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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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#サービスデザイン

おっとりベネチアの登場

 ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 世界時間』の第2章3節、『ヨーロッパにおける都市支配型の旧経済ーヨーロッパの最初の世界=経済』を読んでいきます。 外因によって檜舞台に登場 14世紀の黒死病による景気後退と、イタリア北部の工業地帯の発展により、アドリア海と北海、フランス地域まで移動する必要が無くなったことが、ベネチアが世界都市として地位を占めることになった要因である。そのため、羊毛取引(カリマラ組合)から羊毛製造へと発展したのだ。  不景気になると、

ブローデルの人間賛歌:人間的歴史観

 ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 の結論としてを読んでいきます。ここを振り返るのは実は2回目、前回は以下のようなまとめとなっています。 人間中心的・価値共創的な歴史アプローチ 今回読み直して感じるのは、ブローデルの歴史を見る暖かな眼差しだ。ブローデル自身、読者が自分の体験と重ね合わせて本の中身を充実させることを許容しているので、サービス論的、人間中心デザイン的に解釈していこう。  歴史を、過ぎ去ったこととして、今の生活と切り離して考え