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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2022年10月の記事一覧

ローマ崩壊の中で起こったチーズの多様化と経営イノベーション

 今回は、ポール・キンステッド著『チーズと文明』、第6章 荘園と修道院 チーズ多様化の時代だ。この章には大好物のチーズが多く登場する。面白いのは、こういったチーズの多様化が、ローマの衰退と共に起こったことだ。 ローマ初期に形作られた農業経営と大規模化 カトーの農業論(B.C.170頃)は、小規模な家族経営の農業が大規模化する時代の農業の経営指南書だった。本の中には、例えばオリーブ農園と100頭の羊、10匹の豚の組み合わせ、9-3月には山から牧場へ降りチーズ作りをする、といっ