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ニッポンのラップ【2016年6月号第1特集】

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記事一覧

エモすぎる般若vs焚巻、サ上とロ吉の熱い友情…etc.『フリースタイルダンジョン』オタク的ベストバウト8選

――オタクも腐女子もヘッズも、アガるポイントはたぶん一緒だ!!!

■とにかくエモい!番組人気に火をつけた、8年ぶりの王者の帰還

【1】般若×焚巻 放送第9回(15年11月25日放送)

放送開始以来、初めてラスボス・般若が引きずり出された。若き挑戦者・焚巻に対し、般若は「証言」(Lamp Eye)や「Street Dreams」(Zeebra)といったクラシックに乗せて「俺はヒップホップに永久

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出演者の皆様、好き勝手萌えててすみません!『フリースタイルダンジョン』を“腐った”オタク目線で観る!

――『フリースタイルダンジョン』の人気は、今やヒップホップに興味がなかった人をも惹きつけている。その筆頭格が、二次元系のオタクや腐女子だ。本稿では、日本語ラップを聴きつつオタクでもある方々と、ヒップホップの素養はないが『FSD』に萌えている方に集まってもらい、オタク目線での面白みを語り合った。

YouTubeでの全編公開が『FSD』人気に寄与していたが、残念ながら5月10日で配信が終了。

A:

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【漢やDOTAMA】は落語向き? 上方落語は江戸落語よりラップ的! ラップと落語は話芸の極みである!

――今、ラップを取り入れた落語が増えている。月亭太遊が演じる「らぷご」に、澄川白ボーが演じる「ラップ落語」。いずれもその親和性を感じさせる新作落語として、注目を集めているのだ。話題のR-指定をはじめ、落語を愛するラッパーたちも少なくないということで……勝手にその共通点を分析してみたい。

『昭和元禄落語心中(1)』(講談社)

 落語を題材としたマンガ『昭和元禄落語心中』(講談社)などの影響もあり

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スマホ向けのMVが話題のあの子たちも! いま聴くべきはこれだ!2016年アイドルラップ最新型

――耳の穴をかっぽじって、いますぐ聴きなよチェケラッチョ!

■完璧なアイドルラップ

【1】ライムベリー
「IDOL ILLMATIC」(2014年)「清く正しくイルマティック それがアイドル稼業!」

アイドルグループ「usa☆usa少女倶楽部」から選抜された4名で11年に結成。タワーレコードのアイドル専門レーベルT-Palette Recordsに所属するなど順調な活動を見せたが、15年2月

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ライムベリーとlyrical schoolを筆頭に、アイドルがマジにラップ中!「やらされ感」と「自分の言葉」とアイドルとヒップホップの“間”

――EAST END×YURI、安達祐実、燦然と輝く傑作としての星井七瀬、多くのアイドルヒップホップを量産してきたハロプロのつんく♂サウンド。そして、AKB48の楽曲群……。いま、ポップソングとしてのアイドルラップの歴史が語られる!

1994年に発売されたEAST END×YURIの「DA.YO.NE」。ミリオンヒットを達成した。

 女性アイドルがラップする、その歴史は案外古い。それは、アイド

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MCバトルの王者・R-指定が語る! ラップも落語も「人間の業の肯定」上方・米朝落語はもはや音楽!

――現在のMCバトルブームを牽引するラッパーといえば、Creepy NutsのMCとしても活躍するR-指定だ。自身のフリースタイルラップについて、テレビのインタビューでも「落語の影響を受けている」と回答していた彼に、その魅力と親和性を語ってもらった。

MCバトルの王者として、各メディアに引っ張りだこのR-指定。(写真/Creepy Nuts Official)

――落語を聴き始めたのは、いつ頃

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MCバトル最強芸人・とろサーモン久保田「暇な時は楽屋でサイファーしてます」

――こちらの記事の中でも触れた「芸人ラップ王座決定戦」、2連覇したのはこの男だ。芸人限定イベントのみならず、通常のMCバトル大会でもベスト4に食い込む実力者に、お笑いとラップをどう捉えているのか、聞いてみた。

(写真/市村 岬)

──2年前、久保田さんの出演するライブを見ていたら、本編と関係なく輪入道【1】のMVを流していて、衝撃を覚えたんです。

久保田(以下、久) ラップ好きになったのはそ

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「アメリカのラッパーの立ち位置を日本に置き換えると芸人になる」!? ヒップホップとお笑いの接近史解析

――かつてお笑いの世界においてラップといえば、「YO,YO」「チェケラッチョ」「俺は◯◯生まれ××育ち~」と揶揄される存在だった。だが時はたち、芸人によるフリースタイルバトルが開催されたり、ラップのルールを理解した番組やネタが成り立つなど、今お笑いとヒップホップはかつてないほど接近している──。

 ビートが流れる。向かい合った男2人がマイクを強く握ってラップを始める。ありふれたMCバトルの光景だ

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ラップで見る日本の都市――「ここが地元」ラッパー市議誕生!? ご当地賛歌は町おこしになるのか

――土着のラッパーが地元についてラップする“ご当地アンセム”。ITの発達や、地元に居座り続けるマイルドヤンキー論、または国を上げての地域創生と地方が見直されている今、このヒップホップカルチャーのいち要素でもあるレペゼン文化に改めて注目してみよう。

DJでトラックメイカーのYAKKOが05年に発売した『My Hood Iz...』。東西問わず各地方のラッパーによる地元アンセムが収録されている。

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Mummy-Dはじめ、歴代部長が大集合! 日本のヒップホップを変えた!? 早大音楽サークルの謎を追え

――早稲田大学の音楽サークル〈GALAXY〉。他大学の学生も入部可なサークルは、創設当初こそソウルの音楽研究サークルだったが、ライムスター宇多丸が部長を務めた以降は、ラッパーを目指さんとする学生が続々と門戸を叩く。おそらく本誌が初であろう、音楽関係者を多数輩出した“ミステリーサークル”を徹底分析。

約40年の歴史を持つギャラクシーへは、ライムスターに憧れて入部を希望する学生が現在も多いようだ。(

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禁断のBワードは、日米でどう消費されたのか――女性軽視かリスペクトか? 増加する“ビッチ”ソングの是非

――近年の日本語ラップシーンでは“ビッチ”をタイトルに冠する曲や、ビッチをテーマに歌う曲が増加している。しかも、中には女性ラッパーが参加している曲もあり、女性リスナーから支持されている曲もあるのだ。アメリカのヒップホップシーンから日本へ伝わったビッチという言葉と女性観、その日本での受容の過程、現在のビッチネタ曲の問題点を探る。

アメリカでもっとも成功した音楽プロデューサーのひとり、パフ・ダディ。

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なぜ刑務所の中からアルバムを出せたのか? 出所直後の【BES】が激白! 麻薬中毒と獄中とラップ

――こちらの記事で触れた、ハスラー・ラップのリリシスト・BES。今年の4月にアルバムを発表したが、実は13年に服役することになり、つい最近まで獄中にいたのである。では、その新作はどう作られたのか? 出所間もない本人を直撃した──。

(写真/細倉真弓)

 ミュージシャンズ・ミュージシャンならぬラッパーズ・ラッパーというか。類いまれな才能を持っているのにもかかわらず、さまざまな事情により表舞台で脚

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バッドトリップによる疑心暗鬼を描くリリックも…ドラッグを描いた日本語ラップの“パンチライン”

――こちらの記事では、紹介しきれなかった具体的なパンチラインを紹介する!

■外国人プッシャーをぶん殴る!
MSC

新宿のアンダーグラウンドにあるセックス、ドラッグ、バイオレンスをラップし、2000年代に注目された同地レペゼンのクルー・MSC。漢がラップするこのラインは、イラン人プッシャーをぶん殴る様子を描いたものと思われる。MSCを率いてきた漢の自伝『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社)で

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売人の悲哀、大麻賛美、睡眠薬中毒……イラン人プッシャーをフルボッコ!ラッパーが歌うドラッグのリアル

――2000年代、麻薬密売の現場を描いた“ハスラー・ラップ”なるスタイルが、アンダーグラウンドな日本語ラップのシーンに現れた。その後も、各種の薬物を綴ったリリックは散見されるが、ラッパーたちはクスリにどうアプローチしてきたのか? ドラッグ描写のあるラップの“パンチライン”を挙げながら、その深奥に迫りたい。

 2009年、練マザファッカーの中心人物・D.Oの音楽事務所にいた元力士の若麒麟が大麻取締

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