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夜更けの思索宮

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時には哲学を、古代ギリシャを、あるいは皮肉やのイタリアの彼氏のような、ちょっといつもの場所をはなれて遊ぶ
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2021年3月の記事一覧

ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 2-1交換の働き 交換の道具-1

 15世紀の市では、生鮮食料品、職人の手による製品、土地の売買契約、長期の賃貸借契約、贈与、婚姻財産契約、持参金の設定など、商店から公共サービスのやりとりが行われていた。その後、これらは専門化していく。  売買の回数は、最初は週2−3回に制限されていた。18世紀には、毎日行われるようになった。地方の織物業者が、売れ残ったものを次の市日まで委託しておくのが通常になった。1660年ごろには、市場は仲買人、常勤事務員がおり、複雑な仕組みになっていった。  商品を取り扱う場所にも

ブローデル『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 日常性の構造』 1-2 都市・技術・貨幣

 「都市という都市が変圧器だといってよい。」から第8章都市は始まる。都市の成長の原因は何かに挑む。都市は常に現在進行形であり、分業と干渉からなる明白な規則性を持つ。その規則性の源泉は、都市の空間的な特徴からもたらされる。まずはそこから探っていこう。 都市の空間的特性 1600年当時の都市は、出産が死亡を上回ることはほとんとなく、都市の成長は周辺の地域に頼らざる負えなかった。位置的な特権を持つ場所に人が集まり、市が開かれる。それは、河を登ってきた船の荷の積み替えて、小舟で上流