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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2021年7月の記事一覧

儲け第一は世界を救うのか?

ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 交換の働きから、第4章自らの両分における資本主義を読んでいきます。 大商人たちの誇り 18世紀のヨーロッパは、大商人の絶頂期だ。フランスでは、「自分では手を下さず、自分自身ではそれに何も付け加えずに商品を売る」人のみを、大商人として特徴づける。その他の商人、つまり自らも働き「すべての手を用いて働く人々」とは区別をする。  ただし、大商人は、機敏に商機を見つける起業家的な精神のみによって成り立つのではなく

資本主義を産んだ大商人

 ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 交換の働きから、第3章生産あるいは他人の領分における資本主義と、自らの両分における資本主義を読んでいきます。 輸送と資本主義的企業 「輸送は、生産の必然的な帰結」である。資本主義自体は、配送領域へは入り込まず、そこには商人たちの自由取引があった。そのため、資本主義の支配力は、配送の効率をみることによって知ることができた。  この時代の陸運は弱小であった。飛脚、馬車、荷馬車の連結による配送量は、川による