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ラズモフスキー四重奏曲

僕はピアノを弾いていたので、
ピアノ協奏曲と交響曲以外では、
ピアノ・ソナタをよく聴いていた。

室内楽を聴くようになったのは、
チェロを始めてからだ。

いろいろ聴いてみて、
もう一度聴きたいと思ったのが、
ベートーヴェンだったのは偶然かどうか。

通称「ラズモフスキー四重奏曲」。

正確にはベートーヴェン作曲、
弦楽四重奏第7番ヘ長調作品59-1。

ロシアのウィーン大使だった、
アンドレイ・ラズモフスキーに献呈された。

「ラズモフスキー1番」とも呼ばれ、
第9番「ラズモフスキー第3番」まである。

1806年の半年の間に3曲作曲したとか。

いわゆる「傑作の森」初期で、
並行して交響曲第4番や、
ピアノ協奏曲第4番などが作曲されている。

約6年前に作曲された弦楽四重奏の前作第6番と、
全く違う革新的な手法の数々は、
発表当時、相当不評だったらしい。

全楽章の主題がカンタービレのようで、
さらに第1楽章の開始主題をチェロに呈示させた。

18世紀まで和声的バス声部担当に甘んじていた、
チェロ奏者には新鮮な驚きだっただろう。

という難しい話を抜きにしても、
一度聴けば最初から、なんだこれは、
という衝撃を、誰もが少なからず受けるのである。

その後、晩年に向かっても、
弦楽四重奏は第16番まで作曲され、
深い精神性を表現していく。

その象徴が変ロ長調作品133「大フーガ」だ。

2012年ベルチャ弦楽四重奏団が12日間全曲演奏し、
2020年夏にブルーレイ全集が再発された。

コロナ禍で、僕はいろんなブルーレイを買ったが、
これもその一つというわけである。

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