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サウスウェールズ大学1年目の振り返り

どうもです、芝本です。大学の授業も4月初旬に全て終了し、シーズンも終了したということで、今回は僕のサウスウェールズ大学でのリアルな1年目を振り返っていきます。もう今週からプレシーズンが始まってしまうのですが。

授業

書類申請が遅れに遅れて9月中旬頃にウェールズに飛び立ったのですが、いきなりインダクションウィーク、いわゆる1年生用のオリエンテーションが始まりました。1週間で授業体験をするのですが、印象深かったのが試合分析をグループで行うという課題です。課題が出された当日に行われている試合のプレゼンを翌日の授業で5分間行うという内容だったのですが、今振り返るとグループごとに試合のチョイスやプレゼン内容が異なっていて興味深かったです(ちなみに来月からはそこで一緒のグループだった一人と一緒にシェアハウスです)。

僕たちはリヴァプール対ノリッジの試合に取り組みましたが、事前アポをとってウェールズ一部リーグの試合に実際に足を運び監督にインタビューを行ったグループもあれば、全く用意なしでプレゼンをしていたグループまで。

様々なチームを渡り歩いてきて、タイトなスケジュールの中どれだけ精度が高く伝わりやすいレポート(プレゼン)をコーチ陣に提供できるかがかなり重要視されています。ですので、この課題は大学の3年間でどのような仕事を求められるのかを示していたように思います。本格的に授業が始まると、2時間の授業が週3、4で1日に1、2コマの日々が続きました。授業の細かい内容については(木村)暁さんの記事をぜひ。

一年生の授業は主にコーチング、コーチングセオリー、分析、スポーツサイエンス、ARP(履歴書作成、エッセイ、レポートの書き方)、Community in Football が含まれます。一年生の中で意外と一番評判の良かった授業が Community in Football でした。実際のコーチングに関わることを勉強するわけではなく、マーケティングやイベント計画などを重点的に学ぶ授業です。

このコースを受講している人の中にはコーチやアナリストだけでなく、コミュニティマネージャーとしてクラブと密接に関わりながら周りのコミュニティに還元する仕事に就く人も多くいます。ピッチ上とはまた違ったサッカーの面を学ぶという点でも非常に好評でした。この授業の先生が北九州に10年間住んだことのある日本大好きおじさんなので、授業中によくあてられてました。「ユウマ、イギリスでは〇〇やけど、日本では〇〇だよな!」みたいな。

校外学習(プレースメント)

授業だけを見るとかなり緩いスケジュールですし、宿題もそこまで出ないので自由時間の方が多いのが現状です。そこで重要になってくるのが校外学習(プレースメント)です。自分は同時期にポンティ女子(ウェールズ一部)チームにリードアナリストとして加入することができ、翌月には大学の男子チームのアナリストも務めることで前期の学業面との両立を図っていました。

ポンティ女子は一番長い間在籍したチームで、基本的には試合後の分析や試合撮影を行なっていました。対戦相手分析は他のアナリストで分担しつつ、クリスマス頃からはそれぞれユニット(FW、MF、DF)を担当してそれぞれの個人分析をしました。折り返し地点からは週1でユニット別のミーティングを実施し、自分で選手の前に立って定期的にプレゼンするチャンスもいただきました。

DFラインに特化したプレゼン。選手と試合について振り返る学びの場になりました。たまに議論が白熱しすぎて1時間以上に及ぶこともありましたが、全部含めてめちゃくちゃ楽しかったです。

まだまだ発展途上段階で、アナリストもあまり活用してこなかったチームみたいなので、コーチ陣や他のアナリストと切磋琢磨しながら一貫した分析のプロセスを作るのにかなり苦労しました。正直シーズン序盤は自己満足な分析になっていたことが多く、何も一貫したメッセージがないまま選手に動画を提示していました。一度立ち止まってチームが行なっている分析が本当に選手の成長に役立っているのか、シニアチームで結果も求められることから、次の試合に活用できる事項はあるのか、とスタッフで自問自答を繰り返せたのは非常に良い経験でした。

シーズンが後半に差し掛かるとコーチ陣が自分たちの分析を基に練習メニューを構築してくださり、今まで以上にやりがいを感じられたプレースメントでした。更にはドローンの映像を活用したり、ベンチとマイクを繋いでコーチとコミュニケーションをとれたりと、試行錯誤を繰り返せたのも今後の仕事で活きる貴重な体験です。

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最後の試合でスタッフで撮った写真。ポケットに手を入れる癖直したい。

大学の男子チームでは主に試合撮影、試合後の分析に加え個人クリップ作成を僕ともう一人のアナリストに任されていました。監督がアナリストを経験済みで密接に働いているということもあり、より細かな指示でクリップ作成をしていました。具体的に「カウンターが成功したシーン」や「練習したロングボールの作戦がうまく行かなかったシーン」など、試合とMTGが中1日しかないこともあり、自分で決められるクリップは少なかったです。自由度は女子チームと比べて限られていますが、よりレベルの高い現場では求められるスキルですし、コーチ陣と一緒のサッカーの価値観を共有するという点でも良い練習になりました。

ポンティ女子と大学チームの基本的なスケジュールと業務内容。プレースメントだけでも毎日何かしら仕事がありました。ウェールズに慣れるのにも苦労したので、前期は色々と大変でした。
大体前期のスケジュールはこんな感じでした。

大学のシーズンは1月末で終わってしまうので、1月初めごろからU-9、翌月にはU -14のコーチングにも取り掛かりました。コーチ志望でUSWに来た訳ではないのですが、やはりコーチの経験も積んでおくことでアナリストとして活動しているチームでも少しだけ選手との関わり方を学べましたし、コーチという仕事の難しさ、アナリストに少しでも気を遣ってくれている感謝をおぼえました。正直そこまでコミュニケーション能力が高いわけではない自分なのでコーチという仕事に怖さすら感じていました。アナリストとの両立や周りとのコミュニケーションに困ることもありますが、やってみると周りのコーチもサポートしてくれますし、子供たちと関わるのが想像以上に楽しいです。

同じ時間帯にコーチしてた同級生たちと真ん中にアカデミーを統括してる人。この人が北九州に住んだことのある先生で、コーチングしてる間もよく日本語で喋りにきてました。またポケットに手入れてる。

短期的な期間の分析を行うようになったのも後期からで、FAW(ウェールズサッカー協会)主催のプロアカデミーのキャンプや、ポンティ男子チーム、ヨーロッパの大会に向けたサウスウェールズ代表、それぞれのアナリストとして活動することができたのも貴重な財産です。

サウスウェールズ代表最終戦でハーフタイムのクリップを選手に見せた時。緊張感のある中での仕事はいつも心臓がはち切れそうになりますが、一回り成長した気がします。ちなみに真ん中で指示している監督もコーチングの先生です。先生方はコーチを兼ねたりしていることが多いので、たまに授業とプレースメントの区別がつかないこともあります。
FAWのキャンプでのミーティング。午前の練習を昼飯返上でクリップを作り、コーチが選手に提示します。今までは後ろのテレビで見せていたのですが、最近はグループ分けで選手からの意見を重点的に聞いているようです。自分の選んだクリップが流れる時はいつも息が詰まります。この中から将来のウェールズ代表が出てくるのかなぁ。

僕の経歴はこんな感じですが、フットボール業界には本当に様々な参画方法があります。もっと他の人の経歴を知りたい方はLinkedIn がおすすめです。Twitterと並んで大きな仕事の源でもありますし、大学探しという点でも非常に役に立つと思います。

精一杯プレースメントに時間と労力を注ぎましたが、違うプレースメントとのバランスに困った1年でもありました。時折違うチームでアナリストとして活動できるチャンスが巡ってきたときに「果たしてこの仕事が将来につながるのか?今のプレースメントやめた方がいいのか?ツイッターは諦めた方がいいのか?」と悩む日々も多かったです。

終わりに

新しい国にも慣れ、コネクション0で飛び込んでいった1年目はすごく濃厚でした。多国籍でいろんな人と共に学び働いた経験はプライスレスですし、次のシーズンが始まるのが楽しみで仕方ありません。もしUSWについて聞きたいことなどあれば、ぜひいつでもDM してきてください。



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