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信長の棺

日経新聞に連載され、2005年に刊行された。
加藤廣75歳のデビュー作で、ベストセラーである。

本能寺の変は、謎が多い。
証拠が残されていないからだ。

天下人、秀吉が闇に葬ったのは、
間違いないだろう。

普通に考えれば、秀吉こそ黒幕だ。
それはまあいい。

信長の死体が発見されなかったことに、
加藤廣は大胆な仮説を展開した。

なぜそこまでヒットしたのか。

実は少し前、同じ日経新聞に連載した、
安部龍太郎の「信長燃ゆ」がある。

加藤廣はすぐにシリーズ展開させた。
2006年に「秀吉の伽」、
2007年に「明智左馬助の恋」である。

視点を変えて同じ時期を描いたので、
読者は読むほどに理解を深めた。

僕が司馬遼太郎にハマったのと同じ現象だ。

この本能寺3部作の後、
2008年「謎手本忠臣蔵」
2009年「空白の桶狭間」
2010年「宮本武蔵正伝」
2011年「神君家康の密書」

凄い執筆のスピードだった。
この時、彼は80歳を超えている。

史料が見つかれば、新しい諸説が生まれる。
歴史小説は最新の、綿密な取材や考証が必要だ。

デビュー前から準備はしていただろうが、
それでも75歳のデビューからたった5年である。

歴史をミステリーにした。
僕はそこにとても共感した。

自分もいつか、と夢を見させてくれた。

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