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いきなりのおもてなし料理 その参 煮物

慣れないながらも魚に慣れようと悪戦苦闘してきたわたしが、無謀にも、魚でメニュー組んで、の第三話、煮物です。

やっぱりですね、どうも性格というか、腕もですが、繊細なお料理はできないというか田舎っぽさが抜けないわたし。センスだけはなんともし難く。
、、、と、ぼやいてても仕方ないので、であれば、いっそ漁師小屋の雰囲気で、野趣溢れる感じにしようと。

野趣あふれる煮物、それも鯛づくし、とくれば、もうこれしかないでしょ、のお頭ど〜んの兜煮。下処理さえきちんとすれば、あとは素材まかせの簡単さと、見た目のインパクトもあって、ぴったしな感じ。
作り方はみなさまご存知の通りでございますが、わたくしめのいつもの爆走をお楽しみいただけると嬉しいです。

仕入れ

鯛一尾買った魚屋さんで、お頭はない?と聞いたら、いいのありまっせ、の嬉しいお言葉。で、出てきたのが、なんと天然ものの明石の鯛!!!おお、おっきい!おねだんもおおおおおおっきい!!!。普通のアラの10倍やねん。高すぎや、まけてや、にいちゃん、といきなりの大阪のおばちゃんモード。しゃ〜ないな、半額にしたる、もってけどろぼ〜、ってノってくれて。好きやわ〜、こういうおにいさん。

湯引きとお掃除

結構大きなバットいっぱいの立派なお頭さま。早い潮流に揉まれてお育ちになっただけあって、引き締まったお顔。魚の王様の風格。いいわ〜、と見惚れて、、、いる場合ではないので、次へ。

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ヒレが立ってくるくらいまで沸騰したお湯におつかりいただいて、氷水にどぼ〜ん。こんだけおっきいと、菜箸ではもてまへ〜ん、で、引き上げようとしたら、もいっかいどっぼ〜ん、してくれて危うく顔面火傷しそうに。で、フライ返しで丁重に、って頭使わなすぎ。。。酔ったら料理するな、ですねぇ。
血合いとか残ったうろこきれいに除いて、ペーパータオルでよく水気とって、下準備オッケー。

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煮魚に付け合わせは牛蒡、ってケイチェルおじさんの教え。勝手に師叔しているわたくしとしては、お教えに忠実に。

牛蒡は棒でかるく叩いて少し繊維をほぐしてから4つ切り。ワイルドだろ〜って古すぎ。いまごろどうしてるのかしらん。
野趣あふれる、でございますので。

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ここで大問題。お頭様、大きすぎてお宅にある鍋類どれにもふたつ入らな〜い。ひとつでもフライパンでやっとこさ。兜煮は重ねて煮られないし、、、で、右と左の泣き別れ、二分割幽霊奇譚もかくや、で、別別に煮ることに。

最初はお酒とみりんと水。こんだけ大きいと、お酒とみりんだけでやったらどんだけいるか、なので、いつものようにけちって半分水で。

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ぶたはぶたでも飛べないぶたはなあに?とやってる場合ではないお年豚、じゃなくて落とし蓋がな〜い、で、フォイルにちょん、ちょん、と穴をあけて代わりに。しゅわわ〜と立つ泡が蓋の周りを覆うくらいの火加減で。空いたところに牛蒡さんも入れて。

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煮たったらまず砂糖どへっと入れて、時々煮汁をかけながら。兜煮は最初に砂糖で味の道をひらく、というのが野崎洋光師匠の教え。アルミフォイルだと皮と目がくっついてしまって、ちょっと残念なお姿に(泣)。落とし蓋持ってくればよかったと、ちょっと反省。ちなみに、うちに落とし豚もあります(笑)。

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少し煮詰まって、もうすぐ煮えるで〜、とお頭さまがのたまうころに濃口醤油入れて味を調整。時々落とし蓋取って、煮汁を回しかけながら味をしませつつ強火で一気に煮詰めて。師匠の教えではここで、溜まり醤油入れてましたが、このためだけに買えへんがなぁ、で、なしで。ここまでで15分くらい。

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お皿に鎮座いただいて、煮汁をまわしかけて、ど〜ん。ざ・さかな、な感じ。
、、、ちょっと、ジュゼッペ・アルチンボルドの果物並べて人の顔に見立てた絵みたい。。美しくない、、、、野趣あふれる、ということでお許しくださいませ。

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で、お味は、、、思わず、うま〜〜〜〜。
さすが天然もの。余分な脂がでなくて、澄んだ深い味わい。こんなんめったにつかえないわ〜な贅沢。煮汁だけでもご飯何杯でもいけそう。半額にしてくれたおにいちゃんごめんなさい、な感じ。そんだけの価値ありましたわ。
ちょっと太かったかな〜な牛蒡も、かえって食感と鯛さまのお出汁吸って美味しくなってて。煮魚に牛蒡の組み合わせ、鉄板な感じ。おいたんに感謝でございまする〜。

次はご飯もの。もうなんとなくお察しと思いますが、
少しひねりを加えてますので、お楽しみに。


最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
今日も一日が素敵でありますように。

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落ち葉の絨毯


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