日常生活に英語を取り入れ、約2年で話せるようになるまで

初めて英語を使う必要に迫られたのは21歳のときでした。当時はほとんど理解できず、もちろん話すこともできず、何回も聞き返す恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいでした。そのときの気持ちを今でも昨日のことのように思い出します。その経験から、英語でコミュニケーションをとれるようになろうと強く決意しました。あれから約2年半が経った現在では、まだ流暢とは言い難いものの、日本語のわからない友人と英語で話したり、ビジネスの場面で英語で意思疎通ができるレベルになりました。

先日(2019年11月24日実施)の TOEIC では910点を取ることができました。TOEIC のための勉強は一切しておらず、本記事の勉強を約2年間行っていたら自然と点数があがりました。TOEIC の英語はすでに私にはゆっくりすぎて、かなり余裕を持って受験することができました。

本記事では、"英語のため"の勉強時間をできるだけ減らし、普段の生活に負担をかけずに英会話ができるようになるための方法を紹介します。入試などの理由で TOEIC の点数を短期間であげたい人はこの記事の対象者ではありません。普段の生活が忙しくてなかなか時間が取れないけれど、数年で英語を話せるようになりたい人が対象者です。

勉強する以前の実力

英語でコミュニケーションができるようになろうと決意する以前、留学経験は一切なく、英語の勉強といえば中学校・高校の6年間の授業と、大学・大学院受験のための勉強のみでした。英語の文章はなんとか読める・書けるものの、英語での会話をまともにしたことがなく、聞くこと・話すことは全くできませんでした。日本に住み日本の教育を受けている方なら似たような勉強歴・実力なのではないかと思います。

3つの勉強法

私が行った英語の勉強は大きく3つのステップに分けられます。

1 正しい発音について学ぶ。
2 身の回りのほとんど全ての文章を英語にする。
3 英語の音声を聞き、音を真似て発音する(シャドーイング)。

ステップ1の発音を学ぶときだけは英語のための勉強時間を確保しないといけません。しかし、ステップ2とステップ3は日常生活に取り入れることができるため、学校や仕事などの普段の生活を圧迫することは少ないです。更に、私がステップ1に対してかけた時間はステップ2・3と比べるとかなり少なく、計10時間ほどだと思います。

勉強の進め方は、まずステップ1の発音について学び、その後はステップ2とステップ3を日々の生活に取り入れるだけです。

ステップ1 正しい発音について学ぶ

正しい発音について学ぶことは聞く・話すために真っ先に必要です。なぜなら、正しい発音がわからないと、ステップ2とステップ3の効果が薄れてしまうからです。正しい発音を学ぶとは、具体的には、各子音・母音の違いについて理解し、それらを発音するためにどのような口・舌の形になればよいのか理解することです。

例えば、"think"、"this"、"the"、の単語で使われる "θ" または "ð" という音。両者は無声音か有声音かという違いはありますが、舌を前歯の裏に当て、舌を離しながら息を吐くという基本的な動作は同じです。"θ" を正しく発音をしないと、ネイティブには "I think...(私は思う)" が "I sink...(私は沈む)" に聞こえるそうです。英語には日本語にはない音がたくさん存在するため、カタカナを使って英語を発音すると伝わらないことが多いです。

発音は口と舌の運動によって成り立ちます。これは筋トレと同じように地道に回数を重ね、自分の口が自然と動くようになるまで練習するしかありません。

発音を学ぶためには『英語耳』の本がとても役に立ちました。この本を読んで、各子音・母音をなんとなく発音できるようになったら、ステップ2・ステップ3に進みます。

ステップ2 身の回りのほとんど全ての文章を英語にする

身の回りのほとんど全ての文章を英語にすることで、普通に生活しているだけで英語を読む機会が増えます。私は以下のようなことを行いました。もちろん個人の生活や趣味に合わせて柔軟に英語化していけば良いと思います。

・インターネットでの検索を英語で行う
・パソコンやスマホの設定を英語にする
・本や漫画を英語で読む
・YouTube やアニメを英語で見る
・英語以外の教科の勉強メモも英語で書く

ここで大切なことは、わからない単語が出てきたら英英辞書で調べるということです。英英辞書で調べると説明文にまたわからない単語が出てきて永遠に調べつづけることになるかもしれません。そうなったときは途中で調べるのを打ち切ります。単語の意味を一度で完璧に理解する必要はありません。むしろ同じ単語を何回も調べたほうが良いです。

また、何回読んでも理解できないところは文法の知識が曖昧かもしれないため、わからない文章構造の文法は適宜調べました。

英語の勉強というと英単語や英文法を先に学んでから、文章を読む人が多いかもしれません。しかし私は逆で、文章を読んで、その中でわからない単語や文法を調べました。単語帳をひたすら覚えるのは自分にはつまらなくて継続できなかったのですが、興味がある文章が先にあり、その内容を理解したいという気持ちがあれば単語を調べて覚えることができました。また、単語は文脈によって大きく意味が変わるので、日本語と一対一対応の訳を覚えるよりも、単語が出現する文の雰囲気で理解することによって応用が利くと思います。

この勉強法は最初の頃はかなりストレスになります。なので疲れているときは、一部を日本語翻訳ツールに頼るなどして、段階的に読める量を増やしていきました。慣れてくると読むことが楽しめるようになるし、英語のコンテンツの方が日本語のコンテンツより数が多いため、面白いものを見つけやすいです。

ステップ3 英語の音声を聞き、音を真似て発音する

最後はシャドーイングについてです。シャドーイングとは、英語を聞いて即座にそれを真似して発音する練習法です。シャドーイングをする上で大切なのは、ステップ1で学んだ発音における口と舌を意識して、自分の口でも同じ形を作れるように練習することです。

シャドーイングのために使う英語の題材はなんでも構いません。私はよく Podcast を利用しました。Google Podcasts には音声のスピードを変更する機能があるので、初めは0.8倍速くらいで聞き、慣れてきたら徐々に速くします。現在は1.2倍速くらいで聞くことが多いです。

英語の文章を読めるけど、スピードを遅くしても聞きとれない場合は、"reduction"、"linking"、"contraction" に慣れていない可能性があります。私は正確に全てのルールを覚えているわけではありませんが、英語の音は何かしらのルールで変化するんだという知識を持った状態で何回も聞くことで、少しずつ聞き取れるようになってきました。

・reduction:音が脱落すること。例えば、can’(t)、cu(t),、ho(t)のように語末のtは発音されないことが多い。
・linking:2つの単語を繋げて発音すること。例えば、I like it. は I lie kit. のように聞こえる。
・contraction:2つの単語を短縮すること。例えば、I am を I'm と省略する。

これらによる音の変化について解説している YouTube 動画を下に載せるので、詳しくはそちらを参照してください。

シャドーイングはどこでもできるため、私は通学中、駅まで歩くときや電車に乗っているときにずっと行っていました。歩きながら1人でぶつぶつ呟くので、若干変な人だと思われますが、時間の節約のために背に腹はかえられませんでした。他にも家の中で家事をするときなど、体を動かして頭を動かさないようなタスクのときにシャドーイングができると思います。

英会話教室について

個人的に、英会話教室に週に1回1時間行くよりも、毎日1時間の英語に触れる時間を増やす方が圧倒的にはやく英語が話せるようになると思います。なぜなら、英語を話せるようになるためには、とにかく時間が必要だからです。もちろん、理想は英会話教室、オンライン英会話、Language Exchange などを利用してネイティブと実際に話す機会をもちつつ、日常的に英語に触れることです。しかし、私の場合は普段の生活が忙しかったためなかなか時間が取れませんでした。更に、英会話教室へ行ったとしても、行ったことに満足してしまって普段の勉強が疎かになってしまったため、心と時間に余裕のあるときだけ対面で人と英語で話す機会を探しました。2年半の勉強期間中、実際にネイティブと英語で話す機会はかなり少なかったですが、問題なく英語力を伸ばすことができたと思います。

まとめ

本記事では、"英語のため"の勉強時間をできるだけ減らし、普段の生活に負担をかけずに英会話ができるようになるための方法を紹介しました。まずは正しい発音のために口・舌の動きを理解すること、そして大量のインプットをし、それを真似て発音することです。

今回紹介した方法は絶対的な勉強法ではありません。何よりも大切なのは継続することなので、個人の好みに合わせて、一部だけ取り入れたりアレンジするのも良いと思います。

Twitter: https://twitter.com/d0iasm

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