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鉄道員

1995年に発表された、浅田次郎の短編小説。

99年に東映で映画化され、降旗康男監督のもと、
豪華俳優陣の集結で話題となった。

高倉健、大竹しのぶ、広末涼子、吉岡秀隆、
安藤政信、志村けん、田中好子、小林稔侍。

北海道の廃線を迎える小さな駅の駅長を、
定年まで勤める男とその家族の物語。

浅田次郎は91年、40歳でデビューするが、
極道小説家として、書店でも存在感があった。

86年から東映で製作された映画、
「極道の妻たち」シリーズは高い人気だった、
そんな時代である。

94年に発表した「地下鉄に乗って」が、
極道以外の初めての著書で、
吉川英治文学新人賞を受賞。

これは売れたようなので読んでみたが、
僕にとっては、そこまでではなかった。
ところが「鉄道員」は、違った。

僕は短編小説があまり好きではない。
長編小説でその世界に浸る、
旅に似た感覚が好きだったからかもしれない。

「鉄道員」は、短編小説の良さが、
とてもよくわかる作品だった。

映画を観た時、なるほど、
2時間の映画化にピッタリだ、と思った。

明治の作家は長編が少なく、
短編や中編が多い。

読みやすさもあるが、
余分を排除し、凝縮させる、
そんな美徳もたしかにある。

どう書くかではなく、
何を書くかが大事だということだ。

現代作家である浅田次郎に、
改めて教えてもらったと思う。

それでも浅田次郎といえば、
96年に書き始めた大作、
「蒼穹の昴」を思い浮かべる人が多いだろう。

いつの間にか父親も、この沼にハマっていた。
だが僕にとっては、まだ違った。

それはまたいつか、書くことになるだろう。

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