容の事もある。

ただ間違いなく言える事はどれも20年という経験から得た考えであり、読んでくれたみなさんが「デザイン」と対面することがあった時に思い出してもらえれば必ず少しはお役に立てるはず!

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