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ポルナレフ、お前だったのか

前回のあらすじ

ある日、Yahoo!知恵袋で「曲名当ては知恵袋の醍醐味」とプロフィールに書いてある曲当ての達人を発見。わずかなヒントから曲名を推理し、ベストアンサーを毎晩量産している達人を調査しているうちに、「達人に曲を当ててもらいたい……」という気持ちが芽生える。

それから、「どこかできいたことがあるけど名前を知らない曲」を知恵袋で質問する日々。質問するたび曲当ての猛者たちに瞬殺されたり、知恵袋に入り浸って得た知見で達人の質問に答えたりと、手に汗握る熱い展開が繰り広げられる。そして、紆余曲折を経て手に入れた達人からのベストアンサー。これ以上ない喜びをかみしめる。

だが、「あの曲」は小学校の思い出と共にインターネットの海に放流されたままだった……

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ポルナレフはフランス人

「あの曲」は未解決事件のお蔵入りかと思いきや、親切な有識者の方々のベストアンサーにより曲名が判明した。

小学生の時、「ウッウ ムナシイ ムッナッシ〜♩」と空耳していた曲は、フランス人歌手ミッシェル・ポルナレフ「Tout, tout pour ma chérie(シェリーに口づけ)」。何も知らない小学生がフランス語聞きとって曲探しするのはやや難しい。

空耳替歌するのが小学生の仕事である

「トゥートゥー プマシェリ マッシェ〜リ〜♩」と早速鼻歌しながら、あることを考えていた。


ポルナレフ、フランス人……

ジャン=ピエール・ポルナレフフランス人


両手が右手の男に殺されたポルナレフの妹シェリー

すべてはつながっていたのだ。なんだこの、爽快感……

ジョジョに出てくるキャラクターとスタンドは、バンドやアーティストとゆかりがある。ポルナレフと妹のシェリーは荒木先生が意図的に名付けたに違いない。

ちなみに、フランス語の"chérie"は、英語の"darling"に相当する「愛しい人」の意味だ。「ちょっと(キャラを)殺したい」荒木先生の無慈悲さよ。


押し入れから出てきた黒のファイル

「そういえば、この前「この曲知ってる?」って鼻歌で聞かせた曲、ミッシェル・ポルナレフ『シェリーに口づけ』だったよ」

とコップに注いだ生茶をぐびぐび飲みながら、家族に報告した。すると、母が突然立ち上がり、

「『シェリーに口づけ』の楽譜あるわ」

と一言、押入れのある部屋へ消えていった。


「この中にあると思う」と母が手にしていたのは、分厚いリングファイル。

二十数年ものなのでなかなか年季が入っている


あった

母曰く、『シェリーに口づけ』はよく弾いていて超がつく十八番だったらしい。そういえば、鼻歌聞かせたときも、「その曲めちゃくちゃ弾ける」と言っていた。そんな思い出があっても忘れるときは忘れてしまうのが人なのである。

スピール膏みたいなシールが貼ってある

十八番のインデックス

コピー用紙なのにやけに厚みと質感がある。2ページの楽譜でも両面コピーはせず、A4の紙を端から端までピッタリ張り合わせていた。譜面台の上でちゃんと自立する。

大量の楽譜をリングファイルにとじて持ち歩いていたので、穴がちぎれないようにシールで補強したり、曲ごとにインデックスが付いていたりと、「生活の知恵」のような創意工夫が見られる。


ところで、楽譜をよく見てみると、「ウッウ ムナシイ ムッナシ〜♩」の箇所は質問の補足で書いた

ド ド ソラドシ♭ シ♭ ラ ソー
ド ド ソラドシ♭ シ♭ ラ ソー

ではなく、

ソ ソ レミソファ ファ ミ レー
ソ ソ レミソファ ファ ミ レー

だった。勝手に転調して役に立たない補足から、曲を推理してくださった有識者のみなさん、どうもありがとうございました。スゲーッ爽やかな気分です。

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