ドイツ流クリスマスの過ごし方
僕は2012年から2018年まで6年間をドイツに留学して過ごしたので、ドイツで計6回のクリスマスを経験したことになる。そこで見てきた『ドイツ流クリスマスの過ごし方』を周りの人に喋ると結構感心されることが多いので、ここにポイントを記しておきたい。特にコロナ禍の今年は、日本でも参考にできることがあるかもしれない(ギリギリになってしまったが)。
1、クリスマスは家族で過ごす
まず中心となる考え方は、クリスマスは家族が集まる日だと言うこと。研究室の留学生たちも基本実家に帰ってしまっていた。これは多分ヨーロッパ中似た様なもので、結果(ドイツは祝日法とかあるからでもあるが)多くの店が早仕舞いするか閉店しており、当然レストランなんかもやっていない。最初僕らはクリスマスに洒落たディナーを、とか思っていたが、当然食べられる様な店はないか、あってもトルコ料理屋さんとか中華料理やさんだったと思う(これらの店でも一家で自分の国に帰ってしまい閉まってしまうところもある)。雰囲気としては日本のお正月に近いだろうか。日本も今年はコロナで外食やパーティーも難しいので、家族でこじんまり、おうちで過ごすクリスマスを楽しむのにちょうど良いのでは。
2、アドベントカレンダーを使って楽しむ
アドベント、つまり降誕節と言う時期は、クリスマス直前から数えて4週間前の日曜日から始まる。ドイツではクリスマスマーケットが開かれる時期でもあり、元々はこうした市場で来るべきクリスマスの準備を整える、というのがその意味だった様だ(だからクリスマスマーケットはクリスマスの当日にはもう閉まっている)。最近日本でも見る様になったが、この期間にアドベントカレンダーというのを飾る。
1日ごとに開けられる様な箱になっていたり、日毎の袋になっていたりするが、いずれにしても毎日その中に入っているちょっとしたものを子供たちがもらえるという企画もののカレンダーで、チョコレートの入っているカレンダーボックスならカルディはじめ日本でも結構見るし、袋型の何も入っていないカレンダーも売っているので、そこにこどもの好きなミニフィギュアやお菓子を自分で入れても良い。僕の家の場合は子供がLEGOが大好きなので、毎年LEGOのアドベントカレンダーを買っている。
3、キャンドルを飾る
このアドベントの4週間あまり、4回くる日曜日ごとに1本ずつキャンドルを灯していく。これはVier Kerzen = Four Candlesと言われており、この時期ドイツのレストランなんかにいくとよく飾ってあるし、街中にいくと4つのろうそくを立てられる様な台がよく売っていて、僕も一つ持っている。
4本のろうそくには時間差で火をつけることになるため、最後に長さが揃う様に、最初に灯す用のキャンドルは長く、だんだん短くなって、クリスマス直前の日曜日に灯す用のキャンドルは一番短く、という長さの異なる4本セットのキャンドルが売られていたりする。これを毎週灯すことでクリスマス気分を1ヶ月に渡って高めていくのだ。
4、シュトレンを食べる
シュトレン、というのは元々イエス・キリストがお包みに包まれている姿を模したもの、とも言われている様で、今でこそ日本のお菓子屋さんやパン屋さんでもよく見る様になったが、ドイツでは伝統的には毎年自家製のシュトレンを作る。
砂糖が極めて大量に使われているため日持ちがする。これをアドベントの期間中の毎日曜日に少しずつ切って家族で食べましょう、というのが伝統的な食べ方だ。カロリーが高いので我が家ではこれはやっていないが。。。。。
5、クリスマスツリー を飾ろう
ドイツではアドベントの時期になると、地元のスーパーなんかでも生のモミの木が売られる様になる。僕もドイツで毎年それを買って(大体30ユーロくらいだった)、家に飾っていた。日本でも、生のモミの木がIKEAで手に入る(2500円くらい)ので、僕たちは日本に帰ってからも毎年IKEAでツリーを買っている。なかなか形の立派なのはないし、葉っぱも落ちるので人によっては嫌がられる向きもあるが、独特の香りがあって、それを飾るとクリスマスだなあという感じがする。ちなみに今年はすごい勢いで売れた様で、売り出してから数日後に行ったのだがほとんど残っていなかった。来年からは売り出し初日に買いに行かないとだめかもしれない。唯一の問題はクリスマスツリーを立てる台が必要なことで、これはWeihnachtsbaumständer = Christmastree standと呼ばれ、ドイツではほぼ一つのメーカーの独占市場で、同じものが一家に一台は必ずあると言われる。
僕もドイツで買って持ち帰ったものを今でも使っているが、非常に堅牢でこの先も壊れそうにないし、もしかなりの重量のツリーを飾っても問題なさそうだ。日本ではちょっと調べた限り同じものは見つからなかったが、IKEAでも同様の製品が売っている様だ。
6、家族でお互いにプレゼント交換する
クリスマス、ドイツでは子供や恋人にプレゼントを渡すだけではなく、家族中、友達中でもプレゼントを送り合う。実際僕もクリスマスパーティーに行くたびにちょっとしたものをいただいたり、自分と一緒に仕事をしている助手さんからプレゼントをもらったりした。いくつものクリスマスパーティーに行くと、当然たくさんのプレゼントをもらうのだが、中には気に入らないものも出てくるだろう。このあたりドイツでは非常に合理的で、タグがついたままプレゼントを包装し、もらったプレゼントが気に入らない場合に元の店に持って行くと返金(というか換金)してもらえるらしい。僕はもったいないのでそんなことはしたことがないが。子供がうまれてからは我が家でも「子供にプレゼントをあげる日」くらいの認識だったのだが、今年から夫婦同士でもプレゼント交換をすることにした。子育てに忙しいとなかなか夫婦同士で相手を喜ばせるプレゼントを考えるなんて気が回らなくなるので、クリスマスは良い機会だし、仲の良い夫婦像を見せることは子供の教育上もよろしいだろう。もちろんプレゼントはクリスマスの日の早朝に、ツリーの下に置いておく。
ちなみにこうした習慣もあって、少なくとも僕の周りでは、プレゼントをサンタさんが持ってくる、という考え方は聞かなかった。あれはアメリカの発想なのだろうか。何しろ気に食わないプレゼントは換金できる、という合理的な国だし、そもそも家族や友達同士で贈り合う物の間に、部外者であるサンタクロースが入り込もう余地などないのだ。
というわけでうちでも自分の5歳の子供には、サンタクロースというのは架空の人物だ、と既に告げている。もちろん周囲の子供には内緒にする様に、という前提で。
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