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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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#創造性

きっと『政治学』を読まないとわからない『アリストテレスの世界観』

 前回はアリストテレスの「二コマコス倫理学」第9巻 愛(フィリア)について続き を読みました。最後の第10巻は幸福論の結論です。幸福に焦点を当て、人間にとって最高の善とは何かというアリストテレスの哲学的探究を深く掘り下げます。幸福に関するアリストテレスの言説は、徳、魂、人間生活における理性的活動の役割に関する彼の見解とニュアンスが深く絡み合っており、『ニコマコス倫理学』第10巻は、幸福の本質とその達成方法に関するアリストテレスの考えを集約しています。 最高善としての幸福 ア

変化こそ生き抜く源泉:『地中海世界』フェルナン・ブローデル編 - つなぎ ヨーロッパ学入門 言語

 今回は、ブローデルはおやすみ、ヨーロッパ学入門からヨーロッパの言語についてだ。前回、山本さんから紹介のあった歴史学者のスコットさんの『反穀物の人類史』を含めて考察したい。 はじまりは自由に生きる野蛮人 そもそも人は野蛮人だった。地球上の動植物を求めて、自由に移動した。スコットは、その採集狩猟民族は定住して作物を作らないか?と言われても、それを選択するわけがないと言う。理由は、採集狩猟生活の方が、生きるために束縛される時間が半分で、しかも栄養価が高いからだと。そのため、これ