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”男性学”のススメ【2021年1・2月号第1特集】

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記事一覧

VRの登場で射精マシーン化が加速する?――Pornhub動画削除で考えるポルノ視聴と男性性の劣化の関係

――近年、欧米ではポルノ批判が顕著だ。理由はPornhubなどでオンラインポルノを視聴することで、現実でセックスを求めなくなり、さらに実際にセックスをしたところで、ポルノ視聴以上の快楽は得られず、そのことで男性性が弱体化するからだというが、果たして……。

一晩にしてPornhubから、違法アップロードされている日本のAVが消えた。しかし、他のサイトでも違法視聴できてしまうので、この問題は何ら解決

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1日最高13回の射精でポルノを志す――若手ポルノスターが目指す現在進行形の男優のあり方

――2019年1月、YouTubeで公開された「AV男優を目指す男の密着ドキュメンタリー」動画がネットで話題となった現在進行形の若手ポルノスター、井田裕隆。「AVにも出てるし、YouTubeで性にまつわる動画を定期的にアップしてるし、ゲイビにも出演してる」24歳の彼が考える“現在のAV男優のあり方”を問う。そこから見えた性文化における男らしさとは――。

(写真/宇佐美 亮)

――YouTube

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サザエが全裸に!――波平がコケにされる『サザエさん』の初回



 1969年10月5日の『サザエさん』の初回放送は、「75点の天才!」「押売りよこんにちは!!」「お父さんはノイローゼ」の3本だった(2020年12月25日まではAmazonプライム・ビデオで初回~70年10月4日放送の第50回が視聴できたが、21年1月現在、70年10月11日放送の第51回~77年10月23日放送の第400回が視聴可能)。

「75点の天才!」は本文でも触れた通り、カツオのテ

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男は家事・育児をしない3世代同居――家父長の波平が女を抑圧するアニメ『サザエさん』は有害か?

――1969年から半世紀にわたり放送されている『サザエさん』(フジテレビ系)。読者のほとんどが知っているであろう国民的アニメだが、磯野家の絶対的な家父長として君臨する波平は、家事・育児をまったくしないくせに「バカモン!」と威張り散らす。こうした時代錯誤なジェンダー観のアニメは、今の子どもに見せて問題ないの?

(絵/川崎タカオ)

 毎週日曜日の午後6時30分からフジテレビ系列で放送されているアニ

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キスマイのドラマが大炎上!――性暴力をコメディ化する時代錯誤なジェンダー観



『未満警察 ミッドナイトランナー』『快感インストール』の公式サイトより。

 多くの女性ファンを魅了してきたジャニーズ事務所だが、そのジェンダー観は「前時代的」とたびたび批判されている。

 2020年4月4日放送の『嵐にしやがれ2時間SP』(日本テレビ系)では、ゲストのKAT-TUN亀梨和也が「幼稚園からスカートめくり界のエースと呼ばれていて」と語り、「性暴力を肯定的に語るな」と炎上。また、

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郷ひろみからキンプリまで――キムタクはまだ憧れの存在か? ジャニーズ男性アイドル像の変遷

――半世紀にわたり、数々の多彩な男性アイドルたちを世に送り出してきたジャニーズ事務所。彼らは時代時代のスーパースターとなり、女性ファンの歓声を大いに浴びてきた。近年は退所のニュースが立て続いているが、今も変わらずジャニタレは“カッコいい”存在なのか――。改めて、その男性像の変遷を徹底的に分析してみたい。

郷ひろみの1stアルバム『男の子女の子』(CBSソニー/1972年)。

 ジャニーズのアイ

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劇団EXILEの中心人物が吐露した男気――俳優・青柳翔が語る“男らしさ”の是々非々

――Netflixで配信中のドラマ『今際の国のアリス』で、坊主頭の屈強な野郎を演じている青柳翔。LDHの俳優部門「劇団EXILE」の中心人物であり、その端正なルックスで異性からの黄色い声をほしいままにする彼に、本特集にちなんで「俳優が考える男イズム」を根掘り葉掘り聞き出しながら、飾らぬ日常生活における“素”の青柳翔もレンズに収めてみた。

(写真/Kisimari・W)

 劇団EXILEの中心人

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孫悟空がジムニーで仁王立ち!――マンガ・アニメの中の軽自動車たち



ながらく作中で軽を描いてきた、鳥山明は、実際にハスターのCMに起用された実例も。

――日本独自基準の軽自動車はどのようにアニメやマンガ作品で描かれてきたか――?

 これまで軽=ダサいというイメージが蔓延してきたために、マンガやアニメなどには軽自動車が描かれることはほとんどなく、フィクションに描かれる車は、いつも大きくカッコいい車ばかりだった。

 そんな中、例外的に軽自動車を描いているのが

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「遊べる」がコンセプトで大躍進中!――軽はダサい!? はもう古い考え? オトコたちが乗る軽自動車の事情

――車は単なる道具ではなく、ステイタスを表すシンボルとしても機能してきた。その中で、男女の恋愛に関するアンケートなどで「軽自動車で迎えに来られるのは恥ずかしい」といった結果がもてはやされてもきたわけだが近年、どうやらその事情に変化が訪れているようだ。

(絵/ぱいせん)

「軽自動車はダサい」

「男性が軽自動車に乗るなんて……」

「男なら大きい車に乗らないと」

 かつて男性にとってのステイタ

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『アメトーーク!』仲良し芸人企画が成り立たなくなる日は近い――サンドウィッチマンが体現する“男同士のケア”

――男性は同性間で“競争”をベースにしたコミュニケーションスタイルを取ることが多いとされてきた。それによって男性同士の“ケア”が生まれず、その役割を女性に押し付けてきたことが今批判されている。男性同士のケアとは、どんな形がありうるのだろうか? ここでは芸人をモデルに考えてみたい。

ダウンタウンも今や親しさをアピールするようになっている。(スマートニュースCM「雨雲レーダー」篇YouTubeより)

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「うっせーブーンバップ爺」――コロナ禍で始動「Zoomgals」



 前記事では男性ラッパーたちを取り上げたが、近年、日本で才気あふれる女性ラッパーが次々と登場している。

 2020年5月20日、東京や大阪などで新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されていた中、「Zoom」と題されたMVがYouTubeで公開。あのウェブ会議用ツールの画面が6分割され、valknee、田島ハルコ、なみちえ、ASOBOiSM、Marukido、あっこゴリラというキャラクター

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ヒップホップのマチズモとミソジニー――舐達麻は服も部屋もステキ! 女子が萌える“ラップ男子”の魅力

――悪そうでイカつい男たちが絆を確かめ合いながら、「ビッチ」「プッシー」「ファック」とラップする――。ヒップホップにそんな印象を抱く読者もいるだろうが、この音楽文化を享受している女性リスナーも多い。では、彼女たちは男性ラッパーのどんな点に萌えたり、キュンとしたり、色気を感じたりしているのか?

(絵/宮 太智)

 ラップ・ミュージックにおける表現は、しばしばミソジニー(女性蔑視)やマチズモ(男性

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「ソドム」は同性愛によって滅びたのではなかった――同性愛者はなぜ救われない? キリスト教の男性優位主義

――男性優位で異性愛主義の宗教とされるキリスト教だが、近年は同性愛者の牧師も誕生している。本稿では、そのような牧師3人に登場してもらい、「なぜキリスト教は同性愛を否定してきたのか」を問うてみた。その背景にはキリスト教そのものの課題も見えてきたが……。

『あなたが気づかないだけで神様もゲイもいつもあなたのそばにいる』(学研プラス)

 ローマ教皇が同性婚を容認する発言をするも、カトリックの総本山バ

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“特権”に気付いてゲタを脱げるか?「生きづらさ」解体から批判まで……男性学【基】ブックガイド

――「男性学が今アツい」と言われたところで、これまで継続的にジェンダー問題に関心を向けていなかった男性からすれば「なんのこっちゃ」という向きもあるだろう。そこで本稿では、日本における男性学の潮流を追いつつ、読んでおくべき“話題の書”をレビューする。

『男性学の新展開』(青弓社)

 なぜ今「男性学」に注目が集まっているのか。「#MeToo」や「ブラック・ライヴズ・マター」運動からもわかるように、

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