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【詩】落ちる/生きる

落ちる


どこまでも
落ちていくのを
とめられないでいる
もうこれ以上
落ちたくないのに

こぼれる無惨な言葉は
砂のようにまとわりつき
私の落ちていく穴を
滑らかに滑りやすくする

落ちた先に美しい薔薇の園があれば
少しは心も晴れるだろうに
たとえそこが女王の支配する庭だとしても

生きる

夜寝るのも
朝起きるのも
息をするのさえ
しんどくったって
空には変わらず陽が昇るので
目をこすって背伸びして
やれやれってため息ついて
傍らの猫をひとなでする

今日も誰かのぶんを
明日も誰かのぶんを
生きたくて生きられなかった誰かのぶんを
少しだけ長く生きる